Stripe(ストライプ)社は、様々な企業がクレジットカード決済を容易かつ迅速に導入することを可能にするサービスを提供しているアメリカの企業です。
同社が提供する Stripe Paymentsは、決済のあらゆるニーズに対応できるプラットフォームです。
本記事では、Stripe社の事業内容や創業の経緯等を詳しく説明します。
事業内容:Stripe Payments
Stripe(ストライプ)社は、大小問わず様々な企業がクレジットカード決済を容易かつ迅速に受け入れることを可能にするサービスを提供しています。2010年に設立され、Amazon・Instacart・Zoom・Slack・Shopifyなどの企業に利用されており、スタートアップから大企業に至るまで、数百万の企業が同社のサービスを利用して決済を受け入れ、支払いを行い、財務を管理しています。Stripeの目標は、オンラインの金融インフラを構築することにあります。
具体的な製品としては、Stripe Payments(以下に詳しく説明)を通じて世界中の顧客からオンライン決済を受け付けるAPIを提供しています。また、135以上の通貨での決済を処理し、カード、デジタルウォレット、後払いサービス(BNPL)、銀行振込など、多様な決済手段をサポートしています。
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Stripe Payments
Stripe Payments は Stripe社の主力製品です。世界中の顧客からオンライン決済を受け付けるためのAPIを提供しています。Stripe Payments を導入することによって以下の決算の過程が容易になります。
オンライン決算の流れ
アメリカのオンライン決済の流れは次のようになります。Stripe Payments を導入することで、下記のような複雑な過程を容易に管理しやすくできます。
- 「カード保有者」がカード情報を「加盟店」に提供。
- 「加盟店」は決済情報をペイメントゲートウェイを経由して「アクワイアラー」に送信。
ペイメントゲートウェイは、情報がPCI基準に準拠して安全に送信されることを保証。
「アクワイアラー」とは、支払いを受け取る銀行のことです。
PCI (Payment Card Industry)基準とは、クレジットカード会員の情報を保護することを目的に定められた、クレジットカード業界の情報セキュリティ基準。 - 「アクワイアラー」は、Visa や Mastercard などのカードネットワークを通じて「カード発行会社」と通信します。「カード発行会社」は、支払いを送信する銀行です。
- 「カード発行会社」は、カードネットワーク、「アクワイアラー」、ペイメントゲートウェイを通じて、取引の承認または拒否を「加盟店」に連絡する。
世界中の電子取引と連携
Stripe Paymentsは、世界47カ国に対応しています。Stripeに登録して、銀行口座をリンクするだけで支払いを受け付けることができます。また、135以上の通貨での支払いに対応し、カード、デジタルウォレット、BNPLの提供、197カ国の銀行送金など数多くの支払い方法にも対応しているのが強みです。
その他のサービス
Stripe社は、Stripe Payments だけでなく、多くのサービスを提供しています。以下に代表的なサービスをまとめました。
- Stripe Checkout
- 企業が独自のフロントエンドを構築する必要なく、カスタマイズ可能な決済ページを利用することが可能。
- Stripe Elements
- 企業はCSSレベルでの細かなスタイリングを行い、自社サイト上に最適化された決済ページを作成可能。
- Payment Links
- 顧客に支払いリンクを共有することができ、Stripe Linkを通じてワンクリックでの決済を実現。
創業の経緯:兄弟で大学生のうちに起業
Stripe社は、アイルランド出身の兄弟、パトリック・コリソン(CEO)とジョン・コリソンによって2010年に設立されました。彼らは2006年にそれぞれ18歳と16歳で米国に渡り、スタートアップのアイデアをY Combinatorに提案し、最初の資金調達を成功させました。パトリックは若年科学者のコンテストで優勝するなど早くから才能を示していました。
彼らはeBay(越境EC・ネットオークションサイト)のセラー向けの追跡ソフトウェアのスタートアップであるAuctomaticを共同で設立し、2008年に500万ドルで売却しました。その後、ハーバード大学とMITに進学し、インターネット上での決済の難しさに気付き、Stripeの前身である/dev/paymentsの開発に着手しました。当時、スタートアップには簡単な決済手段がなく、/dev/paymentsはすぐに普及しました。その後、会社名を「Stripe」に変更し、成長を続けています。
資金調達:総額22億ドル以上の調達に成功
Stripe社は、設立以来、複数回にわたる資金調達ラウンドを通じて総額22億ドル以上の資金を調達してきました。最初の資金調達はY Combinatorからの出資で、2010年に実施されました。その後、著名なベンチャーキャピタルや投資家からの出資を受け、成長を続けています。これまでに、Sequoia Capital・Andreessen Horowitz・Tiger Global Managementなどからの資金を受けています。
特に2021年には、シリーズHの資金調達ラウンドで6億ドルを調達し、評価額は950億ドルに達しました。このラウンドには、Fidelity Management & Research CompanyやSequoia Capitalが参加しました。
2023年3月現在、同社はゴールドマン・サックスの支援を受け、既存投資家からの評価額を500億ドルとして60億ドルを調達しようとしています。
これらの資金は、国際的な成長、製品開発、および新しい市場への進出を支援するために活用される予定です。
世界の電子商取引市場の拡大とStripe社の将来展望
世界の電子商取引市場の拡大
2021年の世界の電子商取引市場は約14兆ドルであり、2028年までに約60兆ドルに達すると予測されています(SkyQuest Technology Consulting Pvt. Ltdの調査による)。この成長を背景に、Stripe社はオンライン決済のインフラ構築をさらに強化し、より多くの企業がグローバルな市場で成功するための支援を続ける予定です。
さらに、パンデミックの影響でオンラインショッピングの利用が急増したことが、電子商取引市場の成長を加速させました。アメリカでは、小売売上高のオンライン取引の割合が、2019年の17%から2022年には約24%に増加しました(モルガン・スタンレーの調査による)。この傾向は世界的にも見られ、同じ期間に15%から約22%に増加しました。これにより、オンライン決済市場はますます重要性を増し、Stripe社の成長を支える要因となっています。
Stripe社の将来展望
Stripe社は新興市場や発展途上国への進出にも注力していくつもりです。これらの地域では、今後インターネット普及率の向上が期待されています。
さらに、フィンテック業界全体の成長と共に、決済以外の金融サービスへの拡大も視野に入れています。例えば、ローン、クレジットカード、財務管理ツールなど、新しい製品ラインの開発が進められています。
これらを組み合わせ、Stripe社はさらなる事業拡大を図っていくことでしょう。
会社概要
会社名:Stripe
創業者:Patrick and John Collison
設立:2010
拠点:South San Francisco, California, U.S. and Dublin, Ireland