今回ご紹介するスタートアップは、「株式会社ぺこり」(以下、ぺこり)です。
ぺこりは、連続起業家として知られる三宅伸之氏によって設立。同社は2024年11月27日、新たなサービスとして「Kimochiru(キモチる)」を正式にリリースしました。
この「Kimochiru(キモチる)」は、手軽に感謝の気持ちを伝えられるユニークなカード型投げ銭システムです。このサービスを利用すると、カードを渡すだけで、店員にチップやメッセージを簡単に送ることができます。利用者は「ありがとう」という気持ちをスマートに表現でき、受け取った従業員はチップを通じて収入アップが期待できるため、双方にとって大きなメリットをもたらす仕組みとなっています。
ぺこりの新サービスは、人々の日常に新たな「感謝」の文化を根付かせるかもしれません。今後のさらなる展開が期待されるぺこりについて、その事業内容や特徴を詳しく掘り下げていきます。
事業内容:店員にチップを渡せる「Kimochiru(キモチる)」
ぺこりは、店員への感謝の気持ちを簡単に表現できる「Kimochiru(キモチる)」というサービスを提供しています。このサービスは、気持ちの良い接客をしてくれた方に、特別な手続きなしで感謝を伝えることができるカード型の「リアル投げ銭」システムです。
渡す際にアプリのダウンロードや会員登録は必要なく、店舗側もわざわざサービスを導入する必要がありません。カードを受け取った方は、カードの二次元コードを読み込むだけで、感謝の気持ちを表す「グッジョブスタンプ」やメッセージを受け取ることができます。さらに、スタンプを集めることで「ランク」や「仕事の評価」が上がり、これに応じてぺこり社からポイントが進呈されます。ポイントはクーポンやAmazonポイントなどに交換可能です。
<「Kimochiru(キモチる)」の具体的な使い方>
- 渡す側の流れ
- グッジョブスタンプ入りKimochiruカード購入
- またはKimochiruカードの二次元コードからグッジョブスタンプを購入
- Kimochiruカードを渡す
- グッジョブスタンプ入りKimochiruカード購入
- 受け取る側の流れ
- Kimochiruカードを受け取る
- Kimochiruカードの二次元コードからグッジョブスタンプやメッセージを受け取る
- 受取側のランクに応じてポイントも進呈
なお、利用者の感謝の気持ちを表す「グッジョブスタンプ」には、「グッジョブ」「veryグッジョブ」「エクセレント」の3種類があり、これらのスタンプをためることでランクが上がります。
また、さまざまなKimochiruカードが用意されており、グッジョブスタンプ入りでサクッと渡せる「Kimochiru」や、スタンプを選んでメッセージ編集もできる「Kimochiru Custom」があります。居酒屋や宅配、美容室、ホテルなど、さまざまな場面で活躍が期待されます。
「Kimochiru(キモチる)」の誕生背景
気持ちの良い接客は、日常に彩りを添え、顧客の1日を明るくします。同じお店で同じ価格の商品やサービスを受ける場合でも、接客の質によって顧客体験価値は大きく変化するでしょう。
しかしながら、現状では接客の良し悪しが提供する人の報酬に反映される仕組みは乏しく、接客業における報酬体系は固定的です。原価や賃料が変えにくいサービス業では、従業員の給与を上げることが難しいという構造的な課題があります。
このような課題を解決するために、「接客の良い方に対して私たちにできることはないか」と考えた結果、数年間にわたる共同創業メンバーとの試行錯誤を経て生まれたのが、カード型リアル投げ銭「Kimochiru(キモチる)」です。このサービスは、接客の良い方々に「ホンノキモチ」を簡単に届けられる未来を目指して開発されました。
現在、Web上ではインフルエンサーをはじめとする多くの人が、自分の持ち味を発揮して活躍の場を広げています。たとえば、Fintertech社の調査によると、Web投げ銭サービスの国内市場規模は約367億円(2021年11月時点推計)に達しており、オンラインの世界ではこうしたサービスが広く浸透し、大きな市場になりました。
一方で、リアルな場面では投げ銭の機会はまだ十分に提供されておらず、リアルな世界でも多様な評価軸で活躍できる仕組みを作り出すことが必要だと考えたそう。そこで、その第一歩として、サービス業で働く方々がその持ち味を発揮しやすく、伸ばしやすく、そして評価されやすい環境を整備するため、「Kimochiru(キモチる)」は生まれました。この仕組みによって、従業員の手取りを増やし、生活がより充実するようサポートしていくとしています。
サービス料金以外のお礼をしたいと思った経験がある人が約4割
(引用:ぺこり公式HP)
ぺこりが行ったアンケートでは、約4割(38%)の人が「サービス料金以外のお礼をしたい」と感じた経験があると回答しました。
- アンケート詳細
- 調査方法:インターネット調査
- サンプル数:300
- 居住地:全国
- 年齢:25歳以上 49歳以下
- 回収期間:2024年08月19日
この結果は、「Kimochiru(キモチる)」のようなサービスが社会的に必要とされていることを示しているといえます。
なお、日本でチップの文化を醸成しようとするスタートアップは他にもあり、その代表例が「株式会社チッピー」です。同社はシードラウンドで1.5億円を資金調達したり、多くの鉄道会社と協業したりと、実績を積み重ねています。
株式会社チッピーについて気になる方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
創業者プロフィール:三宅伸之
1977年、岡山生まれ。大学卒業後。システムエンジニア3年、博報堂DYグループの広告会社で営業7年従事。2012年に岡山で株式会社ミーニュー創業。2013年 献立自動作成サービス「ミーニュー」ローンチ、2018年・2019年大企業2社との資本業務提携。2021年4月 大手食品宅配サービスと連携し、献立作成〜食材注文〜料理までをワンストップで提供するサービス提供開始。2021年8月 M&Aで大手食品メーカーにグループ入り。2022年12月 ミーニュー代表を退任。2023年6月 株式会社ぺこり創業。
企業概要
- 企業名:株式会社ぺこり
- 代表者:代表取締役 三宅伸之
- 設立:2023年6月16日
- 所在地: 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目3−1 幸ビルディング
- 公式HP:https://info.peccori.com/
まとめ
本記事では、店員への感謝の気持ちを簡単に表現できる「Kimochiru(キモチる)」というサービスを提供する株式会社ぺこりについて紹介しました。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
株式会社ぺこりのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。