最終更新日 25/04/10
国内スタートアップ注目企業

子育ての“不安”を“ワクワク”に変える。iibaが挑む情報インフラとしての挑戦

AIアプリ開発
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(引用:BRIDGE)

子育て中の外出は、楽しい反面、不安もつきもの。授乳室の有無やベビーカーでのアクセス、トイレの清潔さなど、気になるポイントは数えきれません。

こうした課題を解決するために生まれたのが、株式会社iibaが開発するマップアプリ「iiba(イイバ)」です。

iibaは子連れに優しい場所を簡単に探せる無料のマップアプリで、授乳室の有無やベビーカー対応などの条件で施設を絞り込めるほか、他のユーザーが投稿した写真付きレビューも参考にすることができます。

2025年4月には、累計2.3億円の資金調達を実現し、今後のさらなる事業拡大が期待されているところです。

本記事では、「iiba」の創業背景や事業内容、競合との比較、そして市場規模や将来の展望に至るまで、株式会社iibaの現在地と今後の可能性を詳しくご紹介します。

創業の背景:一人の母の想いから生まれた「インフラ」

(引用:STARTUPS)

iibaの創業者であり代表を務める逢澤奈菜氏は、出産と子育てを経験する中で、子連れでの外出に大きな困難を感じていました。授乳室の有無やベビーカー対応など、出かける前に知っておきたい情報が見つからず、外出のたびに不安が募る日々。検索しても情報は断片的で、結局は現地に行って確かめるしかないという状況に、多くの親が直面していることに気づきました。

「そもそも、行ける場所が少ないのではなく、“必要な情報がまとまっていない”だけなのではないか」。そう考えた逢澤氏は、外出がストレスになってしまうこの社会のあり方に違和感を覚えます。外出は、親子のかけがえのない時間を育む機会であるはず。ならば、それを支える仕組みをつくろうと決意し、アプリ開発の経験がなかったものの、専門的な知識がなくても使えるノーコードツールを使い、試作版のアプリ制作を始めました。

その後、同じ課題を感じていた仲間が加わり、2022年に株式会社iibaを設立。2023年にはiOS向けに正式リリースされたアプリ「iiba」は、現在も子育て世帯の外出を支えるサービスとして進化を続けています。

事業内容:子連れで安心して行ける場所が見つかる、無料のレビュー型マップアプリ

(引用:毎日新聞)

iibaは、子育て中の家族が「子どもと一緒に安心して出かけられる場所」を簡単に見つけられるように開発された、無料のレビュー型マップアプリです。日常のお出かけから週末のレジャー、旅行先の情報収集まで幅広く活用されています。

以下に対象施設の例と、特徴を解説します。

対象施設:日常から特別な日まで、家族の行動範囲を広げるラインナップ

(引用:PR TIMES)
  • 遊び場(公園、室内、レジャー施設、水遊び場など)
  • 飲食店(レストラン、カフェ、テイクアウト、フードコートなど)
  • 買い物(食料品、衣料品、ショッピングモールなど)
  • 宿泊施設(ホテル、グランピング、キャンプ、旅館など)
  • 観光施設(動物園、水族館、テーマパークなど)
  • その他(子鉄スポット、季節のイベントなど)

特徴:子育て世帯に必要な情報とこどもに合った体験を届ける仕組み

(引用:日本経済新聞)
  • ユーザーによる写真付きレビュー投稿
    実際にその場所を訪れたユーザーが、子連れの目線で役立つ情報を写真とともに投稿。設備の清潔さや混雑具合など、公式サイトには載っていないリアルな口コミが集まっています。
  • 子育てに特化した検索フィルター
    授乳室やおむつ替え台の有無、ベビーカーの利用可否、キッズスペース、子ども用メニューなど、子育て世帯ならではのニーズに合わせ、スポットを絞り込んで検索することができます。
  • 直感的な地図インターフェース
    アプリを開くと地図がすぐに表示され、現在地や指定エリア周辺の子連れスポットをすばやくチェック可能。地図を動かすと表示される情報もリアルタイムで更新されます。
  • こどもタイプ診断
    約1分、12個の質問に答えるだけで、こどもの個性を全20タイプから診断します。診断結果に基づき、AIがiiba内の遊び場やホテル、レジャー施設等の情報を、その子に合ったものとして提案することが可能です。子どもの特性に応じた外出先選びができるため、家族のお出かけがより充実した体験になります。

このようにiibaでは、子育て中の家族が「行ってよかった」と感じる全国3万件以上のスポット情報を、写真付きレビューと子育てに特化した検索フィルターで探すことができます。さらに、こどもタイプ診断を活用することで、それぞれの個性に寄り添った場所選びができるという、これまでにない新しいお出かけ体験を提供しています。

競合サービスとの比較

以下にiibaと類似するサービスを挙げ、今後の方向性について解説します。

いこーよ:圧倒的な情報量と信頼性で選ばれる大規模ポータル

(引用:いこーよ)

「いこーよ」は、全国の子ども向けお出かけ情報を提供する大規模なポータルサイトです。キャンプ場や科学館、海水浴場など、15万件以上の幅広い施設情報を掲載しており、網羅性の高さが大きな強みとなっていますまた、ユーザーによる口コミ投稿機能も備えており、実際に訪れた人の体験談を通じて、施設の雰囲気や注意点を知ることが可能です。累計6,700万人以上のユーザーが利用しており、子育て情報の検索プラットフォームとして高い信頼を集めています。

comolib(コモリブ):使いやすさと情報の質にこだわる、レコメンド型お出かけアプリ

(引用:PR TIMES)

comolibは、「子連れでも安心して外出できる場所を見つけたい」というニーズに応えるスマートフォン向けアプリとして提供されています。20〜30代のパパママ世代への徹底したユーザーヒアリングに基づき、使いやすさと情報の質にこだわって設計されているのが特徴です。また、ユーザーの基本情報やアプリ内での行動履歴を活用し、個々の好みに合ったスポットを推薦するレコメンド機能も備えており、利用者一人ひとりに最適化されたお出かけ体験の提供を目指しています。

競合との差別化に向けたiibaの方向性

いこーよは「圧倒的な情報量と利用者数」、comolibは「ユーザー体験に基づくパーソナライズ」に強みを持っています。それぞれが確固たるポジションを築く中で、iibaが差別化を図るには、“子育て世帯の日常に深く寄り添うリアルタイム性”や、“ユーザー参加型のレビューや診断によって、その子に合ったお出かけを提案する仕組み”をさらに磨くことが重要です。

特に、写真付きレビューの精度向上や、こどもタイプ診断と連動したAIレコメンド機能を通じて、その子らしい場所選びを実現できる点は、今後さらに差別化の軸となるでしょう。情報量ではなく、情報の質体験とのつながりで勝負することが、iibaの成長戦略におけるカギと思われます。

資金調達:プレシリーズAラウンドにて累計2.3億円を調達

(引用:PR TIMES)

2025年4月、iibaはプレシリーズAラウンドにおいて、複数の著名投資家から1.5億円の資金調達を実施しました。今回のラウンドでは、ANRIをリード投資家とし、ユナイテッド株式会社、イーストベンチャーズ株式会社、日本ベンチャーキャピタル株式会社(NVCC)、OASIS FUND、および複数のエンジェル投資家が参加しています。

これにより、累計調達額は2.3億円を突破。創業からわずか数年で、スタートアップ界でも注目される存在へと成長を遂げつつあります。

資金使途:社会全体で子育てを支える仕組みの構築

今回の調達により、iibaは以下の領域での事業推進を強化していく方針です。

  • 子育てで利用する場所に特化したマップアプリ「iiba」の開発・運営
  • 大企業を中心とした子育て世帯向けマーケティング事業
  • 自治体との連携による「子育てDX」の推進
  • 事業者を対象としたプラットフォーム展開の加速
  • 遊び場/お仕事体験の企画および運営による体験価値の提供

このように、iibaは事業領域をさらに拡大し、子育てをより便利で楽しいものにする取り組みを加速させる見込みです。

また、「子育ては家庭だけでなく、社会全体で支えるべきもの」という考え方を発信し、行政や企業、地域社会など幅広い関係者と連携しながら、誰もが子育てしたくなる社会の実現を目指しています。

市場:10兆円超のこども関連ビジネス。共働き・レジャー需要が後押し

(引用:株式会社矢野経済研究所)

日本では少子化が進行している一方で、共働き世帯の増加や生活スタイルの変化により、子育て関連サービスは引き続き高いニーズがある状況です。特に、共働き家庭が増えたことで「預かり保育」などのサービスが求められていることや、コロナの影響が落ち着いてきたことで「レジャー・お出かけ分野」の利用が増えていることが、こうした流れを支えています。

矢野経済研究所の予測によれば、2024年度のこども関連ビジネスの市場規模は前年より0.9%増えて、10兆7,938億円に達する見込みです。

こうした中で、iibaのような子育て世帯をサポートする情報アプリは、子育ての負担を軽くし、家族のお出かけや体験の幅を広げる存在として注目を集めています。今後も、子育て支援の選択肢が増えていく中で、こうしたサービスの重要性はますます高まっていくでしょう。

企業概要

  • 企業名:株式会社iiba
  • 代表者:逢澤 奈菜
  • 設立:2022年5月
  • 所在地: 東京都港区虎ノ門2−2−1 住友不動産タワーG―STASQUARE 2階
  • 公式HP:https://corporate.iiba.space/

アプリのダウンロードはこちら
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.iiba.iibaNext
ios   :https://apps.apple.com/jp/app/iiba/id6467093403

まとめ

本記事では、子育て中の外出をサポートするアプリ「iiba(イイバ)」について、その誕生ストーリーや機能、競合との違い、市場の広がりまで幅広くご紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

子育て×テクノロジーをテーマにしたiibaのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、ぜひ関連記事もご覧ください。

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