最終更新日 25/02/13
国内スタートアップ

HelloWorldが創る新しい国際交流のカタチ!日本にいながら留学体験を実現

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(引用:HelloWorld株式会社|note)

グローバル化が進む現代において、異文化交流や語学学習の重要性はますます高まっています。しかし、海外留学には費用や時間の制約があり、多くの人にとって実現が難しいのが現実です。

そこで、HelloWorld株式会社(以下、HelloWorld)は「まちなか留学」をはじめとするユニークなプログラムを展開し、日本国内にいながら異文化に触れ、英語を学ぶ機会を提供しています。本記事では、同社の事業内容や市場動向、そして今後の展望について詳しく紹介します。

事業内容:すべての人に国際交流機会を提供するサービスを展開

HelloWorldの事業イメージ(引用:PR Times)

HelloWorldは、全ての子どもたちに「多様性」に触れる国際交流機会を提供するため、以下の4つの事業を展開しています。

  • まちなか留学:日本にいながら外国人家庭でホームステイ体験
  • WorldClassroom:ICTを活用した英語学習・国際交流プラットフォーム
  • まちなかENGLISH QUEST:質の高いAll Englishの教育旅行プログラム
  • まちなか留学基金:すべての子ども達に留学体験を提供

事業①:「まちなか留学」日本にいながら外国人家庭でホームステイ体験

(引用:「まちなか留学」公式HP)

HelloWorldが提供する「まちなか留学」は、日本国内に住む外国人家庭でホームステイを体験できるプログラムです。子どもたちは週末にホストファミリーのもとで24時間滞在し、異文化交流の中で英語を学ぶことができます。

現在、このプログラムは関東や沖縄を中心に展開されており、60カ国以上の外国人ファミリーがホストとして登録。累計利用者数は9000人を超え、多くの子どもたちがこの体験を通じて英語学習への意欲を高めています。

まちなか留学の魅力:海外に行かずに英語漬けの環境を実現

まちなか留学のイメージ(引用:「まちなか留学」公式HP)

「まちなか留学」の最大の魅力は、日本にいながら本格的な英語環境と異文化体験ができる点です。海外留学のように渡航する必要がなく、週末だけの短期間で英語漬けの生活を体験できます。

実際に、参加した子どもたちからは「英語を話すことへの抵抗感がなくなった」「もっと英語を学びたいという意欲が高まった」といった声が多く寄せられています。また、子どもだけでなく、社会人の利用も進んでおり、実践的な英語力を身につける場として幅広い層に支持されているそうです。

まちなか留学の特徴:安全性にも配慮

初めて訪れる家庭に子どもを預けることに不安を感じる保護者もいるかもしれません。しかし、「まちなか留学」では、安全性を確保するための厳格な審査と管理体制を整えています。

ホストファミリーの選定基準として、最低2人以上の家族構成であることを条件とし、事前に自宅訪問と面談を実施。すべての部屋を確認し、子どもが安心して過ごせる環境かどうかをチェックします。ホストファミリーの合格率は約35%と厳しく、合格後も研修を受けることが義務付けられています。

さらに、留学体験後には参加者からのアンケートを実施。フィードバックをもとに継続的な審査を行うなど、徹底した安全対策により、保護者も安心して子どもを送り出せる環境を実現しています。

事業②:「WorldClassroom」ICTを活用した英語学習・国際交流プラットフォーム

(引用:HelloWorld公式HP)

「WorldClassroom」は、日本と海外の教室をICTツールでつなぎ、英語学習と国際交流を促進するプラットフォームです。現在、世界40カ国・400校と提携し、日本国内でも80校が導入。累計利用者は6万5,000人を超え、今年度はその倍増が見込まれています。

このプログラムでは、音声認識技術を活用したスピーキング練習機能やスコアリング機能を提供し、子どもたちの自主学習をサポート。そのため、国際交流の授業を通じて英語学習への意欲を高めるだけでなく、教員の負担軽減にも貢献できます。

従来の英語学習との大きな違いは、外国人講師が指導するのではなく、日本と海外の子ども同士が直接対話できる点です。「会話が盛り上がれば英語が楽しくなり、思うように話せなかった場合は『もっと話せるようになりたい』と感じる」——こうしたリアルな体験を通じて、英語を自然に身につけられる環境を提供しています。

さらに、地域の魅力や文化、SDGsといったテーマをもとに、生徒が調査・プレゼンテーションを英語で作成し、海外の生徒と意見交換できる機会も用意。ICTを活用することで、実践的な英語学習と国際交流を同時に実現しています。

(引用:「WorldClassroom」公式HP)

事業③:「まちなかENGLISH QUEST」質の高いAll Englishの教育旅行プログラム

(引用:「まちなかENGLISH QUEST」公式HP)

「まちなかENGLISH QUEST」は、外国人と5~6人のチームを組み、英語のみで探究型フィールドワークを行う教育プログラムです。北海道大学やお台場、大阪城など、全国各地で開催され、これまでに累計1万3千人以上が参加しています。大人数でも楽しめる設計になっており、学校の課外活動や教育旅行として多くの教育機関に採用されています。

このプログラムの特徴は、ただ英語で街歩きをするのではなく、さまざまな難易度のミッションをクリアしていく仕組みになっていることです。英語を話すことに抵抗がある子どもでも、ゲーム感覚で楽しみながら参加でき、「英語を話せた!」という小さな成功体験を積み重ねることができます。その結果、英語への苦手意識を払拭し、自然と英語を好きになることが可能です。

また、参加者は多国籍のイングリッシュスピーカーとチームを組み、英語でコミュニケーションを取りながらミッションを達成していきます。異文化交流の要素も含まれているため、英語学習だけでなく、多様な文化に触れる機会としても好評です。

(引用:「まちなか留学」公式HP)

事業④:「まちなか留学基金」すべての子ども達に留学体験を提供

(引用:「まちなか留学基金」公式HP)

HelloWorldは、すべての子どもたちに留学の機会を提供することを目的に、非営利型一般社団法人HelloWorldを設立しました。その取り組みの一環として、公益財団法人みらいファンド沖縄と連携し、「まちなか留学基金」を運営しています。

この基金は、経済的に困難な状況にある家庭の子どもたちを対象に、「まちなか留学」や「まちなかENGLISH QUEST」といった国際交流プログラムを無償で提供するものです。

国際交流や留学体験は、子どもたちにとって視野を広げる貴重な機会となるだけでなく、自身が生まれ育った地域の魅力を再発見し、自らの価値観を見つめ直すきっかけにもなります。

しかし、留学には高額な費用がかかるため、その機会を得られるのは、経済的に恵まれた家庭の子どもや、学業成績が優秀で公的な支援プログラムに選抜された一部の学生に限られるのが現状です。

そこで、「まちなか留学基金」は、このような状況を変えるために、個人や企業、地域社会からの寄付を募り、安定した財源を確保。この財源をもとに、県内の教育委員会や学校と連携し、経済的な理由で留学を諦めざるを得ない子どもたちに対し、無償で「まちなか留学」の機会を提供しています。

(引用:「まちなか留学基金」公式HP)

資金調達:2024年8月に1.84億円を調達

(引用:PR Times)

2024年8月30日、HelloWorldは事業拡大に向けた長期運転資金の確保を目的に、株式会社沖縄銀行、株式会社三菱UFJ銀行、沖縄振興開発金融公庫から総額1.84億円の資金調達を行いました。本調達は無担保・無保証・株式の希薄化なしの条件で実現され、同社の事業成長や社会的インパクトが高く評価された結果といえます。

社会課題解決に貢献する事業と今後の展開

HelloWorldは「すべての子どもたちに留学体験を」という目標を掲げ、国内で気軽に異文化と出会える機会を提供。経済的・時間的な制約を理由に挑戦を諦めざるを得ない子どもたちに、平等な教育の機会を提供することで、学びの格差を解消することを目指しています。

今回の資金調達により、HelloWorldはさらなる人材の確保や、社会的な影響の可視化、提供プログラムの価値向上に取り組み、多様性のある社会の実現に向けた活動を一層強化していく方針です。さらに、地方銀行に加えてメガバンクや政府系金融機関からの支援を獲得したことは、同社の成長ポテンシャルが広く認められた証ともいえるでしょう。

市場規模:語学ビジネス市場は2023年に7841億円を記録

(引用:矢野経済研究所)

2023年の語学ビジネス市場は、コロナ禍の影響が和らぎ回復傾向にあります。矢野経済研究所によると、上図に掲載されている主要13分野を合計した市場規模は前年より0.2%増の7841億円を記録しました。しかし、円安や物価高、オンライン学習の普及など、業界の構造変化も進んでおり、事業者は新たな課題に直面しています。

市場回復の背景と分野別の動向

2023年度は、コロナ禍による行動制限がさらに緩和され、多くの分野で市場回復が見られました。特に、留学斡旋業界はコロナ禍で低迷していたものの、大きく回復。翻訳・通訳市場も同様の傾向を示しています。一方で、少子化による影響を受け、幼児・子供向けの語学教室や教材市場は厳しい状況が続いています。

成人向け外国語教育市場では、オンライン商談の普及や円安による海外渡航費の高騰が影響し、海外出張や赴任を目的とした語学ニーズは大きく回復していません。その一方で、訪日外国人観光客の増加に伴い、旅行・観光業界では外国語教育の需要が高まっています。

また、趣味・教養としての語学学習も回復傾向にあり、特にシニア層の受講者が戻りつつあるそうです。しかし、円安による旅行費の上昇が消費意欲の抑制要因となる可能性も指摘されています。

今後の展望と市場の課題

語学ビジネス市場は引き続き回復が見込まれるものの、円安や物価高といった経済要因が今後の成長を左右する可能性があります。また、ビジネスのオンライン化が進む中、海外渡航や赴任を前提とした語学教育の需要が減少しつつある点にも注意が必要です。

さらに、オンライン学習の普及やAI技術の進化が業界の競争環境を変えつつあります。生成AIを活用した英会話アプリなど、新たなサービスが登場し、従来の語学教室との競争が激化することが予想されます。事業者にとっては、デジタルツールを活用した新たな学習スタイルの提供や、顧客ニーズの変化に柔軟に対応する戦略が求められるでしょう。

企業概要

  • 企業名:HelloWorld株式会社
  • 代表者:代表取締役Co-CEO 野中 光 / 代表取締役Co-CEO 冨田 啓輔
  • 設立:2020年10月1日
  • 所在地: 本社 / 〒904-000 沖縄県沖縄市中央1-7-8
  • 事業内容:まちなか留学 / まちなか English Quest / World Classroom / まちなか留学基金
  • 公式HP:https://inc.hello-world.city/

まとめ

本記事では、すべての子どもたちに留学体験を提供するHelloWorld株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

HelloWorld株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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