最近SaaSの利用が広がり、世界的にソフトウェア・アプリの開発が活発になっています。
こうした中で注目を集めているのが、「AIコーディングアシスタント」です。コード生成やデバッグ支援など、開発プロセスの各段階でAIがサポートしてくれるため、開発者の負担を軽減できるうえ、業務効率化を実現できます。
今回紹介するCodeium(コーディウム)は、そんなAIコーディングアシスタントを開発している今注目のスタートアップです。Forbesが発表する「Next Billion-Dollar Startups 2024」にて選出されるなど、次のユニコーン企業として呼び声の高い同社。最近では「Cortex(コーテックス)」という新しいコーディングエンジンを開発したことで脚光を浴びています。
この記事では、Codeiumの事業内容や最近のニュースについて詳細に紹介していきます。
事業内容:AIコーディングアシスタントの開発
Codeiumの事業内容は、ソフトウェア開発者の作業を助ける「AIコーディングアシスタント」の開発です。コードの自動補完や修正、提案などの機能を有しており、開発者の効率的な業務・高品質なプログラミングを実現しています。
たとえばリファクタリング(修正・変更)したいコードの部分をハイライトするだけで、codeiumが自動でコードを提案してくれるうえ、そのまま置き換えることが可能です。
チャット欄から自然言語で相談可能
Codeiumにはチャット機能も搭載されており、実装したい機能・わからないコードなどについて、自然言語で相談することができます。必要なコード・知りたい情報を即座に出力してくれるので、スムーズなソフトウェア開発が可能です。
また英語をはじめとして複数の言語に対応しており、日本語でも相談することができます。まさに利便性バツグンのAIコーディングアシスタントといえるでしょう。
現在主流なツール「GitHub-Copilot」にも勝る性能
今最も主流なAIコーディングアシスタント「GitHub-Copilot」と比較して、より多くのコンピュータ言語・開発ソフトに対応しており、使い勝手がいいため、Codeiumの方が性能的に優れているそう。
実際ZillowやDell、Andurilなど1000を超える企業・約60万人の個人開発者がCodeiumを利用しており、その性能の高さがうかがえます。
また個人利用であれば、Codeiumは永久無料で利用することができるため、月10ドル以上かかってしまうCopilotよりも財布に優しい点が大きな魅力です。
最近のニュース:1億行のコードを1度に処理する「Cortex」を開発
Codeiumは2024年8月に新たなAIコーディングエンジン「Cortex」をリリースしました。
Cortexの最大の特徴は、1度に1億行のコードを処理することができる、その圧倒的な情報処理能力。同社のCEOであるVarun Mohan氏によると、この高い情報処理能力のおかげで、AIの分析精度が改善されるそう。
1つ1つのコードは他の何億行ものコードと相互に関連しているため、コードを断片的に分析していては、開発者が求める最適なコードを提案することはできません。しかし、Cortexであれば、コードの相互関係や全体の構造を理解した上で分析を行うので、これまで以上に最適なコードを提案することができます。
また他のメリットとして挙げられるのが、1つの変更をシステム全体に一瞬で反映させられる点。Cortexでは1つの変更をコードベース(リポジトリ)全体に対して、わずか6秒で反映させることができます。そのため、編集内容を数十万のコードリポジトリに反映させる必要がある大企業にとって、この反映スピードが業務効率化に大きく寄与するのです。
数多くのスタートアップ企業がAIコーディングアシスタント業界に参入する中、Codeiumは開発者と対話し、フィードバックを提供できるツールを作ることで差別化を図ろうとしています。たとえば、Cortexではプログラマーのタスクを完全に自動化するのではなく、プログラマーが提案を受け入れたり拒否したりすることが可能です。
資金調達:2024年1月のシリーズBにて6500万ドルを調達
Codeiumは2024年1月にシリーズBラウンドとして、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)主導のもと、6500万ドルを資金調達しました。今回の資金調達では評価額5億ドルを記録したそうで、ユニコーン企業に大きく近づいたといえるでしょう。
AIコーディングアシスタント市場に大注目
AIコーディングアシスタント市場は、高額な評価額を持つスタートアップ企業が続々と登場し、投資家から大きな注目を集めています。
実際に、話題のAIソフトウェアエンジニア「Devin(デヴィン)」の開発元であるCognition Labs(コグニション・ラボ)は、4月に評価額20億ドルで1億7500万ドル(約254億4500万円)を調達しました。
またコーディングの自動化サービスを提供するMagic(マジック)は、評価額15億ドル(約2180億4000万円)で2億ドル(約290億5800万円)以上の資金調達を交渉中とのこと。
そして、忘れてはならないのが、巨大企業マイクロソフトが提供する、GPT-4を搭載したGitHub Copilot(ギットハブ・コパイロット)。同サービスは180万人の有料利用者を抱え、2023年の年間収益は1億ドル(約145億3400万円)を超えています。
企業概要
- 企業名:Codeium, Inc.
- 代表者:Varun Mohan (CEO)
- 設立:2021年
- 所在地:アメリカ合衆国、カリフォルニア州サンフランシスコ
- 公式HP:https://codeium.com/
まとめ
本記事では、より高性能なAIコーディングアシスタントを開発するCodeiumについて紹介しました。
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