最終更新日 25/05/21
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株式会社Kinish | イネから牛乳タンパク質を生産するフードテック企業の挑戦

サステナブル食品
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(引用 : 公式HP

近年、乳製品の生産が環境負荷の大きな要因であることが明らかになる一方で、その代替となる植物性食品は味や食感が動物性食品と異なるため、多くの人が購入をためらったり、続けて購入しないという課題があります。株式会社Kinishは、この問題に着目し、味に優れた牛乳代替品の開発を通じて環境問題の解決に取り組んでいます。独自の技術でイネから牛乳タンパク質を生成することで、味わいの良さと持続可能性を両立させ、環境にやさしい乳製品の新たな選択肢を提供しています。

事業内容:Kinishの革新的アプローチ

(引用元 : 公式HP

株式会社Kinishは、環境負荷の軽減と持続可能な乳製品の提供を目指し、イネを活用した革新的な技術開発に取り組んでいます。主な技術は、遺伝子改良を施したイネから牛乳タンパク質(カゼイン)を生成する方法で、これにより従来の畜産に依存せず、限られた土地や資源で効率的な乳製品生産が可能となります。また、気候変動による農業への影響を考慮し、高さ約20cmの矮性イネを植物工場内で安定的に栽培する独自の手法を導入。これにより、水資源や土地の使用を大幅に削減しつつ、高品質な原料の安定供給を実現しています。こうした技術は、環境意識の高い消費者や持続可能な生産を目指す企業にとって大きな価値を提供し、環境負荷の少ない次世代の乳製品市場の拡大に貢献しています。

また、Kinishは植物性食品の「美味しさ」についても注力していて、これまでに従来の乳製品に見劣らない味のアイスクリームとチーズの開発を手掛けています。

(引用元 : 公式HP

実績

実績① 日本発のフードテック・スタートアップの北米支援対象第1号に選定

(引用元 : PRTIMES

2024年9月17日、Kinishは、日本発のフードテック・スタートアップ支援プログラムを手掛けるWildcard Incubatorと米国Union Kitchenにより、北米支援対象の第1号に選定されました

このプログラムでは、Kinishが約9か月間にわたり北米市場での製品上市を目指し、Union Kitchenの支援を受けます。初めの3か月は消費者と直接対話し製品の市場適合性を検証するフェーズ、続く6か月は商業展開と改善を繰り返すフェーズです。支援には製造委託先や流通、小売確保の伴走支援も含まれ、ワシントンD.C.を中心に試験販売が行われます。

Union KitchenのCEOは、Kinishの市場理解と柔軟性を高く評価しており、今後の北米展開を期待しています。プログラムは日本の他のフードテック企業も対象に継続実施され、日本の食品ブランドの米国普及と持続可能な食産業の活性化に寄与することを目指しています。

実績② SFIP採択企業として東南アジア進出へ

(引用元 : PRTIMES

株式会社Kinishは、Sustainable Food Asia(SFA)が主催する「Sustainable Food Innovation Program(SFIP)」の採択企業62社のうちの1社として選ばれました。このプログラムは、東京都のスタートアップ支援事業「TOKYO SUTEAM」の協定事業者として、国内スタートアップの東南アジア進出を支援することを目的としています。

Kinishは、今回の採択により、SFAが主催するウェビナーへの参加や、Sustainable Food Campへの参加、Sustainable Food Museumでのポップアップイベントの開催支援、各国のプロフェッショナルによる個別メンタリングなど、東南アジア進出に向けたサポートを受けることができます。

現在、Sustainable Food Museumでは、Kinishを含む採択企業の取り組みを紹介するPOPUP展示が行われており、同社の活動が広く紹介されています。

資金調達 : シードラウンドで総額1.2億円の資金調達を実施

(引用元 : PRTIMES

Kinishは、2025年2月14日にシードラウンドで総額1.2億円の資金調達を実施しました。ジェネシア・ベンチャーズ株式会社(Genesia Venture Fund 3号投資事業有限責任組合)、ライフタイムベンチャーズ合同会社(OLtV Seed Fund投資事業有限責任組合)、Full Commit Partners株式会社(Partners Fund 1号投資事業有限責任組合)および三菱UFJキャピタル株式会社(三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合)を引受先としており、この調達額は、今後の研究開発や事業拡大に活用される予定です。

今回調達した資金は、株式会社Kinishは、牛乳たんぱく質の一種であるカゼインを生成する特殊なイネの開発を加速させ、商業規模での生産を目指しています。地球温暖化による農業の難易度上昇に対応するため、高さ約20cmの矮性イネを植物工場で栽培するモデルを静岡大学と共同で研究開発しており、この取り組みも資金調達により一層推進しています。また、同社はコメを活用した代替乳製品の開発ノウハウを持ち、まずはカゼインを含まない通常のコメを原料としたアイスクリームの開発を進め、日本と米国での販売を計画しています。こうした商品販売に向けたマーケティング活動にも資金を活用する予定です。

市場規模:Kinishが属するフードテック市場

(引用元 : 三菱総合研究所

フードテックは、環境問題や資源利用、生物多様性の保全、そして栄養面での課題解決に向けて注目を集めています。世界のフードテック市場は、2020年時点で約24兆円の規模でしたが、2050年には約280兆円へと12倍に成長する可能性があります。これは、同時期に既存の食料市場が約230兆円から490兆円へと約2倍になる見込みを大きく上回る成長率です。結果として、2050年にはフードテック市場が既存の食料市場の約6割を占めると予測されています

特に注目されているのは、環境制約のもとで必要な食料需要を満たす生産側の技術と、より健康的で豊かな食生活を実現する消費側の技術です。この2つの分野が、フードテック市場の成長を大きく牽引すると見られており、今後の食料システムの持続可能性や健康増進に寄与する重要な領域となっています。

【会社概要】

  • 会社名:株式会社Kinish
  • 所在地:東京都新宿区新宿3-5-6 ビジネスエアポート新宿三丁目 Room 507
  • 設立年月日:2023年1月
  • 代表者名:橋詰 寛也
  • 公式HP URL:https://kini-sh.com/ja/

【まとめ】

株式会社Kinishは、イネを用いた牛乳タンパク質の生成技術と矮性イネを植物工場で栽培する革新的なアプローチで、持続可能な乳製品の提供を目指すフードテックスタートアップです。今後、研究開発の加速とともに、国内外での事業展開が進められ、グローバル市場での成長が期待されています。Kinishの技術は、環境に配慮した食品を求める消費者にとって大きな魅力となり、今後ますます注目される企業となるでしょう。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

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