最終更新日 24/07/19
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【Wiz】イスラエル軍発のサイバーセキュリティ会社とは

ITセキュリティ
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Wiz社は、元イスラエル軍の4人が設立した、クラウドセキュリティに特化したサイバーセキュリティ会社です。2020年に設立された同社は、わずか2年半で年間売上1億ドルを突破した急成長のスタートアップです。

Wiz社は、グーグルの親会社アルファベットが、総額230億ドル(約3兆6300億円)での買収を検討している大注目のスタートアップです。

本記事では、同社の事業内容、創業の経緯、資金調達など詳しく説明しています。

グーグルの親会社アルファベットが、約3兆での買収を検討か

買収交渉の概要

米グーグルの親会社アルファベットは、サイバーセキュリティー新興企業であるWizの買収に向けて交渉を進めていると、事情に詳しい関係者が明らかにしました。この関係者によれば、交渉はまだ非公開で行われており、情報は匿名で提供されています。

買収額とその影響

関係者の話によると、買収額は総額230億ドル(約3兆6300億円)に達する可能性があります。この買収が実現すれば、アルファベットにとって過去最大規模の買収となります。これにより、アルファベットはサイバーセキュリティ分野での地位を大幅に強化することが期待されます。

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事業内容:クラウドセキュリティに特化

(出典:https://www.wiz.io/ja-jp/verticals/government

Wiz社は、クラウドセキュリティに特化したサイバーセキュリティ会社です。同社のミッションは、企業がクラウド環境でのデータやアプリケーションを安全に保つことです。特に、Amazon Web Services (AWS)やMicrosoft Azureなどの主要なクラウドストレージプロバイダーと連携しています。クラウド内の全データをスキャンして、セキュリティリスクを検出し、優先順位を付けて対応します。

Wiz社のソリューションは、企業がクラウドへの移行を進める中で、増加するサイバー攻撃からの保護することです。

Wizのクラウドセキュリティプラットフォーム

Wiz社は、クラウド上で動作するサービスの安全性を守るためのツールを提供しています。このツールを使うと、セキュリティチームや開発チームが、クラウドの設定ミスや脆弱性を見つけて修正することができます。これにより、クレジットカード情報を守るPCIや個人情報保護のためのGDPR、医療情報の保護を目的としたHIPAAなどのセキュリティ基準を守ることができます。

Wiz社ツールの特徴は、APIという方法を使って簡単に導入できることです。APIを使うと、複雑な手続きや大きなチームが必要なく、同社のツールをクラウド環境にすぐに導入できます。また、このツールはクラウド上の動作に影響を与えることなく、どんなクラウド環境でも使うことができるのです。

簡単に言うと、Wiz社はクラウド上の安全を守るための便利なツールを提供しており、これを使うとセキュリティの問題をすばやく見つけて修正することができるということです。同社は、数多くのツールを提供していますが、その中でも代表的なツールである、Cloud Security Posture Management (CSPM)を以下で説明していきます。

CSPM(クラウド・セキュリティ・ポスチャー管理)

(出典:https://www.wiz.io/academy/what-is-cloud-security-posture-management-cspm

Wiz社のCloud Security Posture Management (CSPM)は、企業のクラウド環境を監視して安全性を保つためのツールです。これは、クラウド上で動作している間に発生する設定ミスやセキュリティの問題を見つけて修正する手助けをします。

同社のCSPMは、AWS(Amazon Web Services )・Microsoft Azure・Google Cloud Platform・Alibaba Cloudなど、さまざまなクラウドサービスをサポートしています。これにより、企業が使用しているクラウドサービスのファイアウォールやネットワーク設定、ユーザーアクセス権限などの情報を集めて分析します。

この情報を基に、Wiz社は「Wiz Security Graph」と呼ばれるマッピングを作成します。このマッピングを使うことで、企業はどの設定が間違っているのかを優先的に確認し、重要なデータやシステムを保護するための対策を取ることができます。たとえば、重要なデータストアや管理者アカウントが危険にさらされている場合、それをすばやく発見して修正することができます。

簡単に言うと、Wiz社のCSPMは、企業のクラウド環境を安全に保つために常に監視し、問題を見つけて修正する便利なツールです。

創業ストーリー:イスラエル軍情報部隊から独立し起業

(出典:https://www.insightpartners.com/ideas/wiz-cofounders-turned-longstanding-friendship-into-revolutionary-cybersecurity-company/

Wiz社は2020年にイスラエルで創業されました。同社は以下の4人によって創業されました。

  • Assaf Rappaport(アッサフ・ラパポート:CEO)
  • Amy Luttwak(エイミー・ルットワック:CTO)
  • Roy Reznik (ロイ・レズニック)
  • Yinon Costica(イノン・コスティカ)

これらの4人です。

4人はイスラエル国防軍(IDF)で出会いました。ラパポートはイスラエル国防軍の情報部隊で大尉を務め、ルトワック・コスティカ・レズニックも同じ部隊に所属していました。この部隊は、サイバーセキュリティを担当していました。

イスラエル国防軍を去った後、4人は2012年にAdallom社を設立しました。Adallom社はクラウド・アクセス・セキュリティ・ブローカー(CASB*)であり、ラパポートがCEO、ルトワックがCTO、レズニックが研究開発担当副社長、コスティカが製品担当副社長を務めました。その後、2015年9月にマイクロソフトがAdallomを2億5000万ドルで買収しました

*CASB:キャスビー・Cloud Access Security Brokerの略。従業員のクラウドサービスの利用を監視、適切なセキュリティ対策を行うソリューションのこと。

当時、クラウドセキュリティ市場には、すべてのクラウドサーバーを監視するインターフェイスがありませんでした。2023年4月のインタビューで、ルトワックは次のように述べています。

クラウドセキュリティには、複数の製品がありましたが、どれも実際に問題を解決するものではありませんでした。製品があり、市場があり、セキュリティチームが製品を購入する。しかし、実際には問題を解決していない。そこにチャンスが生まれるのです。

https://www.insightpartners.com/ideas/wiz-cofounders-turned-longstanding-friendship-into-revolutionary-cybersecurity-company/

ラパポートはマイクロソフトを離れ、別の会社を立ち上げることを発表しました。ルトワック・コスティカ・レズニックも起業に賛同し、Wizを2020年に立ち上げました。

わずか2年半で売上1億ドル突破のロケット級企業

(出典:https://www.whatocome.xyz/wiz_arr100m/

Wiz社は、立ち上げから約2年半の2022年8月、売上1億ドルを突破しました。さらに、

2023年5月には2億ドルに達、2024年2月には、3億5000万ドルに達したことを発表しています。同社は、「IPOに向けて10億ドルという中間目標地点に到達することを目指し、必死になっている」と述べています。

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資金調達:総額19億ドルの調達に成功

Wiz社は、設立以来複数回の資金調達を行っています。合計資金調達額は19億ドルにも及んでいます。

資金調達の経緯は以下のとおりです。

  • シリーズA:2020年12月、Index Ventures・Sequoia Capital・Insight Partners・Cyberstartsから1億ドルを調達。
  • シリーズB:2021年4、5月に従来の投資機関、個人投資家からそれぞれ1億3,000万ドルと1億2,000万ドルを調達。
  • シリーズC:2021年10月、Insight Partners、Greenoaks Capital、Sequoia Capital、Salesforce Ventures、Cyberstarts、そして個人投資家の数名から、評価額60億ドルで2億5,000万ドルを調達。
  • シリーズD:2023年2月、従来の投資機関、個人投資家から、3億ドルを追加で調達。
  • シリーズE:2024年5月、評価額120億ドルで10億ドルを調達。

このように、Wizは短期間で大規模な資金を調達し、急速な成長を遂げています。

市場規模

(出典:https://www.marketsandmarkets.com/Market-Reports/cloud-security-market-100018098.html

クラウドセキュリティの市場は急速に成長しています。2023年には407億ドル(約5.4兆円)だった市場規模が、2028年には629億ドル(約8.4兆円)に達すると予想されています。年平均成長率は9.1%です。

この成長の主な理由は以下の通りです。

  • マルチクラウド環境の普及:企業が複数のクラウドサービスを利用するようになっています。
  • AIや機械学習の利用:クラウドセキュリティに最新技術を活用することで、より安全性が高まっています。
  • BYOD(自分のデバイスを持ち込む)やCYOD(自分のデバイスを選ぶ)の増加:社員が自分のスマホやパソコンを仕事で使うことが増え、それに伴うセキュリティ対策が必要となっています。

また、同社の業績は、世界のクラウド利用量に大きく影響されます。世界全体のクラウドコンピューティング市場は、2023年には5918億ドル(約79兆円)で、2022年の4900億ドル(約65兆円)から増加し、2024年には6800億ドル(約91兆円)に達すると予想されています。

クラウドインフラストラクチャー関連の企業の売上は、2023年第4四半期に740億ドル(約9.9兆円)に達し、2023年第3四半期と比べて56億ドル(約7400億円)、2022年第4四半期と比べて120億ドル(約1.6兆円)増加しました。

Cloud Security Market Size & Forecast, [Latest]
The cloud security market is anticipated to grow in size from USD 40.7 billion in 2023 to USD 62.9 billion by 2028 with ...

会社概要

会社名:Wiz

設立:2020年1月

創業者:Assaf Rappaport (CEO)、Amy Luttwak (CTO)、Roy Reznik (VP of R&D)、and Yinon Costica (VP of Product)

拠点:New York City、US

URL:https://www.wiz.io/

まとめ

本記事では、クラウドセキュリティサービスを提供するWiz社について紹介してきました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

特に、Lacework社は、クラウドセキュリティの分野で革新的なソリューションを提供するアメリカのスタートアップです。今大注目の企業です。併せてご覧ください。

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