KAPOK JAPAN株式会社は、サステナブルな繊維の開発とファッションブランドの運営を行う会社です。主な特徴は、東南アジアで収穫できる植物「カポック」を活用した素材開発です。
本記事では、同社の「カポック」を活用した具体的な事業内容や創業の経緯等について、詳しく紹介しています。
事業内容:「カポック」を活用したサステナブルな衣服
KAPOK JAPAN株式会社は、サステナブルな繊維の開発とファッションブランドの運営を行う会社です。主な特徴は、東南アジアで収穫できる植物「カポック」を活用した素材開発です。「カポック」は従来、クッションや枕などに使われていましたが、KAPOK JAPANはこの素材をファッション業界に革新的に導入しました。
同社の目標は、環境に優しい素材を使って、誰もが簡単にサステナブルな選択ができる世界を作ることです。そのために、植物由来の素材とテクノロジーを組み合わせた新しい繊維の開発に力を入れています。
主力サービス
KAPOK JAPANの主力サービスは、自社ブランド「KAPOK KNOT」の運営です。このブランドは、カポック素材を使用したファッション製品を提供しています。
「KAPOK KNOT」は、サステナビリティとファッションを融合させた新しいコンセプトのブランドです。従来のファッション業界では使われていなかったカポック素材を活用し、環境に配慮しつつスタイリッシュな製品を生み出しています。
ブランドの特徴は、以下の点です:
- 環境への配慮:植物由来の素材を使用し、環境負荷を低減
- 革新的な素材開発:カポックの特性を活かした新しい繊維技術
- スタイリッシュなデザイン:サステナビリティと美しさの両立
KAPOK JAPANは、消費者に対して「ゼロコストでサステナブルな選択肢」を提供することを目指しています。つまり、環境に優しい製品を選ぶことで追加のコストや負担がかからないようにすることを目標としています。
さらに、同社は素材開発にも力を入れています。カポックを中心とした植物由来の新素材開発は、ファッション業界全体に影響を与える可能性があります。
カボックとは
カポックは、東南アジアに自生する植物の名前で、その実から取れる繊維のことを指します。
以下にカポックの特徴をまとめます。
- 原産地:主に東南アジアの熱帯地域に自生
- 用途:従来は主にクッションや枕の中綿として使用
- 特性:軽量・保温性が高い・水に浮く性質がある
カポックは、植物由来の素材であるため、環境に優しい素材として注目されています。特に、動物由来の素材(例えば羽毛)の代替として期待されています。
カポックは、その特性と環境への配慮から、サステナブルファッションの分野で注目を集めている素材です。従来の用途を超えて、新しい可能性を秘めた素材として研究開発が進められています。
創業の経緯:汚染産業であるファッション産業を変えたい
KAPOK JAPAN株式会社の創業は、深井喜翔(ふかい きしょう)氏のビジョンから始まりました。
深井氏は、ファッション業界のサステナビリティに関する課題に着目しました。ファッション産業は世界第2位の汚染産業と言われており、環境への負荷が大きい問題がありました。特に、動物由来の素材(例えば羽毛など)の使用が環境や動物福祉の観点から課題となっていました。
深井氏は、これらの問題を解決する方法として、カポックという植物に注目しました。カポックは東南アジアに自生する植物で、その実から取れる繊維は軽量で保温性が高いという特徴があります。
2020年10月、深井氏はこのカポック素材を活用したファッションブランド「KAPOK KNOT」を立ち上げました。これは、サステナビリティとファッションを融合させる新しい試みでした。この想いのもと、KAPOK JAPANは「誰もがゼロコストでサステナブルな選択肢を取り入れられる世界」の実現を目指して事業を展開しています。
5社との資本業務提携→事業拡大と研究開発が加速
KAPOK JAPAN株式会社の資金調達に関する詳細な情報は限られていますが、最近の重要な動きについて説明します。
2024年、KAPOK JAPANは5社との資本業務提携を行いました。この提携は、新素材開発とブランド拡大のための重要な一歩となります。
提携先の5社は以下の通りです。
- 株式会社梶製作所
- 三晶株式会社
- 双葉商事株式会社
- 河野貴伸氏
- 株式会社Warm Heart Cool Head
この提携の特徴は、モノづくりに関わる様々な分野の専門家が参加していることです。これにより、素材開発から製品化、販売までの一貫した体制が構築されます。
資金調達額の具体的な数字は公開されていませんが、この提携によってKAPOK JAPANの事業拡大と研究開発が加速することが期待されます。
また、KAPOK JAPAN株式会社は2023年10月に経済産業省の「J-Startup Impact」プログラムに選定されています。このプログラムは、革新的なスタートアップ企業の成長を支援するものです。
選定理由として、「老舗アパレル企業として培ってきた土壌を生かしつつも、カポックという新しいサステナブル素材を活かしたアパレルブランドの展開は、新たな事業承継のロールモデルとなりうる」と評価されています。
この選定は直接の資金調達ではありませんが、政府からの支援や信頼を得たことを示しており、今後の資金調達や事業展開にプラスの影響を与えると考えられます。
将来展望:サステナブルな繊維開発とグローバル展開
KAPOK JAPAN株式会社の将来展望は、サステナブルな繊維開発とグローバル展開に焦点を当てています。
- 新素材開発の加速: KAPOK JAPANは、カポックを中心とした植物由来の新素材開発に注力しています。特に、羽毛の代替素材として、カポックの特性を活かした高機能素材の開発を目指しています。この取り組みは、アパレル業界全体のサステナビリティ向上に貢献する可能性があります。
- グローバル展開: 2024年には、ブランドのグローバル展開を見据えた動きが始まっています。同年4月には欧州のラグジュアリーブランドとの商談も予定されており、国際市場への進出を積極的に推進しています。
- 技術革新: KAPOK JAPANは、5社との資本提携を通じて、「サステナビリティとユーザーメリットを両立する新素材開発」に取り組んでいます。この技術革新により、環境に優しくかつ高機能な素材の実現を目指しています。
これらの展望を通じて、環境への配慮と消費者ニーズの両立をしながら、事業を展開していくことが期待されます。
市場規模:世界羽毛衣料の市場規模は2兆円
KAPOK JAPANによると、世界羽毛衣料の市場規模は2兆円です。この巨大な市場を同社はターゲットとしています。
さらに、ローランドベルガーの調査によると、世界のアパレル産業は依然として成長産業です。最新の予測によると、世界のアパレル市場は2025年までに年平均成長率3.6%(実質ベース)、名目ベースでは7.6%で成長する見込みです。具体的には、2015年に1306億ドルだった市場規模が、2025年には2713億ドル(名目ベース)に達すると予想されています。
会社概要
会社名:KAPOK JAPAN株式会社
設立:2020年
事業内容: アパレル製品の商品企画・貿易・販売
代表: 深井喜翔
本部: 大阪府吹田市千里山東1丁目7番18号
公式サイト: https://kapok-japan.com/
まとめ
本記事では、同社の「カポック」を活用したサステナブルな繊維の開発とファッションブランドの運営を行うKAPOK JAPAN株式会社を紹介しました。
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