今回は製造業・接客業などの、現場教育から現場管理をサポートするサービスである「tebiki」を提供するTebiki株式会社について紹介します。(以下、企業名をTebiki株式会社、サービス名をtebikiと表記します。)
Tebiki株式会社は、貴山氏(現CEO)と渋谷氏(現CTO)によって2018年3月に設立されました。 設立当初の社名はピナクルズ株式会社でしたが2021年10月に、サービス名であるtebikiと社名を統一しました。
CEOである貴山氏が食品メーカーの工場長を務めていた際に、現場教育に課題を感じていたことが「tebiki」を開発するに至ったきっかけです。
デスクを持たない小売り・サービス・製造・物流・介護・飲食などのデスクを持たないスタッフが働く産業である「ノンデスクワーカー」が抱える課題に創業以来から取り組んでいます。 属人化してしまったノウハウの伝承や慢性的な人手不足を解決するキーとして、活躍している企業です。
沿革:着実にデジタル化に乗り遅れた現場を変えていく
2021年8月時点で、Tebikiによって現場教育で作成・利用した動画マニュアル数が2万件を超えています。
提供業界も、製造、小売業、建築、飲食、介護、物流、医療などの幅広い業界へと展開しています。
サービス拡大と共に資金調達額も増え、現在は動画マニュアルtebikiに加え、tebiki現場分析を追加し、サービスを充実させています。
事業内容:【tebiki】動画マニュアル×現場分析サービス
tebikiでは、動画マニュアル機能と現場分析サービスを提供しています。
現場のノウハウはヒトや機械の動きであるため、文書や画像で表すことができませんでした。そのため現場教育が属人化し、現場の負担になっていました。現場の課題を解決するために、Tebiki株式会社は動画での現場の人材教育サポートを始めました。
以下が動画マニュアルtebikiです。
動画マニュアルtebiki
(引用元:https://www.youtube.com/watch?v=KluTEylTzV8・https://www.wantedly.com/projects/1431311)
tebikiは現場で教えている様子を動画撮影し、そのまま動画をマニュアルとして現場教育に利用できるサービスです。動画マニュアルtebikiには以下の4つの特徴があります。
- 動画から自動認識された音声をベースとした字幕の自動生成
- 世界 100 ヶ国語以上の言語への自動翻訳
- 図形挿入や音声吹き込み、シーンの追加・削除といった動画編集
- 誰がどこまで習熟したかといった、可視化されたデータに基づく教育状況の把握
これらの特徴を通して、だれでも簡単に動画をカリキュラムとして作成することができ、現場利用が可能になります。
tebiki現状分析
現場帳票のデジタル化と、データの自動分析ができるサービスです。紙では難しかった画像の記録や、遠隔地・リアルタイムでの記録確認も可能です。 tebiki現場分析機能には以下の4つの特徴があります。
- 非IT部門でも簡単に帳票のフォーマット作成が可能
- モバイル端末での記録を前提とした洗練されたフォーマット
- 異常発生など、現場状況をリアルタイムで把握可能
- 溜まったデータを簡単に可視化・分析可能
機能も充実していますが、導入のためのサポート体制も手厚く、現場の状況に合わせて臨機応変にデジタル化を進めていくため、無理なく着実に現場改革を行っていける点が魅力的です。
資金調達:創業から6年で20億円を調達!
(引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000096998.html)
Tebiki株式会社は2023年3月に、あおぞら企業投資株式会社・日本政策金融公庫・静岡銀行・みずほ銀行・商工組合中央金庫から総額8億円の借入等による資金調達を行いました。この時点で、累計20億円の資金調達に成功しています。 2023年3月の資金調達の背景は、tebikiをさらに多くの現場へ導入することを目的として、さらなる開発や顧客サポート体制の拡充を行うそうです。
市場規模:国内就業者数の69%を占める未開拓市場
(引用元:https://www.wantedly.com/companies/xmile/post_articles/474697・ https://soken.xymax.co.jp/2023/05/31/2305-labor_shortage_1/)
ザイマックス総研の研究調査によると、総就業者数5,767万人うち、デスクワーカーが1,614万人(28%)です。
一方で、ノンデスクワーカーは69%の3,989万人(デスクワーカー兼ノンデスクワーカーを含む)とデスクワーカーの約2.46倍です。
ノンデスク産業は、IT部門を持たない中小企業の比率が高く、デジタル投資が進んでいない未開拓の市場となっています。
(引用元:https://speakerdeck.com/tebiki/tebiki-company-deck?slide=15)
また、Tebiki株式会社は、2,000億円の現場教育DX市場から、1.4兆円の現場管理DX市場へと踏み出しています。着実に現場のニーズを捉えながら、事業を拡大しています。
将来展望:統合×自動化により働きやすい現場へ
(引用元:https://speakerdeck.com/tebiki/tebiki-company-deck?slide=16)
Tebiki株式会社は現場教育だけではなく、現場管理へのDX化へも事業を拡大しており、2024年1月には現場分析サービスの提供を開始しました。
Tebiki株式会社は、人手不足が嘆かれているノンデスクワーカー産業の中で、現場の負担にならないような「自動で改善する世界」を目指しています。
今後は、現場管理のDXとして現状の分析だけではなくビッグデータを活用し、AIによる未来予測へと舵を切るそうです。