今回紹介するのは、ジョーシス株式会社。同社ではITデバイス&SaaS統合管理ツール「ジョーシス」の提供と、中小企業向けのアウトソーシングを行っています。
松本 恭攝氏が掲げる「“職場を良くするために働く人”の可能性を解放する」というミッションのもと、日本のITガバナンス問題に取り組む注目の企業です。
沿革:創業1年半で300社以上の中小企業から利用されるように
ジョーシス株式会社は、2022年3月にラクスル株式会社から分社化される形で発足しました。創業から提供するIT資産管理ツールは、複雑なIT管理に悩む中小企業を中心に利用され、わずか1年半ほどで300社以上の契約を獲得します。
その人気を表すように、グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社など複数のVCから、2023年9月までに総額約200億円の資金調達を達成。また大手SaaS比較サイトBOXILにて「Good Service」など複数の賞に選出されました。
現在はDX推進を後押しするコミュニティ「ジョーシスアカデミー」の運営もしており、その活動の幅はとどまるところを知りません。
事業内容:中小企業のITガバナンス問題・リソース不足を解決
ジョーシス株式会社の事業内容は、ITデバイス&SaaS統合管理ツール「ジョーシス」の提供と、中小企業向けのアウトソーシング。
コロナ禍で急増したITデバイス・SaaSによりIT管理が複雑化した中小企業を、ツール面やリソース面から支援しています。
ITデバイス&SaaS統合管理ツール「ジョーシス」
ITデバイス&SaaS統合管理ツール 「ジョーシス」を使うと、全てのIT資産について画面上でリアルタイムに管理できます。社員の利用状況を簡単に確認できるため、管理にかかる工数を減らすことが可能です。
また不正が疑われるSaaSがあればアラートで通知してくれるので、セキュリティの向上にもつながります。
中小企業に向けたアウトソーシング
ジョーシス株式会社は、中小企業に向けたアウトソーシング事業も行っています。デバイスの用意や廃棄に加えて、SaaSの導入や権限設定といった、さまざまな情報システム業務を依頼することが可能です。
コア業務にリソースが割かれる中小企業にとって、ITなどの周辺業務を代替してもらえることは、非常に嬉しいサービスといえるでしょう。
資金調達:国内主要VCなどから総額約200億円を達成
ジョーシス株式会社は、国内主要VCから過去に2度の資金調達を達成しており、その総額は約200億円です。具体的には2022年9月に約44億円、2023年9月に約135億円の資金を獲得しました。
グローバル・ブレイン株式会社やANRIなどに加えて、グロービスキャピタルパートナーズ株式会社といった大手VCも出資をしており、成長への期待がうかがえます。
市場規模:ソフトウェア資産管理は2030年に2.6倍に拡大
ソフトウェア資産管理の市場規模は「2022年で23.2億米ドル」「2030年で61.0億米ドル」に達し、予測期間中に14.8%のCAGRで成長すると予想されています。
これはコンプライアンスへの対応として、情報セキュリティの強化がトレンドになっていることが大きな要因です。
将来展望:国内外のITガバナンス問題を解決
ジョーシス株式会社は既存ターゲットの中小企業に加えて、新規ターゲットとして国内エンタープライズ企業に注目しました。「急激なDXによりガバナンス問題を抱える大手企業に向けて、分散したデバイスとSaaSの一元化に貢献したい」と松本氏は語っています。
また同社は海外へのさらなる事業拡大も計画中です。具体的な目標は、2025年末までに100カ国以上でITアウトソーシング・サービスを提供すること。今後は国ごとのサービスに加えて、国を跨いだソリューションの提供にも着手する予定です。