最終更新日 26/03/11
国内スタートアップ

【株式会社Greenphard Energy】AIとIoTで冷蔵・冷凍倉庫を仮想発電所へ変える

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(引用:PR TIMES

 現代社会において、企業は深刻な電力コストの高騰と、地球規模の気候変動対策という二極の課題に直面しています。特に、24時間稼働を前提とする冷蔵倉庫や工場、ビル等の施設では、電力消費の大部分を占める空調・冷凍冷蔵設備のエネルギー効率改善が、経営の健全性と脱炭素化の成否を分ける鍵となっています。
 株式会社 Greenphard Energyは、最先端のAIとIntelligent IoT技術を駆使し、これら「電力を消費する設備」を、地域全体の電力系統を支える「仮想的な発電所(VPP)」へと進化させる革新的な事業を展開しています 。同社は、既存の設備に後付け可能なスマート制御技術を用いることで、現場の運用を守りながら電力消費量を大幅に削減するだけでなく、創出した余剰電力を地域に提供することで、持続可能なエネルギー循環社会の実現に寄与します。
 本記事では、株式会社Greenphard Energyの事業内容や資金調達動向、市場の規模等について詳しく紹介します。

事業内容:AI技術を用いた電力需要設備の最適化制御およびVPP事業

株式会社Greenphard Energyの事業は、単なる省エネルギーサービスの枠を超え、電力需要側がエネルギーの「調整力」を提供することで収益を得る、次世代のエナジーエコシステムを構築しています。

事業内容①:Intelligent IoTによる空調・冷凍・冷蔵設備の最適化制御


同社の核となるプロダクトは、独自のAIとIntelligent IoT技術を用いた、産業用・業務用の空調および冷凍・冷蔵設備の最適化制御ソリューションです 。この技術は、特に電力消費の大きな割合を占める室外機やコンデンシングユニットの稼働状況をリアルタイムで解析し、環境負荷や運用条件に合わせた最も効率的な運転パターンを自動で導き出します 。

(引用:公式HP

このソリューションが解決する社会的意義は、単一企業のコスト削減に留まりません。日本の電力需要において、夏季や冬季のピーク負荷を押し上げる要因の多くは空調や冷却設備によるものです。Greenphard Energyは、これらの設備の運転をAIで精緻にコントロールすることで、空調設備で20%以上、業務用の冷凍・冷蔵設備で10%〜20%程度の電力消費削減を実現します 。これは、二酸化炭素排出量の直接的な削減に直結し、企業のカーボンニュートラル目標の達成を強力に後押しするものです 。   

容易に導入可能なIoTユニット
(引用:公式HP

同社が開発した専用のIoTユニットは、国内外の主要メーカーを横断して、既存の設備に「後付け」で設置することが可能です 。これにより、設備を丸ごと買い替える必要がなく、最小限の工事コストと数時間という短期間の作業で、最新のAI制御機能を実装できます 。現場の厳密な温度管理や業務オペレーションに影響を与えることなく、スムーズにデジタル化とグリーン化を同時に達成できる点が、多くの物流事業者や小売店、工場から高く評価されています 。 

事業内容②:仮想発電所(VPP)スキームによるデマンドレスポンス事業

Greenphard Energyのもう一つの柱が、バーチャルパワープラント(VPP:仮想発電所)の仕組みを用いた電力供給サービスです 。これは、地域全体の電力需給が逼迫した際、AI制御によって各施設の電力消費を一時的に抑制し、その「削減した電力量」を電力市場や送配電事業者に提供するものです 。

これまでは電力会社が発電量を増やすことで、電力量の需給バランスを保ってきました。ですが、太陽光や風力といった再生可能エネルギーが増えた現在、それらの発電量は天候に左右されるため、電力系統の安定化には需要側での柔軟な調整が不可欠です 。
そこで生まれた手法が、需要側から機動的な調整力を提供し、地域全体の停電リスク低減を目指すことです。

オペレーションを止めない、Greenphard の制御技術とは?

Greenphardの制御は、設備を止めるのではなく、高度な「微調整」を行います。独自の「事前制御」によって需要をダイナミックに変化させるため、現場のオペレーションを妨げることはありません。

  • 電力需給に余裕がある時
    需要がタイトになる前に、冷気をストックする「充電」を実施
  • 電力需給がタイトな時
    蓄えた冷気を活用し、電力使用量を減少させる「放電」を実施

このようにGreenphard Energyの技術を用いることで、蓄電池の導入無しで地域全体の電力を支えることが可能です。そしてDR(デマンドレスポンス)によって創出した価値を市場で収益化し、その一部を顧客に還元するビジネスモデルが確立されており、顧客にとっては、電力コストの低減に加えて、自らの設備が新たな収益源になるという、これまでにない経済価値がもたらされます 。 

このサービスは、特に電力消費のピーク管理に苦慮している企業や、ESG投資への対応を迫られている経営層に最適です 。また、同社は導入からチューニング、市場への拠出までを一気通貫で代行するため、専門的な知識を持たない企業でも安心して参加できる点が高い定着率に繋がっています


このように、株式会社Greenphard Energyは、AIとIoTという最先端のテクノロジーを駆使し、エネルギーを「消費する」だけの存在だった冷蔵倉庫やビルを、社会を支える「リソース(発電所)」へと変貌させています。

(引用:PR TIMES

資金調達:シリーズAで2.3億円を調達し累計3.9億円へ到達

株式会社Greenphard Energyは、その革新的なビジネスモデルと技術力が評価され、2026年1月15日に発表された最新の情報によると、同社はシリーズAラウンドのファーストクローズを完了しています。

【資金調達概要】

  • 調達額:2.3億円
  • 調達方法:第三者割当増資および銀行融資
  • 調達先
    ・株式会社フジタ
    ・三菱UFJ信託銀行
    ・野村ホールディングス株式会社
    ・十六銀行グループVC NOBUNAGAキャピタルビレッジ株式会社

調達した資金の使途について、同社は技術開発および事業開発体制のさらなる拡充を掲げています 。特に、AI制御アルゴリズムの精度向上や、複数の拠点を統合管理するVPPプラットフォームの機能強化に重点を置く方針です 。

市場規模

Greenphard Energyが属する仮想発電所(VPP)およびエネルギーマネジメント(EMS)市場は、世界的なエネルギーシフトを背景に、今まさに爆発的な成長期を迎えています。

仮想発電所の市場動向と将来予測

気候変動対策としての再生可能エネルギー導入拡大に伴い、需要側で電力のバランスを調整するVPPの役割は、極めて重要になっています。

世界の仮想発電所市場規模は、2024年に55億1000万ドルとされ、2032年には284億9000万ドルに達すると予想されています。年平均成長率は22.8%です。
また国内市場についてimarcグループの調査によると、2025年に市場規模は1憶4350万ドルに達し、2034年までに6億2600万ドル、年平均成長率は17.78%で成長すると予測されています。

国内EMS市場の長期展望



エネルギーマネジメントシステム(EMS)全体の国内市場は、2040年に向けて持続的な拡大が見込まれています。富士経済の調査によると、2040年度の国内EMS関連市場は3兆1,678億円に達し、2023年度比で約2.2倍に成長すると予測されています

(引用:Fuji Keizai Group

市場拡大を牽引するのは、単なる「電力の見える化」ではなく、AIを用いた「最適化制御」です 。特に労働力不足が深刻化する中で、人手に頼らない自動制御システムや、クラウドを通じた複数拠点の一括管理ニーズが急増しています 。

会社概要

  • 会社名:株式会社Greenphard Energy
  • 所在地:東京都港区海岸1-4-22 SNビル 9F
  • 設立年月日:2021年3月
  • 代表者名:代表取締役社長 西山健人
  • 公式HP URLhttps://greenphard.com/

まとめ

株式会社Greenphard Energyの事業は、企業の電力コスト削減と収益化という経済的利益のみならず、地域全体の電力系統の安定化と、再生可能エネルギーの導入拡大という極めて重要な社会的価値を同時に提供しています。
最新の資金調達での成功と、建設・金融の各分野を代表する大手企業との戦略的提携は、同社のソリューションがこれからの脱炭素社会において不可欠なインフラであることを明確に示しています。2030年のカーボンニュートラル目標達成、そしてその先の持続可能な未来に向けて、Greenphard Energyが挑む「エネルギーの民主化と最適化」は、多くのビジネスパーソンや投資家にとって、今後ますます注目すべき重要トピックとなるでしょう。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。株式会社Greenphard Energyのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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