最終更新日 25/04/03
国内スタートアップ

AIの“頭脳”を支える裏方!FastLabelが切り拓くデータセントリックAIの最前線

AIIT
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(引用:FastLabel公式HP)

AI開発の9割は、教師データづくりで決まる――。そう言われるほど、AIにとって「学習データ」の質は極めて重要な意味を持ちます。そんな中、この根本的な課題に正面から挑み、開発現場のボトルネックを解消しているのがFastLabel株式会社(以下、FastLabel)です。

データ収集からアノテーション、モデル開発、MLOps構築まで、AI開発に必要なプロセスを丸ごと支援。しかも、単なる業務代行ではなく、クラウドツールとプロフェッショナル人材によるハイブリッドな支援体制を構築している点が大きな特長です。

本記事では、FastLabelが提供する6つのサービス、主力プロダクト「FastLabel Data Factory」、高精度・高効率な支援体制の裏側、そして業界内での導入実績まで、徹底的に深掘りします。AI開発の質とスピードを根底から変えるFastLabelの特徴に迫ります。

事業内容:AI開発に必要なデータ整備とプロセス支援を一気通貫で提供

(引用:FastLabel公式HP)

FastLabelは、AI開発において極めて重要な「教師データ(=AIに学習させるためのデータ)」の整備を起点に、データ収集からアノテーション、モデルの精度改善、さらには開発環境の構築(MLOps)までを一貫して支援するスタートアップです。

近年注目されている「データセントリックAI(データの質を高めることでAIの性能を向上させる考え方)」を事業の軸に据えており、質の高いAIモデルを実現するための総合的なソリューションを提供しています。

AI開発では、全体の90%近くの工数が教師データの準備に割かれているとされ、その非効率さが多くの企業にとっての課題となっています。このボトルネックに着目し、データづくりにまつわる悩みを、プロダクトとプロフェッショナルサービスの両面から解決している点が同社の特徴です。

提供価値:プロフェッショナルサービスとプロダクトによる包括支援

(引用:FastLabel公式HP)

FastLabelは、AI開発における重要なプロセスを6つの支援領域に分け、それぞれに対して専門的なサポートを提供しています。プロフェッショナル人材による伴走支援と、自社開発のクラウドツールによって、あらゆるフェーズの課題に対応している点が同社の強みです。

<FastLabelが提供するソリューション一覧>

  • データセット提供:AIの学習に必要な画像・動画・音声・テキストなどのデータを、権利処理済みかつ高品質な状態で収集・販売。既存のストックデータに加え、新規の撮り下ろしにも対応しています。
  • アノテーション代行:アノテーションとは、AIがデータの中身を理解できるように「これは車」「これは信号」といったラベルを付ける作業のことです。FastLabelでは、非構造化データ(画像・音声・テキストなど)に対して、専門チームと独自の品質管理体制により、正確で一貫性のあるアノテーションを実施。高精度なAI開発の土台を支えています。
  • 生成AI向けデータ作成:LLM(大規模言語モデル)やVLM(マルチモーダルAI)向けに特化した教師データの作成にも対応。Instruction Tuningデータや、複数形式を組み合わせたマルチモーダルRAG用データなど、生成AI領域にもサービスを展開しています。
  • モデル開発支援:データの撮影条件や正確性・統一性を精査し、AIモデルの学習・評価をサポート。学習後の評価結果をもとに精度向上のための改善提案まで行います。
  • FastLabel Data Factory:教師データの収集から管理、アノテーション、学習、評価、運用までを一元化するSaaS型プラットフォーム。開発チームだけでなく、非エンジニアや外部パートナーとの共同作業も可能にします。
  • データコンサルティング:開発プロジェクトの初期段階から入り込み、課題の洗い出しや体制構築、スケジュール設計など、プロジェクト推進に必要なあらゆる支援を提供します。

主力プロダクト:FastLabel Data Factoryによる開発効率の最大化

(引用:FastLabel公式HP)

FastLabelの中核をなす「FastLabel Data Factory」は、教師データの準備からモデルの評価までを一気通貫で支援するクラウドベースのアプリケーションです。AI開発におけるさまざまな非効率を解消し、開発プロセス全体の生産性を大幅に向上させます。

<FastLabel Data Factoryの機能>

  • 非構造化データの一括処理:画像や音声、動画、テキスト、3Dなど、多様なデータ形式を統合管理。個別ツールを使い分ける必要はありません。
  • 自動アノテーション機能:AIによる下書きラベルの自動生成により、作業効率を大幅に改善。人手による確認・修正との組み合わせで、精度も確保されます。
  • バージョン管理・トレーサビリティ:「誰が」「いつ」「どのように」データを扱ったのかを記録・可視化し、再現性と信頼性のあるデータ活用を実現します。
  • セキュリティ・ガバナンス機能:IPアドレス制限や多要素認証、詳細な権限管理に対応。ISO/IEC 27001認証の取得や、定期的な脆弱性診断も実施しています。
  • クラウド連携:AWSやGCP、Azureといった主要クラウドサービスとの連携を標準装備。既存の開発環境にもスムーズに統合可能です。

事業の特徴:高精度・高効率な教師データ整備と柔軟な伴走支援

FastLabelの強みは、単にツールを提供するだけでなく、アノテーション仕様の策定や運用フローの設計など包括的なサポートを行う体制にあります。

独自の品質管理プロセスは、生産管理の概念をベースに設計されており、精度と再現性の両立を実現。さらに、プロダクトと人の力を組み合わせたハイブリッド運用により、高効率な開発環境を提供しています。

また、プロジェクトの立ち上げから内製化の支援まで、企業の成熟度に応じて柔軟に対応できる点も大きな魅力です。0→1フェーズでは手厚い伴走支援を行い、1→100フェーズでは自走をサポートするなど、段階的に価値を提供できる体制を整えています。

支援実績:自動運転や医療など高難度分野での豊富な導入事例

FastLabelはこれまでに、自動運転(AD/ADAS)や医療画像診断、製造業、スマートシティなど、先端技術を活用する企業・組織に対して多数の支援を実施してきました。これらの分野では、高精度・高信頼のデータが不可欠であり、FastLabelの技術力と運用体制が強く求められています。

特にエンタープライズ企業との共創によって蓄積されたアノテーションノウハウは、同社の競争優位性の源泉となっています。難易度の高いデータ仕様にも柔軟に対応できることから、業界内での信頼も厚く、今後さらなる展開が期待されるでしょう。

資金調達:2025年3月にみずほ銀行から2億円を調達

(引用:PR Times)

2025年3月28日、FastLabelは株式会社みずほ銀行からのデットファイナンスにより、2億円の資金調達を実施しました。今回の調達は、サービス領域で急増する需要への対応を目的としており、リソースの確保や技術開発体制の強化が主な狙いです。

あわせて、FastLabelは将来的な株式上場を視野に入れ、長期的に安定した資金基盤の構築も進める方針を示しています。こうした取り組みにより、AI開発支援領域における事業展開を一層加速させる構えです。

市場トレンド:急成長を遂げるAIトレーニングデータ市場

(引用:Business Research INSIGHTS)

FastLabelが注力するAI開発支援の分野は、いまや世界的に拡大する巨大市場と密接に結びついています。特に、AIの進化を支える根幹ともいえる「AIトレーニングデータ市場」は、今後のテクノロジー産業を牽引する存在として注目を集めている領域です。

この市場の規模は、2024年時点で約48億5,000万米ドルに達し、2033年には340億米ドルへと拡大する見通しです。年平均成長率(CAGR)は24.16%という極めて高い水準で推移すると予測されており、異例のスピードで成長を続けていることがわかります。

成長のドライバーとなっているのは、ラベル付きの高品質データに対する需要の急増です。AIが医療や金融、自動運転など、さまざまな分野に実装される中、現実世界の多様な条件を忠実に再現できるトレーニングデータの重要性が飛躍的に高まっています。このような背景から、FastLabelのようにデータ収集からアノテーション、整備までを一貫して担えるプレイヤーの役割は、今後さらに重要になっていくでしょう。

近年では、テキスト・画像・音声といった複数のデータ形式を組み合わせた「マルチモーダルデータセット」の需要も拡大傾向にあります。こうしたトレンドは、AIアプリケーションの高度化と多様化を反映したものであり、データ整備の方法そのものにも革新が求められています。

AI時代の基盤インフラとして注目されるトレーニングデータ市場。その中心で、FastLabelが果たす役割には今後ますます期待が高まりそうです。

企業概要

  • 企業名:FastLabel株式会社
  • 代表者:代表取締役CEO 鈴木健史
  • 設立:2020年1月23日
  • 本社所在地:〒163-0224 東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル24階
  • 事業内容:Data-centric AI開発を支援するプロフェッショナルサービスとプロダクトの提供
  • 公式HP:https://fastlabel.ai/

まとめ

本記事では、AI開発に必要なデータ整備とプロセス支援を一気通貫で提供するFastLabel株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

FastLabel株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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