最終更新日 24/07/30
海外スタートアップ

【Skykraft】人工衛星で飛行機を管理する時代に?

宇宙
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(引用:https://sky-brokers.com/supplier/skykraft/)

Skykraftは、オーストラリアに主に衛星技術の開発と運用を行うスタートアップです。

同社は、特に人工衛星を用いた次世代の航空管制システムの提供を目指しています。

このシステムは、従来の地上ベースの管制システムを補完または置き換えることを目的としており、航空交通管理の効率と安全性を向上させることが期待されています。

本記事では、同社の事業内容・市場規模・資金調達等について詳しく説明していきます。

事業内容①:航空交通管理(ATM)サービス

(引用:https://sky-brokers.com/supplier/skykraft/)

Skykraftは、主に宇宙からの航空交通監視(ATM*)サービスを提供しています。

※Air Traffic Management

航空交通管理(ATM)サービスとは?

(引用:https://www.skykraft.com.au/post/what-is-skykraft-atm)

Skykraftの航空交通管理(ATM)サービスは、地上のレーダーシステムに依存せず、宇宙の衛星を利用して航空機の位置情報をリアルタイムで把握するシステムです。

従来の地上レーダーシステムは、山岳地帯や海上などの広範囲をカバーすることが難しいという制約がありました。

しかし、Skykraftの衛星システムはこれらの制約を克服し、地球上のどこにいる航空機でも正確に追跡することが可能です。

このサービスにより、航空機の運航効率が向上し、飛行の安全性が大幅に強化されます。

特に、遠隔地や海上を飛行する航空機にとっては、重要な安全対策となります。

What is Skykraft's ATM service?
Skykraft’s space-based Air Traffic Management service will increase air traffic efficiency and address gaps

事業内容②:航空業界向け通信サービス

(引用:https://www.skykraft.com.au/

Skykraftは、航空業界向けに高品質な通信サービスも提供しています。

このサービスは、航空機と地上の管制官との間の通信を円滑に行うことを目的としています。

従来の通信システムでは、地上のインフラに依存しているため、通信が途切れることがありましたが、Skykraftの衛星通信システムはこれを解決します。

この通信サービスにより、航空機のパイロットと地上の管制官が常に連絡を取り合うことができ、飛行中の状況や緊急事態にも迅速に対応することが可能です。

これにより、航空機の運航がさらに安全で効率的になります。

事業内容③:衛星ネットワークの開発

(引用:https://www.skykraft.com.au/)

Skykraftは、航空交通管理サービスを提供するための衛星ネットワーク(コンステレーション)の開発も行なっています。

2023年時点で、Skykraftは10機の衛星を運用しており、これらの衛星が連携して航空交通管理のデータを収集・提供しています。

この衛星コンステレーションは、地球の周りを回りながら、航空機の位置情報や通信データをリアルタイムで収集し、地上の管制システムに送信します。

これにより、地上の管制官は常に最新の情報を基に航空機の運航を管理することが可能です。

沿革

Skykraftの会社沿革は以下の通りです。

  • 2017年: Skykraft設立、UNSW Canberra Space*からスピンオフ
    ※UNSW Canberra Spaceはオーストラリア国立大学のキャンベラ校で運営されているスペースリサーチセンターです。
  • 2021年6月: Block I プロトタイプの地上試験と検証を完了
    試作品の人工衛星「Block I」の地上試験と検証を完了しました。
  • 2021年12月: 350万ドルを調達
    投資家には、Macquarie GroupのAllan Moss、Lennoxgrove Capital、およびAdcock Private Equityが含まれます。
  • 2023年1月3日: SpaceX*の「Transporter-6 RideShareミッション」で最初の4つの衛星を打ち上げ
    SpaceXはフロリダ州のケネディ宇宙センターから、Falcon 9ロケットでTransporter-6 RideShareミッションによりSkykraftの最初の4つの衛星を打ち上げました。
    ※2002年にイーロン・マスク氏が設立したアメリカの宇宙開発企業

同社は設立から6年後の2023年に初めて人工衛星を打ち上げ、将来的な航空交通管理(ATM)サービスの実用化を目指しています。

資金調達:2023年に約120億円の資金調達

Skykraftは2023年に1億2000万豪ドル(約120億円)の資金調達を実施しました。

この調達は2023年のオーストラリア国内で3位の規模であり、同社は今回の調達によってオーストラリアで最大規模のスタートアップの一つとなりました。

今回調達した資金は、航空交通管理を変革するというSkykraftのミッションを推進するために使用されます。

主な投資家

  • Foresight Australia(イギリスのファンドマネージャーの現地子会社)
  • OPTrust(カナダの年金基金)
  • Main Sequence(CSIROのディープテック投資ファンド)

今後の計画

  • 2024年中に更なる衛星の打ち上げを予定
  • 2025年には、低軌道に数百機の衛星群を展開する計画
Canberra-based satellite maker Skykraft raises 0 million
A Canberra space tech company has raised one of the largest funding deals in Australia this year, securing 0 million ...

市場規模:宇宙産業市場は2040年に120兆円へ

(引用:https://www.projectdesign.jp/articles/685173be-25bd-4db1-82d1-a72711a896dc)

Haver Analytics, Morgan Stanley Researchの調査によると、2020年の宇宙産業市場は43兆円(3780億ドル)でした。

同市場は2040年までに120兆円(1兆530億ドル)に成長すると予測されています。

日本の宇宙産業はこれまでは政府主導の事業が主流でしたが、最近ではSkykraftなどの民間主導の事業が増えつつあり、今後も急速に成長していくでしょう。

宇宙ビジネスと現在と未来 「宇宙を利用する」発想で事業開発を
宇宙産業市場は2040年には現在の約3倍の120兆円規模に成長すると予想されている。衛星コンステレーションサービスを中心に大手資本や技術系スタートアップの躍進が目立つが、「宇宙を利用する」という視点に立てば、あらゆる業種に新規事業開発のチャ...

会社概要

会社名:Skykraft Pty Ltd

所在地:Building J, UNSW Canberra City, 37 Constitution Ave, Reid ACT 2612.

設立年:2017年

代表:James Prior, Doug Griffin

HP:https://www.skykraft.com.au/

まとめ

本記事では、主に衛星技術の開発と運用を行うSkykraft Pty Ltdについて紹介してきました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

Skykraftのように、オーストラリア発のスタートアップ企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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