最終更新日 24/09/04
国内スタートアップ注目企業

【AstroX】気球からロケットを発射!最前線を進む注目の宇宙スタートアップ

宇宙
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引用:https://astrox.jp/世界初の方位角制御を行い気球からのモデルロケ/

内閣府によると、2022年に世界で約2400機の人工衛星が打ち上げられました。10年前の2013年には206機しか打ち上げられておらず、この間に約11倍の成長を遂げているのです。

2024年4月に発表されたWEFのレポートによると、宇宙産業の市場規模は2023年時点で6300億ドルを記録しており、2035年には1兆7900億ドルに達すると予想されています。

このように宇宙産業は世界的に伸びると見込まれているのに、日本はいまだ遅れをとっている状況です。実際に日本は民間衛星の99%を海外の大型ロケットにライドシェアする形で打ち上げており、他国に振り回されるしかないそう。

そこで日本の発展のため、低コスト・自由に人工衛星を飛ばせるよう尽力している企業が「AstroX株式会社」(以下、AstroX)です。同社は気球で成層圏までロケットを放球し、そこからロケットの空中発射を行うロックーンという技術を開発しています。

最近ロケットの発射にも成功しており、注目を集めるAstroXについて紹介していきます。

事業内容:「ロックーン方式」というロケット打ち上げ技術の研究

引用:https://astrox.jp/

AstroXの事業内容は、「ロックーン方式」と呼ばれるロケット打ち上げ技術の研究や、この打ち上げに用いるロケットの開発です。「ロックーン方式」では、気球によってロケットを成層圏まで運んだ後、空中で点火・発射します。

AstroXが熱心に「ロックーン方式」を研究する理由は、以下の4つのメリットを享受できるからです。

  • 発射場などの地上設備が不要となり、発射スペースを確保しづらい日本に最適
  • 成層圏は天候が安定しているため、打ち上げが地上の天候に左右されない
  • 打ち上げ場所を選択し、任意の軌道に直接投入可能
  • 空気抵抗が少ないため、より少ないエネルギーで目標地点まで到達可能

しかし、「ロックーン方式」での衛星ロケット発射に成功した事例はなく、世界中が鎬を削っています。そんな中、着実に成果を出し続けているのがAstroXです。

2024年:超小型ハイブリッドロケット「kogitsune」の発射に成功

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000101722.html

AstroXは2024年8月に、超小型ハイブリッドロケットの発射実験に成功したと発表。千葉工業大学の学生らが設計製作したものをベースに、改良を加えたロケット「kogitsune」を実機として使用しています。

地上からの到達高度は300mに達したそうで、今回のロケット打ち上げ実験を通して、小型ロケットの開発に必要な技術の成熟と、洋上からロケットを回収するノウハウの確立も同時に確認したとのこと。

2023年:サブオービタルロケット「FOX」の空中発射時の姿勢制御に成功

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000101722.html

AstroXは2023年12月に、サブオービタルロケット「FOX」を用いて、空中発射時の姿勢制御に成功したと発表しました。

サブオービタルロケット「FOX」とは、空中でのロケット発射時の姿勢制御を行う装置。内部でフライホイールという円盤が地面と垂直に高速回転しており、それを傾けることで水平方向の回転力を生み出すジャイロ効果を利用しているそう。

クレーンで装置やロケットをつり上げ、ロケットの角度を変えることで、自在に方位を定める性能をチェックしました。

2022年:方位角制御を用いた気球からのモデルロケット空中発射に成功

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000101722.html

AstroXは2022年12月に、方位角制御を用いた、気球からのモデルロケット空中発射に成功したと発表。この試みは世界初であり、本試験で得た成果をもとに、今後は大型化、高高度化を図るそうです。

資金調達:シードラウンドにて5000万円を獲得

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000101722.html

AstroXは2022年12月に、シードラウンドにて5000万円の資金調達を実施したと発表しています。なお資金調達の方法としては、株式会社ANOBAKA、スパークル株式会社を引受先としたJ-KISS型新株予約権の発行です。

今回調達した資金をもとに、2025年の宇宙空間到達を目指して、現在開発している技術実証機の開発を加速するそう。

市場規模:宇宙産業は2035年に1兆7900億ドルまで成長

引用:https://www3.weforum.org/docs/WEF_Space_2024.pdf

2024年4月にWEFが発表した「Space: The $1.8 Trillion Opportunity for Global Economic Growth」によると、宇宙産業は2023年時点で6300億ドル(約100兆円)を記録。今後は2030年に1兆1600億ドル(約185兆円)、2035年には1兆7900億ドル(約286兆円)になると予想されています。

企業概要

  • 企業名:AstroX株式会社
  • 代表者:代表取締役 小田翔武
  • 設立:2022年5月20日
  • 所在地: 〒979-2124 福島県南相馬市小高区本町1-87(本社)
  • 公式HP:https://astrox.jp/

まとめ

本記事では、「ロックーン方式」と呼ばれるロケット打ち上げ技術を研究するAstroX株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

AstroX株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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