
株式会社アンドエーアイ(以下、アンドエーアイ)は、2018年に創業されたスタートアップです。2023年に「KANRIL(カンリル)」という勤怠管理サービスを開発し、社名も株式会社アンドエーアイに変更してAI分野に進出しました。
事業拡大の過程で、代表取締役社長の西真央氏はYouTubeのリアリティ番組「令和の虎」に出演しています。番組では「カンリル」の認知度向上を狙い、熱いプレゼンを行いました。最終的に、投資家から出資を勝ち取り、初めての外部資金調達に成功。これにより、同社のサービスやビジョンが広く認められる大きな転機となりました。
本記事では「カンリル」の特徴や令和の虎出演の概要、今後の展望などについて詳しく解説していきます。
勤怠管理システム「カンリル(KANRIL)」

アンドエーアイの主力事業である勤怠管理システム「カンリル(KANRIL)」は、1~300名規模の中小企業向けに特化したクラウド型サービスです。シンプルな機能設計で、専用端末を使わず、PCやスマートフォンさえあれば導入することができます。料金プランは業界最安水準で、従業員30名あたり月額2,980円~という従量課金制を採用し、初期費用は無料です。2024年に正式リリースされたこのサービスは、ユーザー企業のフィードバックを反映して、洗練されたプロダクトに仕上がっています。
使いやすさにこだわったUI/UX
カンリルは「誰でも簡単に使える」を追求したUI/UXが特徴です。自社のような中小規模事業者のニーズに合致した勤怠管理サービスがないという自社の課題から着想を得ているため、管理者や従業員が迷わず使えるシンプルな画面設計となっており、ITリテラシーが低くても簡単に操作可能です。これにより、システム導入時の研修コストも大幅に削減できます。
カンリルの社会的意義と提供価値
カンリルは日本の中小企業の勤怠管理を効率化し、煩雑な業務を改善することを目的としています。多くの中小企業では、依然として紙のタイムカードやエクセルでの手作業集計に依存しており、これに対する現場の不満や困難を解決するために「カンリル」は開発されました。特に、2024年問題で求められる時間外労働の上限規制への対応にも役立ちます。カンリルを導入することで、経営者や労務担当者が本来の業務に集中できるよう支援し、企業の生産性向上に貢献しています。
アンドエーアイの多角的な事業展開
アンドエーアイは「カンリル」に加えて、自社開発サービスと受託開発事業を広範囲に展開しています。
自社サービス:「Fu-Cosme(フーコスメ)」

アンドエーアイの自社サービスの一つ、「Fu-Cosme(フーコスメ)」は、コスメ好き(コスメオタク)をターゲットにした化粧品管理アプリです。このアプリは、自分が所有する化粧品やスキンケア用品をスマートフォン上で管理できるBtoC向けのツールで、使用期限の記録やコスメ日記的なメモ機能を提供しています。西真央氏自身のコスメ好きが背景にあり、ユーザーがコスメをコレクション感覚で管理できるよう設計されています。
2022年7月31日に正式リリースされ、Flutterによるクロスプラットフォーム開発でiOSとAndroid両方で同時リリースされました。美容マニア層に人気を集め、ファッション系ニュースサイトでも「コスメオタクが開発した画期的アプリ」として紹介されています。
受託開発事業

アンドエーアイは、創業当初からスマートフォンアプリの受託開発にも力を入れています。特にGoogleのフレームワーク「Flutter」を駆使し、クロスプラットフォームでのアプリ開発が強みです。東京と大阪を拠点に、クライアント企業のアプリ開発プロジェクトを手掛けており、技術力と提案力の高さが評価されています。
生成AI技術への注力

最近では、生成AI(Generative AI)を活用したプロダクト開発にも注力しています。「日本のすべての人にAIのある生活を」というビジョンを掲げ、AIチャットボットやChatGPTの業務システムへの組込みを進行中です。この技術により、業務効率化を支援するプロダクトを展開し、AIを通じて企業支援を行っています。
ミッションと今後の展望
アンドエーアイは、自社のテクノロジーを通じて「世の中にポジティブな影響を与える」というミッションを掲げています。自社プロダクトと受託開発の両軸で、技術革新を進めると共に、企業の成長を支援し続けるエキスパート集団としての役割を果たしています。
資金調達:令和の虎にて希望額500万円満額獲得、投資家から太鼓判

アンドエーアイの代表取締役である西真央氏は、2025年1月30日にYoutube番組「令和の虎」に出演しました。番組内では起業家が希望額を提示し、複数の虎(投資家)が出資額を表明してマッチすれば成立(ALL)となりますが、西氏は希望金額500万円の獲得に成功しました。またそれだけでなく動画の中で、虎の一人から「これは出資すべきタイミングだ」と太鼓判を押される場面もあり、厳しい結果になることが多い中で見事資金の調達、カンリルの宣伝の両方に成功しました。
令和の虎に参加した背景を西氏はこのように語っています。
カンリルの課題は「認知度」と考えてました。
素晴らしいものを作っても、伝えなければ、ないのと同じ。
これは私が好きなスティーブ・ジョブズの言葉です。
カンリルは実際に中小企業の皆様や、自分たちの悩みから作った勤怠管理システムで、現場の声をしっかりと聞いて作り上げた自信のあるサービスです。
今お使いいただいているお客様には「こういうの探してた!」と嬉しい声をいただく一方で、まだたくさんのお客様にお届けできてはいない現状です。
どうやったらもっとたくさんのお客様にカンリルを知っていただくことができるか。もっとたくさんのお客様の悩みを解決したい。
そう思った時に、普段見ている「令和の虎」の虎のみなさんの一人一人の影響力や「広める力」をお借りしたいと思いました。(引用:公式note)
カンリルの宣伝が最大の目的であったと語る西氏ですが、実際、放送後2ヶ月ほどで契約社数は1.5倍に増加し、効果は絶大であったとも語っています。番組のYouTube動画は公開から約4か月で28万回以上再生され(2025年6月現在)、カンリルの認知度は大きく向上しています。希望金額の満額獲得と共に、カンリルの知名度向上も成功したアンドエーアイは今後さらに事業を拡大していくことが期待されています。
市場規模:勤怠管理市場、2033年には約55.8億ドルに達する予測

勤怠管理ソフトウェア市場規模は、今後も拡大が見込まれています。2024年にはグローバル市場規模は約30.6億ドル(約4,000億円)となり、2033年には約55.8億ドル(約7,500億円)に達する予測です。成長要因として、クラウド型勤怠管理システムの需要増や、リモートワーク・ハイブリッドワークの普及が挙げられます。特に新型コロナ以降は、テレワークの定着により「誰が、いつ、どこで働いたか」の管理が重要視され、各国での導入が進んでいます。2023年には、大企業の88%、中小企業の56%が勤怠管理システムを導入済みであり、まだ半数近くの中小企業には未導入であり、さらなる成長が期待されます。
2024年問題と法改正の影響

2024年4月から適用される新たな時間外労働規制(2024年問題)は、大きな市場拡大の追い風です。これにより、中小企業でも労働時間の適正な把握と36協定順守が強く求められ、クラウド勤怠管理システムへの関心が高まっています。日本国内では、「KING OF TIME」や「freee勤怠」などのサービスが普及し、市場が拡大しています。
カンリルの競争優位性
勤怠管理市場は成長余地が大きいブルーオーシャン市場であり、カンリルは中小企業向けのシンプルかつ低価格な戦略で差別化しています。市場拡大と相まって、カンリルがシェアを拡大するポテンシャルは十分にあります。
今後の展望:導入社数No.1の勤怠管理システムへ

今後の展望とサービス拡大
西氏は「日本全国の中小企業にカンリルを導入し、導入社数No.1の勤怠管理システムになる」ことを目標に掲げています。今後は勤怠管理にとどまらず、事務作業の効率化やAIを活用した生産性向上を目指し、他のバックオフィス領域へのサービス拡張も進めています。また、AIプロダクトの開発にも力を入れており、労務コンサルティング機能や経費精算などの新サービスが視野に入れられています。
西氏のビジョンと企業への熱い想い
西氏は、仕事と育児の両立に奮闘する女性起業家として、自身の経験を踏まえ、「心から愛せるサービスを作り、世の中にポジティブな影響を与える」ことを信念にしています。カンリルには、中小企業のDXを変革し、働き方改革を進める熱い志が込められており、今後さらなる飛躍が期待されます。
会社概要
- 会社名: 株式会社アンドエーアイ
- 所在地:
- Tokyo Office:〒108-0074東京都港区高輪4-22-11 Village高輪 3F
- Osaka Office:〒542-0076大阪府大阪市中央区難波4-3-21 ZAナンバビル4F
- 代表者名:
- 代表取締役会長 松永 佳悟
- 代表取締役社長 西 真央
- 設立年月日: 2018年4月18日
- 公式HP:https://andai.net/
まとめ
今回は「令和の虎」出演を契機に勤怠管理システム「カンリル」の認知度を大幅に向上させ、急成長を遂げているスタートアップ株式会社アンドエーアイを紹介しました。
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