最終更新日 24/10/11
国内スタートアップ

【Ubie】Googleが出資!AIを活用して人々に適切な医療を届けるヘルステックスタートアップ

AIITヘルスケア
Share this post
引用:Ubie公式HP

高齢者の増加に伴い、医療需要はますます高まっていますが、長時間労働が常態化しており、医療従事者の離職が進んでいます。そのため、DX化による業務効率化が医療業界の急務となっています。

また、国民医療費は年々増大しており、2025年には約60兆円に達するという予想も。医療崩壊を防ぐためには、「病気を未然に防ぐ」「症状が軽いうちに治療する」といった予防医療が重要です。

こういった問題に対して、テクノロジーを活用して適切な医療を提供しようとしているスタートアップがあります。それが東大卒の医者・エンジニアが立ち上げた「Ubie株式会社」(以下、Ubie)です。

同社は日本の高い医療技術から生まれた問診エンジンと、これをコア技術に据えたプラットフォームを独自に構築し、生活者や医療機関・製薬企業向けのサービスを提供しています。

「Googleから出資を受ける」「累計100億円を資金調達する」など、注目を集めるUbieについて紹介していきます。

事業内容:テクノロジーを活用した3つの医療サービスを提供

Ubieは日本の高い医療技術から生まれた症状検索エンジンとプラットフォームを提供(引用:Ubie公式HP)

Ubieは、テクノロジーを活用し、toB・toC向けに3つの医療サービスを提供しています。

1つ目は、生活者向けの「ユビーです。このサービスでは、一問一答形式の簡単な質問に答えるだけで、症状や対処法、受診すべき診療科がわかります。また、「ユビー」を支える問診エンジンは50名以上の医師監修のもと、国内外5万本以上の医学論文をもとに作られており、提携する医療機関からのフィードバックで都度精度が向上しています。まさに日本の高い医療技術を活かした革新的な問診エンジンです。

2つ目は、医療機関向けの「ユビーメディカルナビです。生成AIをコア技術として、患者の事前問診や議事録作成、会話記録の書き起こしなど、医師の負担を軽減する機能を提供しています。最近、複数の生成AI機能を一度に実行できる「ワークフロー機能」や、スマホからスムーズに操作できる「音声実行機能」など、大型アップデートが発表され、さらなる進化を遂げました。

3つ目は、製薬企業向けの「ユビー for Pharmaです。「ユビー」で収集したデータをもとに、患者中心企業への変革支援・インサイトの提供など、コンサルティングサービスを提供しています。

これらのサービスは非常に高い人気を誇り、「ユビー」の月間利用者数は1200万人を超え、「ユビーメディカルナビ」は1700の医療機関で導入されています。また、「ユビー for Pharma」は国内外の大手製薬会社の3分の2以上と連携しており、その信頼性の高さは折り紙付きです。

Ubieが提供する症状検索エンジン「ユビー」の利用イメージ(引用:Ubie公式HP)

資金調達:最新の調達ラウンドにてGoogleからの出資を発表

最新の資金調達ラウンドでGoogleから資金調達を実施(引用:PR Times)

Ubieは2024年10月8日に、最新の資金調達ラウンドにおいて、Googleから資金調達を実施したことを発表しました。生成AIを含むデジタルイノベーションを活用し、日本の医療システムのDX化を進めることで合意したとのこと。

また、Ubieは最新のプレスリリースで今後の展望について言及しており、大幅アップデートを加えた医療機関向け生成AIサービス「ユビーメディカルナビ 生成AI」を、2025年末までに全国100施設へ導入することを目指すと発表しました。

さらに、今後は日本で最も多い死因である「がん」に対応するため、Ubieはがん診療連携拠点病院等に特化した機能・サービスを開発するとしています。誰もが自分にあった医療にアクセスできる社会に向けて、同社の今後の活躍に期待です。

シリーズCラウンドにて総額62.6億円を資金調達

Ubieは2022年10月にシリーズCラウンドで総額62.6億円を資金調達したと発表(引用:PR Times)

Ubieは2022年10月6日に、27.6億円の追加調達を実施し、総額62.6億円にてシリーズCラウンドをクローズしたと発表しました。これにより、創業からの累計資金調達額は107.2億円になります。

また、経営体制・ガバナンス強化を目的に、社外取締役としてブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社 代表取締役会長 重富 隆介氏、常勤監査役として公認会計士の吉川和美氏が就任したと発表しました。

<シリーズCセカンドクローズの資金調達概要>

  • 第三者割当増資
    • 投資家
      • 総合メディカル株式会社
      • AAIC Investment Pte. Ltd.
      • 日本インパクト投資2号投資事業有限責任組合
      • 楽天キャピタル
  • 融資
    • 銀行
      • 株式会社商工組合中央金庫
      • 株式会社日本政策金融公庫
      • 株式会社みずほ銀行
  • 資金調達額:総額62.6億円

市場規模:2022年度の医療情報システム市場は約2900億円

医療情報システム(EMR・EHR)市場の規模推移・予測(引用:矢野経済研究所)

矢野経済研究所によると、2022年度の医療情報システム市場規模(事業者売上高ベース)は、2891億6300万円を記録しました。

医療情報システム(EMR:Electronic Medical Record、EHR:Electronic Health Record)は、業務効率化や情報連携を図るシステムとして、医療施設に導入されています。また、市場は電子カルテを中核に形成されており、医療における大きな変革にIT化は必要不可欠です。

一方で、医療情報システムは多くの施設で普及したため、新規導入中心からリプレイス中心の市場に移っており、近年の市場規模は前年度比1~2%増の推移となっています。

矢野経済研究所によると、今後も医療情報システムは多くの市場でリプレイス中心であり、2023年度以降の市場成長率は前年度比1%増程度の低い水準で推移する見通しです。

企業概要

  • 企業名:Ubie株式会社 (英文社名 : Ubie, Inc.)
  • 代表者
    • 代表取締役 医師 阿部 吉倫
    • 代表取締役 久保 恒太
  • 設立:2017年5月
  • 所在地: 〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町二丁目4番3号 日本橋堀留町2丁目ビル 6F
  • 公式HP:https://ubie.life/

まとめ

本記事では、日本の高い医療技術から生まれた症状検索エンジン「ユビー」などを提供する、Ubie株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

Ubie株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

目次に戻る

タイトルとURLをコピーしました