この記事では、植物工場を利用して農業を営む注目スタートアップを3社紹介します。
以下の、近年注目の企業をまとめましたのでぜひご覧ください!
Oishii Farm:植物工場でおいしいイチゴを量産
Oishii Farmは、日本の農業技術をベースに開発された独自の栽培方法と受粉技術を駆使し、高品質なイチゴを生産・販売しています。
Oishii Farmはニューヨークを拠点に植物工場を展開し、アメリカの天候・農業技術では生産が難しい、甘いイチゴの生産を成功させました。そのイチゴはニューヨーク中のミシュラン星付きレストランや五つ星ホテルからの問い合わせが絶えず、話題となっています。
さらに、Oishii Farmは技術革新を通して価格を当初の1/5まで下げることに成功し、アメリカの大手高級スーパーマーケット「ホールフーズ」でも販売が拡大しています。
具体的には、主力作物であるイチゴを詰め合わせた「Omakase Berry」を販売しています。「Omakase Berry」は1パック8個で50ドルと高価でありながらも、マンハッタン中のミシュラン掲載レストランから注文が殺到しているようです。
同社はイチゴに続き、フルーツトマトの販売も開始し、ますます注目を集めています。
創業の経緯:コンサル→MBA→起業
植物工場に注目
古賀氏は、コンサルタント時代に植物工場案件を担当。この経験から、彼は日本の技術力とアメリカ市場での可能性に着目しました。アメリカでは水不足や人手不足などの課題があり、日本の植物工場技術が大きなインパクトを与える可能性を感じ取ったそうです。
起業
MBA1年生で起業を決意した古賀さんは、同級生とコンシューマー系ビジネスで起業を試みました。しかし、メンバーの離脱により断念。その後、VCインターンで投資家側の視点を学び、戦略を明確化しました。彼は日本の技術力とアメリカのニーズを活かせる「アメリカでイチゴを生産する」という事業アイデアを確立しています。
Oishii Farm 誕生
2016年に、アメリカでイチゴの植物工場を運営する「Oishii Farm 」を設立しました。同社が目指すのは、「世界最大の植物工場」だと、古賀氏は言います。そのファーストステップとして、イチゴをターゲットに事業展開を進めています。
会社概要
会社名:Oishii Farm Corporation
代表者:古賀 大貴
本社所在:Kearny, New Jersey, United States
設立:2016年12月
Ekonoke:ビールに不可欠なホップを生産
Ekonoke社は、スペインを拠点とする、2018年に創業されたスタートアップです。ビールの原料であるホップを植物工場で生産しています。同社の事業内容について、詳しく説明していきます。
同社は、垂直農法を専門としています。植物工場にて、LEDライトを利用してホップを栽培しています。そのため、気候変動の影響を受けずに安定した品質のホップを提供することができます。
Ekonoke社がホップの栽培に注力している理由は、ビールにとってホップが不可欠な原料にも関わらす、安定した生産ができていないからです。
まず、ビールは、水・酵母・大麦・ホップの4つの原料からできています。原料の中でも、ビール独特の苦味と風味を決定づける要素がホップなのです。そのため、ビールにとってホップはとても重要な原料といえます。
現在、ビールにとって必要不可欠な原料であるホップの栽培は大きく偏っています。具体的にはホップの栽培の80%がドイツとアメリカに集中しています。また、ホップは環境に敏感な作物であるため、近年の気候変動によって生産量は低下しています。
創業の経緯:スペインの異なる4人が起業
Ekonoke社は、2018年にマドリードで4人の起業家によって設立されました。創業に関わった4名は全く異なるバックグラウンドを持つ起業家でした。
Ekonoke社の創業に関わったのは、次の4人です。
- アントニオ・ロハス(Antonio Rojas):化学者。室内マイクログリーンと食用花を栽培する会社Los Tallos Microgreensを共同創業。
- ハビエル・ラミロ(Javier Ramiro):化学者。ロハスと共にLos Tallos Microgreensを創業。
- アナ・サエス(Ana Sáez):農業エンジニアで、温室でベビーリーフや香草を栽培する会社Achipámpanosを共同創業。
- イネス・サグラリオ(Inés Sagrario):経済学者で、サエスと共にAchipámpanosを創業。
彼らは、気候変動による農業への影響を問題視していました。そこで、気候変動によって安定的な生産の難しい作物を植物工場(室内農法)によって栽培するために、Ekonoke社を2018年に設立しました。
2021年には商業規模でのホップ生産に成功し、地元の醸造所と提携。2022年にはさらなる拡張計画を発表し、持続可能なホップ生産を世界中に広めるための取り組みを進めています。
2024年にはガリシア州(スペイン)に約1万平方メートルの新しい施設を開設し、商業生産を拡大することを発表しています。
会社概要
会社名:Ekonoke
設立:2018年
創業者:Antonio Rojas、Javier Ramiro、Ana Sáez、Inés Sagrario
事業内容:アイファーム
アイファームは、アイスランドの植物工場で日本品種のイチゴを生産しています。
日本国内だけでなく、海外でも高いブランド力を誇る、甘くて美味しい日本のいちごを日本の技術力を駆使して生産します。アイスランドで生産されたイチゴは「ICHI-GO」と名付けられ、アイファームは欧州の人々に高品質な日本のいちごを届けています。
日本のいちごは甘味が強く、酸味とのバランスが取れたジューシーなものが多く出回り、海外からも人気があります。さらに日本には約300種類のイチゴがあり、世界の半分以上の品種が日本産と言われています。そのため日本のいちごは、味や質の面で大きな差別化を図ることが可能です。
本来いちごの生産に適しているのは夏のみですが、LEDと養液を使った密閉空間の植物工場であれば、1年を通していちごを生産することが可能となります。また、外部環境に影響されない管理方法により、農薬を減らし、品質や生産量においても安定した供給が可能となります。
創業の経緯から現在:ホリエモンがアドバイザーに
アイファームは2022年11月に飯野 恵多氏によって創設され、これまで日本のいちごを欧州の人々に届けるために事業を展開してきました。
2023年4月には、実業家堀江 貴文氏がアイファームの事業アドバイザーに就任しました。
2023年10月には、アイスランドにていちごの栽培を開始するなど勢いを増しており、今後も事業拡大を目指していきます。
会社概要
会社名:アイファーム株式会社
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座1−22−11 銀座大竹ビジデンス2階
資本金:2330万円(2023年8月31日現在)
設立年月日:2022年11月21日
代表:飯野 恵多
まとめ
この記事では、植物工場を利用して農業を営む注目スタートアップを4社紹介しました。
以下の、近年注目の企業をまとめましたのでぜひご覧ください!
New Venture Voiceでは、これらの企業ごとに、さらに詳しい記事を紹介しているので、ぜひご覧ください。