最終更新日 24/10/02
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【Cerebras】NVIDIA超えを謳うAI推論サービスを提供開始!今注目のAI半導体スタートアップ

AI製造
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引用:https://cerebras.ai/

ChatGPTが巻き起こした空前の生成AIブームを受けて、「一人勝ち」を続けている米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)。2024年6月18日のニューヨーク株式市場では、時価総額が3兆3300億ドルに達し、IT大手のマイクロソフトを抜いて世界1位を達成しました。みずほ証券の分析によると、AI半導体の市場で70〜95%のシェアを持つほど、NVIDIAは成長を遂げたそうです。

しかし、他の企業が肩を並べることすら難しい、このAI半導体市場において、注目を集めているスタートアップがあります。それがCerebras Systems(セレブラス・システムズ)です。同社はAIに特化した半導体・コンピュータシステムの開発に取り組んでおり、特に「The Cerebras Wafer-Scale Engine」という大型半導体で知られています。

Cerebras Systems(以下、Cerebras)は、2024年8月27日に新サービス「Cerebras Inference」を発表し、NVIDIAの半導体を用いた推論サービスと比べて22倍高速だとアピール。2024年末には株式公開を計画しているとも報道されており、NVIDIAの競争優位を揺らがせています。

この記事では、このように注目を集めるCerebrasについて詳細に説明します。

事業内容:AI半導体・コンピュータシステムの開発

引用:https://cerebras.ai/press-release/cerebras-g42-announce-condor-galaxy-3

Cerebraの事業内容は、「ディープラーニング専用のコンピューターシステム」の開発です。AI半導体の開発はもちろん、生成AIモデルの作成、生成AI用スーパーコンピュータの開発・提供など、広く事業を展開しています。

Cerebraの代表製品:大型AI半導体「WSE-3」

大型AI半導体「WSE-3」:一辺が21.5cmの正方形である、世界最大の単一チップ

Cerebraの代表的な製品の1つが、大型AI半導体「WSE-3」です。4兆個のトランジスタを搭載した世界最速のAIチップと謳っており、従来のWSE-2と同等の消費電力・コストで、2倍の性能を実現できるそう。また最大1.2PBの巨大なメモリシステムを搭載しており、GPT-4やGeminiの10倍の大きさのモデルをトレーニングできるよう設計されています。

同社が開発してきた半導体に共通する最大の特徴は、やはりチップの大きさNVIDIAなどの通常の半導体とは異なり、全体を1つのチップとして使用し、数百万のコアを搭載しています。この設計により、従来のAI半導体を大幅に上回る性能を発揮し、大規模なAIモデルにおける迅速な処理を可能にしているそうです。

ニュース①:NVIDIA超えを謳うAI推論サービスを提供開始

引用:https://cerebras.ai/blog/introducing-cerebras-inference-ai-at-instant-speed

Cerebrasは2024年8月27日に、高速の*AI推論サービス「Cerebras Inference」を発表しました。

*AI推論:AIにプロンプトを入力して出力を得る処理のこと。AIの計算処理は、AIモデルを構築する「学習」と、この「推論」の2つに大別されます。

同社のCerebras Inferenceは、NVIDIAのH100という半導体を用いた推論サービスと比べて、処理速度が22倍速く、コストは5分の1に抑えられると謳っています。なおCerebras Inferenceのサーバーは、同社が独自開発したチップ「WSE-3」を用いて構築されており、高速な推論処理にもしっかりと対応できるそうです。

Cerebras Inferenceとその他の推論サービスの「1秒当たりの処理トークン数」を示すグラフ

Meta社が開発したLLM「Llama 3.1 8B」の推論処理を実行した結果、GPUで構築された他のクラウド推論サービス・独自プロセッサを採用した推論サービス「Groq」と比べて、Cerebras Inferenceは圧倒的に高い推論性能を示しました。

ニュース②:2024年8月に非公開でIPO申請を行ったことが明らかに

アメリカの大手ニュースメディアBloombergによると、Cerebrasは2024年8月に非公開で新規株式公開(IPO)の申請を行ったとのこと。その後、9月30日に米国証券取引委員会(SEC)に提出した資料で、財務状況や業務内容が明らかになりました。

具体的には、2024年1月から6月までの期間に、Cerebrasは売上高1億3640万ドル(約196億円)、純損失6660万ドルを計上しています。なお、前年同期の売上高は870万ドル、純損失は7780万ドルでした。

Cerebrasおよび株式を売却する株主は、企業の評価額を含むIPOの条件について、今後の資料提出までは公表しない方針です。ただし、これまでのブルームバーグ・ニュースの報道によると、Cerebrasの評価額は70億〜80億ドル、IPOの規模は最大で10億ドルに達する可能性があると見られています。

資金調達:現在まで総額7億2000万ドルを獲得

引用:https://cerebras.ai/press-release/cerebras-systems-raises-250m-in-funding-for-over-4b-valuation-to-advance-the-future-of-artificial-intelligence-compute/

Cerebrasは2021年11月に、シリーズFラウンドにて2億5000万ドルを調達し、同社の評価額が40億ドル超であることを発表しました。ここまでの資金調達額は7億2,000万ドルに達します。なお今回の資金調達はAlpha Wave Venturesや、Abu Dhabi Growth Fund、G42が主導したものです。

またThe Informationによると、Cerebrasは2024年末の株式公開を計画しているそう。破竹の勢いで成長を遂げ、NVIDIAと肩を並べるに至ったCerebrasの更なる成長に期待です。

企業概要

  • 企業名:Cerebras Systems
  • 代表者:CEO Andrew Feldman
  • 設立:2015年
  • 所在地: 1237 E. Arques Ave Sunnyvale, CA 94085
  • 公式HP:https://cerebras.ai/

まとめ

本記事では、AIに特化した半導体・コンピュータシステムを開発する、Cerebras Systemsについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

Cerebras Systemsのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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