近年、温暖化による異常気象や新型コロナウイルス、テロや軍事的リスクなど、あらゆる「危機」がすぐそばにある社会となりました。
世界中に潜む「危機」から社会を守るために、リスクの見える化・予測を可能にしているのが株式会社Spectee(以下、Specteeと省略)です。
最先端の技術をもとに、過去のデータを収集・解析し、つぎに起こるリスクを誰もが分かる形で世界に伝えます。
沿革:災害時の情報をリアルに伝える技術を開発
2011年の東日本大震災で被災地を訪れたSpecteeの創業者は、災害時のリアルな状況を伝えるため、情報伝達サービスの開発をはじめました。
2017年から2019年にかけて、米AP通信社やソニーマーケティング株式会社など、多くの企業と事業提携をしています。また、Open Network Lab最優秀賞など、多くの功績を残しました。
2020年に、防災・リスクマネジメントに特化したサービス「Spectee Pro」を開発し、さらに事業が発展します。2022年にはYahoo!防災速報と連携、2023年には清水建設のプログラムに採用されました。
新型コロナウイルスや異常気象など、世界中に「危機」が増えている現在、Specteeはより一層発展していくでしょう。
事業内容:リスクを可視化、持続可能な社会を目指す
Specteeは、自然災害や軍事的リスクから社会生活を守るために、過去の膨大なデータからリスクを見える化しています。
最新のデータ収集・解析技術で、防災だけでなく、各国の生産への影響を把握する「サプライチェーン・リスクマネジメント」も実現しました。
世界中の「危機」のシミュレート・被害予測を正確におこなうことで、持続可能な社会を目指しています。
サプライチェーンとは:原料調達にはじまり、製造、在庫管理、物流、販売など消費者に届くまでの一連の流れのこと。
「Spectee Pro」災害や緊急時の危機管理
「Spectee Pro」は、災害や緊急時の状況把握や、防災・リスクマネジメントに特化したサービスです。
世界中のSNS投稿や気象庁のデータから、災害時に必要な情報を瞬時に収集・伝達します。とくに発生場所に近いところでは、メールやスマホアプリに音声情報として届く点が特徴です。
防災にも特化していて、今いる場所にどのようなリスクがあるのか、地図上で直感的に把握できます。気象データや衛星画像、天気や浸水域の範囲だけでなく、物流や交通情報などもわかるようになりました。
「Spectee SCR」非常時のサプライチェーンへの影響を迅速に把握
「Spectee SCR」は、情報をリアルタイムに収集し、非常時にサプライチェーンへどれほど影響があるかを迅速に把握します。
主な機能は、全世界のインシデント発生の即刻通知・サプライヤーや製品の被害状況把握です。SNSや気象データをもとに、製造や納期への影響など、生産活動に起こりうるリスクを分析します。
また、拠点と製品のつながりをマップ上で把握できるため、インシデント発生時も柔軟な対応をとることが可能です。
資金調達:2023年に大手企業から総額15億円を調達
Specteeは2023年、NVenture Capital・NTTデータ・みずほキャピタルなど計7社を引受先として、第三者割当増資を実施します。
さらに、みずほ銀行・りそな銀行など計4社の金融機関からのデッドファイナンスが加わったことで、2023年の資金調達額は総額15億円となりました。
気候変動や自然災害への対応など、ESGの観点から賛同する企業は多く、同社は今後もさらなる発展を遂げるでしょう。
ESGとは:Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)を考慮した、投資活動や事業活動
市場規模:防災システムの世界市場は2030年に2981億米ドル
防災システムの世界市場は、年平均成長率7.4%で成長し、2030年には2981億米ドルに達すると予想されています。
温暖化や自然災害の増加にともない、防災システムの普及が進んできました。また、国民の安全を確保する法整備が進んでいる国が増えていることも、防災システムの需要を押し上げています。
新型コロナウイルスや軍事的リスクから、安全が見直されている現在、防災システムの需要はさらに高まっていくでしょう。