最終更新日 25/02/14
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子どもの「生きづらさ」に寄り添う訪問看護!カケミチプロジェクトが切り拓く新しい支援

ヘルスケア
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(引用:「ナンナル」公式HP)

不登校の児童・生徒は年々増加し、いじめや児童自殺の問題も深刻化しています。しかし、日本の児童精神科医はわずか約500名しかおらず、診察の待機期間は数カ月に及ぶことも珍しくありません。こうした環境の中で、十分なケアを受けられずに苦しむ子どもたちが数多く存在しています。

この課題を解決するために立ち上がったのが、株式会社カケミチプロジェクト(以下、カケミチプロジェクト)です。同社が運営する児童精神科専門の訪問看護ステーション「ナンナル」は、医療・福祉・教育をつなぎ、子どもとその家族に寄り添う支援を提供しています。

その革新的な取り組みは評価され、Forbes JAPANの「世界を変える次世代インパクトスタートアップ30社」にも選出されました。

本記事では、カケミチプロジェクトがどのように児童メンタルヘルスの問題に取り組み、社会にインパクトを与えているのかを詳しく紹介していきます。

事業内容:「ナンナル」児童精神科専門の訪問看護ステーション

(引用:PR Times)

「ナンナル」は、不登校やメンタルヘルスの課題を抱える子どもたちを支援する、児童精神科専門の訪問看護ステーションです。

東京都内に4カ所を展開し、看護師や作業療法士が自宅を訪問。子どもとその家族に寄り添った支援を提供しています。設立以来、延べ28,000回以上の訪問を実施しており、家庭環境に即したサポートを行っている点が特徴です。

背景:深刻化する児童のメンタルヘルス問題

日本の不登校児童・生徒は34万人を超え、10年連続で増加しています。いじめや児童自殺の問題も深刻化し、適切な支援を求める家庭が増えているのが現状です。

しかし、国内の児童精神科医は約500名にとどまり、診察の待機期間が3カ月以上に及ぶことも珍しくありません。さらに、外来診療の1回あたりの診察時間は10~15分程度と短く、子ども一人ひとりに十分なケアを提供するのが難しい状況です。

このような課題を解決するため、カケミチプロジェクトは2021年4月に「ナンナル」を設立。訪問看護という新たなアプローチで、より手厚い支援を可能にしました。

「ナンナル」の4つの特徴

(引用:「ナンナル」公式HP)

「ナンナル」は、以下の4つの軸で長時間かつ継続的な訪問看護を提供しています。

  1. 生活の困りごと支援:食事や睡眠のリズムを整え、学校復帰へのステップを共に考えます
  2. 病気の悪化予防・服薬支援:精神疾患を持つ子どもに適切な服薬管理を行い、健康状態をチェックして病状の悪化を防ぎます
  3. 社会参加のサポート:不登校やひきこもりが長期化すると、社会との接点が失われるリスクがあるため、学校や地域活動への参加を後押しします
  4. 家族への支援:子どものメンタルヘルス問題は家族にも影響を与えるため、親の悩みに寄り添い、精神的負担を軽減するサポートを提供します

「ナンナル」は、医療・福祉・教育の連携を強化しながら、一人ひとりに最適な支援を提供。子どもと家族が安心して暮らせる環境をつくることを目指しています。

実績:インパクトスタートアップ協会に加盟

(引用:PR Times)

カケミチプロジェクトは2025年1月16日、一般社団法人インパクトスタートアップ協会(Impact Startup Association、以下「ISA」)に正会員として加盟しました。これにより、同社の児童精神科訪問看護事業のさらなる発展と、支援ネットワークの拡充が期待されます。

インパクトスタートアップ協会(ISA)とは?

ISAは、社会課題の解決と持続可能な成長を両立する企業(インパクトスタートアップ)の支援を目的に、2022年10月に設立された団体です。発足当初23社だった正会員は、約3年で206社に拡大。大企業10社の賛同会員とも連携し、スタートアップと行政・企業の橋渡しを行っています。

同協会は「共有」「形成」「提言」「発信」の4つの柱を掲げ、社会課題解決型ビジネスの成長を後押ししています。

カケミチプロジェクトがISAに加盟した理由

カケミチプロジェクトは、「ヒトが夢見る力を失わずに 現実を生きる世界を創造する」をビジョンに掲げ、児童思春期を中心としたメンタルケア支援を展開してきました。

これまで、KIBOW社会投資ファンドや金子書房などの支援を受けながら、新たな看護ステーションの開設や本社機能の強化を推進。より多くの子どもや家族が適切なメンタルケアを受けられる環境を整えてきました。

今回のISA加盟を通じ、以下の3つの取り組みを強化していくとしています。

  • 訪問看護事業の拡大
    • ISA加盟企業との連携を強化し、訪問看護サービスの規模と質を向上
  • 社会課題解決モデルの発信
    • 児童精神科訪問看護の重要性を広め、政府・行政との連携を推進
  • 支援ネットワークの拡充
    • 医療・福祉・教育分野と協力し、包括的なメンタルケア支援を強化

資金調達:2023年10月に実施

(引用:PR Times)

カケミチプロジェクトは2023年10月31日、日本初の児童精神科専門の訪問看護ステーション「ナンナル」の運営拡大を目的に、KIBOW社会投資ファンド3号および株式会社金子書房から共同出資を受けました。

今回の資金調達により、同社は新たな看護ステーションの開設や本社機能の強化を進める予定です。また、グロービス経営大学院の森暁郎氏が社外取締役として参画を予定しており、これまで培った実績やノウハウを活かし、より広範な支援ネットワークの構築を目指すとしています。

「ナンナル」のこれからの事業目標(引用:「ナンナル」公式HP)

企業概要

  • 企業名:株式会社カケミチプロジェクト
  • 代表者:代表取締役 岡 琢哉
  • 設立:2020年12月28日
  • 所在地: 〒166-0001 東京都杉並区阿佐谷北3丁目2番10号
  • 事業内容:訪問看護事業 / 食料品販売事業
  • 公式HP:https://kakemichi.com/

まとめ

本記事では、児童精神科専門の訪問看護ステーション「ナンナル」を運営する株式会社カケミチプロジェクトについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社カケミチプロジェクトのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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