2017年、梅澤優太氏が起業した株式会社ventus(以下、ventus)を紹介します。 ventusは、東京大学在学中の起業で、スポーツ業界の発展を先導する注目の企業です。 本記事では、ventusの企業・事業概要から起業・ピボットの経緯、将来展望までを紹介します。
ventusとは
ventusは「全てのファンが、自分の『好き』に誇りを持てる世界をつくる。」をミッションとする企業です。現在は、電子トレカ*コレクションサービスの「ORICAL」を中心に運営し、その他のファンシステムも開発しています。
電子トレカ*:ventusが商標を取得しており、デジタルのトレーディングカードを指します。
ventusの事業紹介:「ORICAL」
「ORICAL」は電子トレカを収集して、自分のファン活動を可視化できるサービスです。「ORICAL」は、トレカの販売だけでなく、会場への来場やグッズ購入やSNS投稿などに紐づけて、電子トレカや称号をユーザーに付与します。
ファン・コンテンツホルダーへの価値
- ファンへの価値
ファン活動に紐づいた電子トレカや称号が思い出となり、「ファンとしてのアイデンティティ」の可視化を実現します。 - コンテンツホルダーへの価値
新たなマネタイズ軸とユーザーデータを提供します。- 新たなマネタイズ軸
従来のスポーツ・エンタメ業界のマネタイズは、リアルな体験やグッズの提供が主軸でした。デジタルグッズによるマネタイズは、コロナ禍で大打撃を受けたスポーツ・エンタメ業界の売上を安定させます。 - ユーザーデータ
従来追えていなかった、ファン一人ひとりのデータを提供します。
- 新たなマネタイズ軸
既存グッズに対する電子トレカの優位性
既存グッズに対する電子トレカの優位性は、デジタルであることを活かした、スピード・クオリティ・バリエーションです。
- スピード
ファンの心を動かすイベントが起こったときに、リアルタイムで記念グッズとしてのトレカを発行。ファンの熱量が高いタイミングでトレカを提供します。 - クオリティ
デジタルならではの、「動く」「音声付き」トレカを提供します。 - バリエーション
既存のグッズでは採算が合わず、販売できなかった、ニッチなファンのニーズを満たすグッズを提供します。
「ORICAL」導入先・サービス名
現在は7つのプロ野球球団や、日本相撲協会、女子プロレス団体「スターダム」に「ORICAL」を導入し、各団体の公式サービスを展開中です。
導入先 | サービス名 | URL |
---|---|---|
埼玉西武ライオンズ | L COLLECTION | https://lions.orical.jp/ |
千葉ロッテマリーンズ | MARINES COLLECTION | https://marines.orical.jp/ |
東京ヤクルトスワローズ | スワローズトレカ | https://swallows.orical.jp/ |
中日ドラゴンズ | ドラゴンズコレクション | https://dragons.orical.jp/ |
北海道日本ハムファイターズ | ファイターズトレカ | https://fighters.orical.jp/ |
オリックス・バッファローズ | Buffaloes TRADING CARDS COLLECTION | https://buffaloes.orical.jp/ |
東北楽天イーグルス | イーグルストレカ | https://eagles.orical.jp/ |
日本相撲協会 | 大相撲コレクション | https://sumo.orical.jp/ |
スターダム | スターダムカードパーティー | https://stardom.orical.jp/ |
ventusの企業沿革
ventusは2017年11月に設立。2018年5月に電子トレカ売買プラットフォーム「whooop!」をリリースしましたが、2020年6月に電子トレカコレクションサービス「ORICAL」にピボットしました。
ventus創業の経緯
幼い頃からスポーツ観戦が好きだった梅澤氏は、スポーツ業界で働きたいと考えるようになりました。大学1年生の時にスポーツ系のスタートアップでインターンを経験。しかし、新卒では入りづらい業界だと知り、給料面での魅力も感じられず、自分でスポーツに携わるビジネスを立ち上げようと考えたそうです。そして、大学のプログラムを通じて共同創業者を見つけ、学生プロジェクトの延長のような形で検証やプロトタイプの開発を行い、起業に至りました。起業がしたかった訳ではなく、スポーツ業界で働くための手段の1つとしての選択だと、梅澤氏は考えています。
「whooop!」から「ORICAL」へピボット
「whooop!」は電子トレカ売買プラットフォームでした。電子トレカサービスはプラットフォーム化してはいけないとの気付きから「ORICAL」へピボット。プラットフォーム化の問題点は、各コンテンツのブランドイメージを反映できない点です。ファンは、外部の知らない企業が運営するサービスに対して、親しみにくさを感じます。そこで、コンテンツホルダーの公式サービスを裏側で運営する形を取り、問題点を解消したサービスが「ORICAL」です。結果、コンテンツホルダーからの評価も良くなり、第1弾として、埼玉西武ライオンズの公式アプリ「L COLLECTION」がリリースされました。
ventusの資金調達・市場推移
2019年2月の調達は、「東大創業者の会応援ファンド」からの1号案件です。2021年12月の調達は事業拡大が目的で、採用強化のための広報にも力を入れ始めました。
スポーツ・エンタメ市場は、コロナ禍で3分の1以下に縮小し、以降は回復傾向です。「ORICAL」は導入先の拡大余地も大きく、今後が期待されます。
東大創業者の会応援ファンド:https://todaifund.net/
ventusの将来展望
ventusは、事業拡大を通じて、スポーツ業界の底上げを目指します。
事業拡大
- 「ORICAL」
スポーツ業界に留まらず、あらゆるエンタメコンテンツへの導入を目指します。 - ファンシステム開発事業
電子トレカサービスに留まらず、あらゆるファンシステムを開発します。 これまでには、千葉ロッテマリーンズ公式アプリ「MARINES APP」のリニューアルや、球場の演出の一部を担当しました。
業界への貢献
ventusは、DXの推進と優秀な人材の確保で、スポーツ業界の底上げを目指します。
- DXの推進
スポーツ業界のDXは、各コンテンツホルダーごとに進められており、遅れているのが現状です。ventusは、多数のコンテンツホルダーと事業を行うことで得られた知見を活かして、業界のDXを進めます。 - 優秀な人材の確保
スポーツ業界で上場している企業は無く、優秀な人材が新卒で入ろう思いにくいのが現状です。ventusは、上場を視野に入れ、スポーツ業界に興味のある優秀な人材が入りたくなる企業を目指し、業界への入口を作ります。