最終更新日 25/04/21
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Knowhereの挑戦、スポーツ×AIで育成の常識を変える

AIスポーツ
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(引用:STALOG

スポーツは多くの人に愛されていますが、必ずしも全ての人が十分な練習環境や指導を得られているわけではありません。そこで注目されるのが、スポーツとテクノロジーを融合した「スポーツテック」の力です。

株式会社Knowhere(ノーウェア)は「誰もがスポーツが上手くなれる環境を」というミッションのもと、最新のAI技術を活用したサービスによって、誰もが効率的にスポーツが上達できる環境づくりに挑戦しています。

本記事では、株式会社Knowhere(以下、Knowhere)の事業内容やサービスの特長、市場規模など幅広く紹介します。

事業内容:スポーツ×テクノロジーの融合

Knowhereは、独自AIを活用しプロ・アマチュア問わず選手の育成とパフォーマンス向上を支援するスポーツテック・サービスを展開しています。具体的には、AI解析ツール「SmartScout(スマートスカウト)」の開発提供と、野球特化型トレーニング施設の運営という二軸でスポーツ×テクノロジーの融合に取り組んでいます。

AI解析ツール「SmartScout」

(引用:PR TIMES)

Knowhereが開発したAI解析ツール「SmartScout」は、選手のパフォーマンスをデータで可視化し、効率的なトレーニングと怪我予防を実現するソリューションです。スマートフォン1台で投球動作やボールの回転数までリアルタイムに分析でき、選手それぞれの潜在能力を最大限に引き出す支援を行います。

すでにMLB(米メジャーリーグ)およびNPB(日本プロ野球)の複数チームに導入されており、その技術力と精度の高さはトップレベルの現場で実証済みです。2025年夏にはアマチュア選手向けのSmartScoutも正式リリース予定で、プロだけでなく次世代の選手育成にも貢献していく計画です。現在はベータ版の提供に向けて開発が進められており、スマートフォンで撮影した投球フォームからAIが自動でフィードバックを行う仕組みの実現を目指しています。

野球特化型トレーニング施設の運営

(引用:Pitta)

Knowhereはリアルな場でもテクノロジー活用を進めています。その一例が「外苑前野球ジム」の運営です。外苑前野球ジムは、ラプソードなど最新機器とプロ野球公式球場と同じ粘土質マウンドを備えた野球専用の練習施設で、24時間営業・外苑前駅徒歩30秒という利便性の高い立地にあります。2021年12月のオープン以来、プロからアマチュアまで利用者が訪れ、質の高い練習環境を提供するとともに、膨大なプレーデータ収集の拠点にもなっています。こうしたオフライン施設とAI解析技術を組み合わせることで、データに基づいた練習と環境提供を両立し、これまでトップ選手しか得られなかったようなフィードバックをより多くの人に届けることが可能です。

ターゲットユーザーと提供価値

(引用:note

現在SmartScoutは主にプロの野球チームや選手に活用されていますが、今後は高校・大学の野球部や草野球愛好者など幅広いアマチュア層にも対象を広げていく見込みです。技術の社会的価値として、データに基づく指導や練習を誰もが手軽に受けられるようになることで、選手の早期上達や怪我の防止、競技からの離脱者の減少といった効果が期待できます。また他社サービスとの差別化ポイントとして、スマホ一台で完結する手軽さとプロレベルで実証された高精度AIを兼ね備えている点が挙げられます。実際、投資家からも「スマホ1台でボール解析ができることで、トレーニングやスカウトの現場に日常的に溶け込み、将来的に野球界のインフラになり得るポテンシャルがある」と高く評価されている状況です。特に以下のようなメリットが期待されています。

  • プロ選手・チームにとって
    専門機器や測定スタッフがなくても、スマホで手軽に高度なデータ分析が可能となり、日々の練習やスカウティングの効率化に役立ちます。
  • アマチュア選手にとって
    コーチ不在でもAIによる客観的なフィードバックが得られるため、フォーム改善や怪我予防につながり、競技力向上をサポートします。
  • 指導者・スカウトにとって
    選手の細かなデータを即座に取得でき、才能の発掘や的確な指導に活用できます。現場の勘だけに頼らない科学的アプローチが可能です。

このようにKnowhereのサービスは、幅広い層に価値を提供し、スポーツ界全体の底上げに寄与しようとしています。まさに「誰もがスポーツが上手くなれる環境」をテクノロジーの力で実現する取り組みと言えるでしょう。

資金調達:2025年4月にグロービスらから総額4.8億円を調達

(引用:PR TIMES)

2025年4月、Knowhereはグロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家として総額4.8億円の第三者割当増資を実施しました。この資金調達ラウンドには、リードのグロービスのほかニッセイ・キャピタルなど複数のベンチャーキャピタルが参加し、さらに千葉ロッテマリーンズや東京ヤクルトスワローズの現役プロ野球選手らも個人投資家として出資しています。スポーツテック領域における大型調達となった今回の出資は、現場のプロ選手からも価値を認められたKnowhereの技術とビジョンに対する高い期待の表れと言えるでしょう。得られた資金により、同社はプロダクト開発の加速だけでなくグローバル展開やアマチュア市場へのサービス拡充を本格化させる計画です。

市場規模:スポーツテック世界市場、2032年には763.9億米ドルの見込み

(引用:Spherical Insights

スポーツテックの市場はグローバルで急成長しています。ある調査によれば、世界のスポーツテクノロジー市場は今後7年間で年平均14.27%という高い成長率が予測され、2022年の201.3億米ドルから2032年には763.9億米ドルに成長する見込みです。

この成長はスマートスタジアムの普及やAI・IoT技術の進歩など複数の要因に支えられており、競技力向上のみならず観戦体験や運営効率化など幅広い分野でスポーツ×ICTの需要が高まっているためだと考えられます。

(引用:BBT)

日本国内に目を向けてもスポーツテック市場は拡大傾向にあります。2019年に約310億円規模だった国内スポーツテック市場は、2025年には約1,547億円に達する見通しです。わずか数年で5倍近い成長が見込まれる計算であり、スポーツ庁もまた2025年までにスポーツ市場全体を15兆円規模に拡大すべくスポーツ界のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に注力しています。今後もスポーツテクノロジーの需要は拡大し続ける見通しで、こうした追い風を受けてKnowhereのようなスポーツテック企業にも一層の活躍の場が広がるでしょう。

会社概要

  • 会社名:株式会社Knowhere
  • 本社所在地:東京都港区北青山2-12-16 北青山吉川ビルB1階
  • 設立:2020年9月16日
  • 代表者:代表取締役 伊藤 久史
  • 公式サイトknowhere.co.jp

まとめ

スポーツとテクノロジーの融合によって新たな価値を創出するKnowhereは、プロの現場で鍛えられたAI技術を武器に、日本発のスポーツテックスタートアップとして飛躍を遂げようとしています。4.8億円の資金調達により経営基盤と開発力を強化した同社は、今後アマチュア向けサービスの提供開始や米国市場への本格進出を予定しており、野球界のみならずスポーツ界全体へのさらなる貢献が期待されるでしょう。トップアスリートの世界で証明された技術力をもとに、誰もが競技力向上を目指せる未来のスポーツ環境を実現する――そんなKnowhereの挑戦はこれからも続いていきます。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

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