最終更新日 24/10/18
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【株式会社S’UIMIN】日本人の睡眠課題を解決する筑波大学発スタートアップを解説!

ITヘルスケア
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脳波で睡眠検査|S'UIMIN

「日本人は睡眠不足である」と耳にすることは多いのではないでしょうか。実際、2023年の経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本は先進国の中で、睡眠時間が最も少ないとされています。2021年版の調査では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、33カ国の中で最も短いことがわかっています。

その中、すべての人の睡眠課題の発見から解決までを手掛ける企業が、株式会社S’UIMINです。同社は、筑波大学発スタートアップで、脳波を測定できる独自のデバイスをはじめ、睡眠状況を可視化するサービス等も提供しています。

本記事では、株式会社S’UIMINの事業内容や資金調達などを紹介していきます。

事業内容:脳波測定デバイスを用いた睡眠測定サービス

脳波で睡眠検査|S'UIMIN
(出典:https://www.suimin.co.jp/

株式会社S’UIMINは、脳波測定デバイスとAIを活用した高度な睡眠測定サービスを提供するスタートアップです。

医療機関向けには、精度の高い脳波測定と解析を通じて、患者の睡眠状態を診断し、改善に向けたアドバイスを行います。これにより、医療現場での睡眠管理をサポートしています。

一方、個人向けには、自宅で簡単に装着・操作ができる睡眠測定器を提供。ユーザーは、普段の寝具でいつも通りに眠るだけで、脳波をもとに正確な睡眠データを得られます。スマートウォッチやスマホアプリと比較して、脳波を測定することでより詳細なデータが得られるのが特徴です。装着にかかる時間はわずか3分で、操作もシンプルです。

S’UIMINの技術は、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構との共同開発によるもので、世界的に評価されている研究技術を応用しています。この高度な睡眠測定技術により、より良い睡眠の実現を目指すサービスを提供しています。

資金調達

<2018年:7億円の資金調達>

  • 調達額:7億円
  • 出資元:未来創生2号ファンド(初の投資案件)
  • 目的:医療機器認証の取得と診断支援サービスの開始

<2021年:5億円の資金調達>

  • 調達額:5億円
  • 出資元:長瀬産業株式会社、帝国通信工業株式会社
  • 目的:脳波測定ウェアラブルデバイスとAI解析システムの拡大

<2022年:1億円の資金調達>

  • 調達額:1億円
  • 出資元:カルビー株式会社
  • 目的:睡眠ビッグデータの活用とパートナーシップ構築

S’UIMINは、これらの資金調達を通じて、着実に技術開発を進め、医療機関や一般消費者向けの睡眠ソリューションを拡大しています。

創業の経緯 :

会社概要|S'UIMIN(スイミン)
(出典:https://www.suimin.co.jp/

株式会社S’UIMINの創業者である柳沢正史氏は、幼い頃から自然科学に対する深い興味を持って育ち、筑波大学医学部に進学。その後「未来の患者」を助けるために、臨床医ではなく、基礎研究者としての道を選びました。

柳沢氏が睡眠研究に進むきっかけとなったのは、1998年に脳内物質「オレキシン」を発見したことです。当初、この物質は食欲の調節に関わると考えられていましたが、その後の研究で、オレキシンの欠乏が睡眠障害「ナルコレプシー」の原因であることが判明。この発見により、柳沢氏は睡眠研究に強い関心を抱くようになりました。

長年の基礎研究を通じて得た知見を社会に役立てたいという強い思いから、柳沢氏は2017年に株式会社S’UIMINを設立現代社会では「睡眠検査のキャパシティ不足」や「睡眠の自己認識の不正確さ」など、睡眠に関する課題が数多くあります。柳沢氏は、こうした問題を解決するため、誰でも簡単に正確な睡眠計測ができる社会を目指し、事業をスタートさせました。

S’UIMINのサービスは、脳波を基にした高精度な睡眠測定が特徴で、従来の検査では困難だった部分を解決。さらに、AI解析により、迅速で一貫性のある結果を提供しています。こうして柳沢氏は、基礎研究者としての知見を社会に活かし、より多くの人々に質の高い睡眠を提供する道を選びました。

将来展望 :

脳波で睡眠検査」の体験概要 |S'UIMIN(スイミン)-睡眠の質を脳波で調べる
(出典:https://www.suimin.co.jp/

株式会社S’UIMINは、睡眠計測技術をより多くの人々に届けることで、社会全体の健康とウェルネスを向上させることを目指しています。将来に向けた具体的な目標は、次の3つです。

1つ目は、睡眠計測を日常の一部にすること。血圧計が普及して心血管障害のリスクを減少させたように、S’UIMINは自宅で簡単に睡眠脳波を測定できるデバイスを普及させ、誰もが自分の睡眠状態を正確に把握できる社会を実現しようとしています。

2つ目は、睡眠の課題解決を加速させること。S’UIMINは、収集した膨大な睡眠データをもとに、睡眠障害の原因解明や治療法の開発に貢献。さらに、睡眠改善のためのサプリメントや寝具の開発支援など、多くの企業との連携を進め、睡眠の質向上に向けた商品開発をサポートしていきます。

3つ目は、睡眠を大切にする意識の啓発。日本社会には、まだ「寝る間も惜しんで頑張る」という風潮が根強く残っていますが、睡眠は心身の健康を支える重要な要素です。S’UIMINは、睡眠の大切さを広く伝える啓発活動も行い、全ての人々にとってより良い睡眠を実現するための環境を整えていきます。

このように、S’UIMINは睡眠を軸とした多様なイノベーションを通じて、あらゆる人々の生活を豊かにし、社会全体のQOL向上に貢献していくことを目指しています。

会社概要

会社名:株式会社S’UIMIN

設立日:2017年10月17日

代表取締役社長:柳沢正史

本社:〒151-0061 東京都渋谷区初台1-51-1 初台センタービル817

まとめ

今回は、脳波を測定できる独自のデバイスから睡眠状況を可視化するサービスを提供する、株式会社S’UIMINについて紹介してきました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

国内外問わず面白い企業についてまとめているため、関連記事もご覧ください。

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