
近年、職場における熱中症対策が早急の社会課題となっており、2025年6月1日には改正労働安全衛生規則が施行され、一定の条件を満たした作業においては熱中症の重篤化を防止するための体制整備、手順作成、関係者への周知を行うことが事業者に義務付けられました。
こうした状況下で、LINE WORKS株式会社は、法人向けチャットツール「LINE WORKS」において、2025年版の熱中症アラート機能の提供を開始しました。これにより、働く人々の安全管理をテクノロジーの力で支援し、より安心・安全な職場環境の実現に貢献しています。
LINE WORKSは2023年1月時点で国内43万社・450万人に利用される大規模サービスであり、現場作業者にも配慮した設計が評価されています。
本記事では、同社の提供する最新サービスに焦点を当て、その特徴や今後の展望について紹介します。
事業内容①:熱中症対策の義務化に対応!現場の安全を守る「LINE WORKS 熱中症アラート」最新版リリース

LINE WORKSの「熱中症アラート」は、作業現場の気象情報を元に気温・湿度から計算したWBGT指数(暑さ指数)や注意レベルなどを毎朝夕に自動通知する機能です。
チャットのアプリディレクトリに追加するだけで利用でき、現場スタッフや管理者にプッシュ配信できます。通知は毎日朝9時と夕方5時に行われ、必要に応じて休憩喚起も可能です。
管理者は過去のデータを集計して社内の安全管理計画に活用でき、健康管理や配置計画にも役立ちます。独自AIチャットボットと組み合わせれば、熱中症に関する社内Q&Aも自動化することが可能です。現場では建設や工場など高温環境での業務が多いため、この機能を使って休憩タイミングの最適化が図られています。
2023年の試験提供では約800社が導入し、2024年に正式版を無料公開すると導入企業数は1500社以上に拡大しました。これにより法改正で求められる熱中症予防対策を効率的に実施でき、職場の安全度向上に大きく貢献しています。
事業内容②:進化を続けるLINE WORKSの注目機能と最新アップデート

LINE WORKS株式会社はチャット以外にもカレンダー・掲示板・ファイル共有・ビデオ会議など豊富なグループウェア機能を備えています。2024年5月にリリースしたVer.4.0ではUIが刷新され、ダークモードや通知機能の強化が図られました。
特に注目のオプション機能を以下に紹介します。
- 外部連携:
SlackやMicrosoft Teams、Google Workspaceなどと連携可能で、既存環境からの移行・ハイブリッド運用も容易です。 - Drive Plus:
2025年1月開始のオプション。図面データなどの大容量ファイルも含めて最大10人まで同時に共同編集できるほか、CADビューアやOCR検索機能も提供します。スタンダードプラン利用者向けに月額500円(年契約)で利用可能です。
さらに外部招待機能により、アカウントを持たない取引先を最大10名まで招待し、共同編集できます。製造業では3Dモデルの共同検証や設備保守計画に活用され、設計部門の効率化に寄与しています。 - AiNote:
2024年11月提供開始のAI議事録機能。会議音声を自動で文字起こしし、さらにAI要約機能で会議内容をレポート化します。議事録作成の工数削減に貢献し、業務効率を高めます。多言語対応も進められており、海外拠点との会議記録や各国語への翻訳にも期待が集まっています。
基本機能は無料で提供されているため、企業は必要に応じて有料オプションを追加し、費用対効果の高い運用が可能です。
次期バージョンでは、AIによるアクションアイテム抽出や感情分析など業務支援機能の実装が見込まれており、さらなる効率化に向けた投資も続いています。
資金調達:NAVER Cloud傘下で拡大

LINE WORKS株式会社はNAVER Cloud(NAVERグループ)の日本法人で、資本金は55億2,000万円です。なお、2024年1月から社名を現社名に変更し、LINE社のAI事業(CLOVA)を統合する形で機能強化に取り組んでいます。
最新の資金調達情報は公表されていませんが、既存投資を背景に事業を急速に拡大させています。2022年9月には累計ARR(年間経常収益)が100億円に達したと発表されるなど成長が顕著です。親会社の支援により安定した資金基盤があり、製品開発やAI研究への投資を積極的に続けています。
現在はグループ内外からの追加投資を受けており、今後の上場計画は未定ながら社内にはAI人材も集められています。国内ビジネスチャット市場は拡大傾向にあり、ITRは2028年度に500億円超に達する見通しです。こうした市場の追い風を受け、LINE WORKSは企業のDX推進を支える基盤として一段と注目されています。
市場規模:2027年までに、国内ビジネスチャットツール市場は467億円に到達する見通し

LINE WORKS株式会社の属するビジネスチャット市場は拡大著しく、以下の通り大規模です。
- 国内市場:矢野経済研究所の調査では2024年度に約403億円、2027年度には467億円に達すると予測されています。
- グローバル市場:フォーチュン・ビジネス・インサイト社の予測で2024年に約539億ドル、2032年に1,326億ドルに拡大するとされています。
こうした市場動向の中で、LINE WORKSは医療・教育・建設・物流など多様な業種で幅広く導入されている状況です。
法人向け管理機能や高いセキュリティ(ISO27001等)が評価され、金融機関や自治体など信頼性重視の顧客にも支持されています。競合のSlackやMicrosoft Teamsとは異なり、日本企業向けの充実したサポート体制と親しみやすいUIで差別化を図っています。
さらに、国内では富士キメラ総研の調査で2017~2022年度まで6年連続シェアNo.1を獲得するなど、確かな実績を築いています。政府のDX補助金やテレワーク支援策の後押しもあり、今後ますますの成長が期待される市場と言えるでしょう。
会社概要
- 会社名:LINE WORKS株式会社
- 設立:2015年6月3日
- 資本金:55億2,000万円
- 代表者:島岡 岳史
- 本社所在地:東京都渋谷区桜丘町1-1 渋谷サクラステージ SHIBUYAタワー23F
まとめ
LINE WORKS株式会社は今後もAI機能の強化や働き方改革支援機能の追加を進めていく計画です。
具体的には、生成AIによる自動返信や文書要約機能、シフト管理の高度化など、多様な業務効率化機能の実装が期待されています。他社との差別化を図りつつ、企業のDX推進に寄与するソリューションを提供していくでしょう。
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