株式会社カナリーは、2018年創業の「不動産テック」企業です。部屋探しや不動産仲介の分野でIT技術を活用して便利化・効率化を目指しています。代表的な事業は、「CANARY」という賃貸及び売買物件を掲載する部屋探しアプリを提供しています。
本記事では、同社の事業内容や資金調達、将来展望等について、詳細に記載しています。
事業内容:不動産業界全体をより良いものに変えていく
株式会社カナリーは、不動産業界の課題をITの力で解決する「不動産テック」企業です。この会社は、私たちの日常生活に深く関わる「部屋探し」や「不動産仲介」の分野で、新しい技術によって便利化・効率化を実現しようとしています。
カナリーの目標は、「もっといい『当たり前』をつくる」ことです。これは、今まで当たり前だと思っていた不便さや非効率さを、最新のテクノロジーを使って改善し、より良い生活や仕事の環境を作り出すという意味です。
具体的には、インターネットやスマートフォンアプリを使って、部屋を探す人と不動産会社をつなぐサービスを提供しています。また、不動産会社の業務をより効率的にするためのシステムも開発しています。
カナリーの取り組みは、単に便利なサービスを作るだけでなく、不動産業界全体をより良いものに変えていこうという大きな目標を持っています。これは「不動産業界のDX」と呼ばれ、古い慣習や非効率な仕組みを最新のデジタル技術で刷新する取り組みです。
主力サービス
カナリーは主に2つの主力サービスを展開しています。
- 「CANARY(カナリー)」: 一般の人々が使う部屋探しのためのスマートフォンアプリです。このアプリを使うと、自分の希望に合った物件を簡単に探すことができます。従来の不動産サイトとは違い、より使いやすく、効率的に部屋探しができるように設計されています。
- 「CANARY Cloud(カナリークラウド)」: 不動産会社向けのサービスです。不動産仲介の仕事を効率的に進めるための顧客管理システムと営業支援ツールを提供しています。このシステムを使うことで、不動産会社は顧客の情報を簡単に管理したり、効果的な営業活動を行ったりすることができます。
これらのサービスは、部屋を探す人と不動産会社の双方にメリットをもたらします。部屋探しをする人にとっては、より簡単に理想の物件を見つけられるようになります。不動産会社にとっては、業務の効率化が見込めます。
創業の経緯:メリルリンチ日本証券IBD、BCGを経て起業
カナリーは、2018年4月に佐々木拓輝氏によって創業されました。佐々木氏は東京大学経済学部を卒業後、メリルリンチ日本証券の投資銀行部門で働き、その後ボストン コンサルティング グループ(BCG)を経て、株式会社BluAge(現、株式会社カナリー)を立ち上げました。
佐々木拓輝氏の経歴と起業の動機
佐々木拓輝氏は東京大学経済学部を卒業後、メリルリンチの投資銀行部門で国内外のM&Aや資金調達に従事しました。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、2018年4月に株式会社BluAgeを設立しました。佐々木氏は大学時代から起業を志し、コンサルティング業務を通じて「大きなことを早く成し遂げたい」という思いが強まり、起業を決意しました。同じく東京大学出身のCTOである穐元氏と共同で起業に踏み切ったのです。
不動産業界への挑戦
佐々木氏は不動産領域のDXに取り組んでいます。「CANARY」は賃貸及び売買物件を掲載する部屋探しアプリで、ユーザー体験の向上を目指しています。他の部屋探しプラットフォームとは異なり、自社でデータベースを管理しており、最新の情報を提供することができます。
佐々木氏が不動産業界に参入した理由は、自身の引っ越し経験からこの業界のペインを感じたことがきっかけにあります。また、市場規模も大きく、改善余地が多いと判断し、参入を決定したといいます。
会社沿革
カナリーの主な出来事を時系列で紹介します。
2018年4月:株式会社BluAge(現、株式会社カナリー)設立。
2019年6月:「CANARY(カナリー)」アプリリリース。
主力サービスである部屋探しアプリ「CANARY」の提供を開始。
2024年:創業から約6年で、資本金が38億円を超える規模に成長。
株式会社クレディセゾンと資本業務提携大手クレジットカード会社のクレディセゾンと10億円の資本業務提携を締結。決済領域での連携を強化することを発表。
これらの出来事から、カナリーが短期間で急速に成長し、大手企業からも注目される存在になっていることがわかります。
資金調達
カナリーの最新の大型資金調達としては、2024年3月に発表された株式会社クレディセゾンとの10億円の資本業務提携があります。
また、2024年2月29日時点での資本金は、約38億円となっています。これは、創業からわずか6年ほどで達成した金額であり、カナリーの成長スピードと市場からの期待の高さを示しています。
なお、具体的な資金調達の履歴については公開情報が限られているため、詳細は不明ですが、このような大型の資金調達を実現できていることから、投資家からの信頼も厚いことがうかがえます。
将来展望:不動産テックのプラットフォーマーへ
カナリーは、不動産テック市場でのさらなる成長と影響力の拡大を目指しています。具体的には、プラットフォーム戦略の強化が考えられます。
不動産テック領域でのプラットフォームになることにより、エンドユーザーと事業者の双方に一貫した価値を提供し、市場での優位性を確立しようとしています。
カナリーは、これらの取り組みを通じて、不動産テック市場でのリーダーシップを確立し、業界全体の変革を牽引していく姿勢を示しています。
市場規模:急速に成長する不動産テック市場
カナリーが事業を展開している不動産テック市場は、急速に成長している分野です。
- 市場規模: 2030年には2.4兆円規模になると予測されています。これは、不動産業界でのデジタル化の需要が高まっていることを示しています。
- 市場の特徴:
- 従来の不動産業界とITの融合が進んでいる
- 消費者のニーズの変化(オンライン、アプリでの物件探しなど)に対応
- 不動産会社の業務効率化の需要が高まっている
- 今後の展望: IoT、AI、ビッグデータなどの先端技術の活用により、さらなる市場拡大が期待されています。また、不動産取引の透明性向上や、新しい住まい方の提案など、社会的なインパクトも大きいと考えられています。
このような大きな可能性を秘めた市場で、カナリーは先進的なサービスを提供し、成長を続けています。不動産テック市場の拡大は、カナリーの事業成長にとっても追い風となっており、今後の展開が注目されています。
会社概要
会社名:株式会社カナリー
設立:2018年4月
代表:佐々木拓輝
所在地:東京都千代田区麹町6-2-6PMO麹町 11階