最終更新日 24/11/23
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【STRACT】クーポンを自動で発見!ショッピングアシストアプリ「PLUG」を開発する注目スタートアップ

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(引用:STRACT公式HP)

今回紹介するスタートアップは、ショッピングアシストアプリ「PLUG(プラグ)」を開発する「株式会社STRACT」(以下、STRACT)です。

同社の代表サービスである「PLUG」は、ECサイトで利用できるキャッシュバックやクーポンなどを自動で発見し、ユーザーに最適化して通知します。ユーザーはお得に商品を購入できるうえ、EC事業者にとっても売上向上が期待できるとして、大きな注目を集めています。

実際に、STRACTは2024年11月に、シリーズA 1st Closeラウンドで10.3億円の資金調達に成功しました。拡大を続けるEC市場において、今後ますます活躍が期待されるSTRACTについて、その事業内容や特徴などを紹介していきます。

事業内容:ショッピングアシストアプリ「PLUG」を開発

(引用:INDUSTRY CO-CREATION)

STRACTが提供する「PLUG」は、提携する1100以上のECサイトで利用可能なキャッシュバックやクーポン、ベストプライスといったお得なオファーを、自動で発見・通知してくれるショッピングアシストアプリです。

このアプリは、ユーザーの購買データや行動データを活用して、パーソナライズされたオファーを提供します。その結果、ユーザーはより満足のいく商品購入が可能となり、EC事業者にとっては売上向上につながる仕組みです。

<PLUGの3つの特徴>

  • キャッシュバック・クーポンを自動で発見
    • LUGを有効化しておくだけで、1100以上の対象ECサイトで使用できるキャッシュバックやクーポンを自動的に発見・通知・適用します。
  • インストールするだけで最安値を検索
    • アプリをインストールして有効化すると、対象となる大手ECモールの中から商品の価格を自動検索し、その場で最安値を教えてくれます。
  • キャッシュバック残高はいつでも銀行口座に出金可能
    • キャッシュバッククーポンで得た残高をウォレット機能で管理可能です。手数料無料で銀行口座などに出金できるため、利便性が高い仕組みとなっています。
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PLUGのもう1つの魅力は、導入・利用が簡単な点です。具体的には、App Storeでアプリをインストールし、必要なデータ共有ポリシーに同意し、ブラウザ拡張機能をオンにするだけ。これだけで、あとは自動に動作してくれます。

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また、ECサイトで商品を検討している際に、ユーザーに最適化されたオファーが自動で表示される点も、PLUGの大きな魅力です。たとえば、ファッションについて検索し、ECサイトにたどり着くと、動画のように、PLUGからキャッシュバックのオファーが表示されます。

この「PLUGオファー」は、ユーザーの購買データや行動データをもとにLTV(顧客生涯価値)を予測し、最適なオファーを算出する仕組みです。このオファーによってユーザーの購買行動をサポートする一方で、提携する1100以上のECサイトから成果報酬を受け取ることで運営されています。

(引用:INDUSTRY CO-CREATION)

このように、PLUGはEコマースでの取引を最適化するアプリとして、多くのユーザーから高い支持を得ています。

実際に、2022年3月の正式リリースから2024年10月末までにアプリダウンロード数は130万を突破し、利用者レビュースコアは4.6以上を維持。流通取引総額も8四半期連続で過去最高を更新し、FY2024 1QからFY2025 1Qにかけて308%の大幅な成長を遂げています。

(引用:STRACT公式HP)

PLUGの特徴:ユーザーとEコマースの間の「エージェント」という概念

(引用:Note|STRACT)

「PLUG」という事業の最大の特徴は、ユーザーと世界中のEコマースサイトの間に立つ「エージェント」という革新的な概念です。このエージェントは、さながら買い物のプロフェッショナル。世界中のEコマースサイトからユーザーに最適な取引を探し出し、その内容を最適化した上でユーザーに届けてくれます。

現在のEコマースにおける課題として、ECサイトそれぞれが異なるソリューションを提供しているため、サイトやサービスごとにユーザー体験がバラバラです。しかし、PLUGのエージェントが、ユーザーとECサイトの間に入ることで、それら全てを最適化することができます

(引用:INDUSTRY CO-CREATION)

ここで特筆すべきは、「ECサイト側が何も変更を加える必要がない」という点です。一般的にECサイトのユーザー体験を向上させる際は、ShopifyやKARTE、チャネルトークといったツールをサイト側に導入し、改善を図るアプローチが主流です。

一方、PLUGのアプローチは全く異なります。ユーザー側にツールを導入することで、ゲートウェイとしての役割を果たし、全てのECサイトを一括でアップデートし、より便利で快適な体験を提供します。具体的には、ブラウザ拡張機能を活用して、ユーザーがブラウザ上で行う購買や購買検討の行動を自動的に最適化する仕組みを実現しています。

資金調達:シリーズA 1st Closeラウンドで10.3億円を調達

(引用:STRACT公式HP)

STRACTは2024年11月20日、Headline Asiaをリードインベスターとして、Coral Capital、デライト・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資を実施したと発表しました。この資金調達により、シリーズA 1st Closeラウンドでの調達総額は10.3億円となります。シードラウンドを含めた累計調達額は13.4億円に達しました。

今回調達した資金は、サービスの成長に向けた研究開発、計算機資源への投資、組織体制強化のための人材採用、さらに利用者拡大を目指すマーケティング活動に充てられる予定です。

<資金調達概要>

  • 調達金額:10.3億円
  • 調達方法:第三者割当増資
  • 株主
    • 既存株主:Headline Asia、Coral Capital
    • 新規株主:デライト・ベンチャーズ

調達資金の用途①:インタフェースの研究開発・計算機資源への投資

STRACTは、クッキーレス時代に対応するため、ECサイトの商品データやユーザーの行動データといった大規模な横断データをゼロパーティデータとして活用し、ユーザー体験の最適化を目指すとしています。

具体的には、PLUGの中核を担う「検索エンジン」および「推薦エンジン」の開発、計算機資源への投資、そしてインターフェースの研究開発を行う予定です。

  • 検索エンジン:世界中のオープンデータを構造化し、高速かつ直感的にファセット検索を可能にする技術を開発
  • 推薦エンジン:ユーザーの行動や消費データなどのコンテキストを基に、個々人にパーソナライズされた最適なディールを生成する技術を開発

調達資金の用途②: 事業開発・組織体制の強化に向けた人材採用

今後のさらなる事業成長に向けて、ソフトエンジニア、プロダクトマネージャーなど各ポジションの採用を推進することで、組織体制を強化し、加速度的な成長を図っていくとしています。

調達資金の用途③: マーケティング及びアライアンスの強化

機能拡充によるサービス強化を前提に、ユーザー基盤を拡大するためのマーケティング活動を強化するとしています。また、他社との提携によるパートナーシップやアライアンスの構築にも注力し、利用者への価値提供をさらに高めていく計画です。

事業戦略:ユーザーのライフスタイルに沿ってさまざまな市場に参入

(引用:Note|STRACT)

STRACTの代表取締役社長である伊藤氏によると、同社のサービス「PLUG」は、物販やEC領域にとどまらず、金融や不動産など、インターネット上で取引が行われるあらゆる分野への進出を目指しているとのことです。

情報格差をなくし、誰もが簡単にベストな選択ができる世界を目指して、各サービス提供者の進化を人々が待つのではなく、PLUGが間に入ることで、すべての購買体験をユーザー側から最適化していくとしています。

(引用:Note|STRACT)

具体的には、以下のようなアプリのリリースを予定しています。

  • PLUGキープ
    • インターネット上のあらゆる商品をワンタップで「キープ」できます。「キープ」すると、その商品の価格が下がったり、セールが始まったり、クーポンが取得可能になったりした際に通知が届きます。
  • PLUGあと払い
    • ECサイトでのクレジットカード決済を、PLUGが発行するワンタイムバーチャルカードで代行し、すべてのECサイトで「あと払い」を可能にします。
  • PLUGインシュランス
    • 家具や家電の修理費用、旅行予約のキャンセル料金などの心配をカバーする少額短期保険を提供。あらゆるサイトでその場で保険に加入できます。
  • PLUGショッピング
    • PLUGアプリ内で商品を検索し、複数のECサイトを比較した上で、最適なサイトで購入できるプラットフォームを提供します。
  • PLUGサジェスト
    • メールやクレジットカード情報と連携し、利用中のサービスを最適なものに切り替える提案を行います。
  • PLUGローカル
    • 近隣の店舗で使えるクーポンをパーソナライズして提供します。

まとめると「PLUG」では、幅広い市場(ホリゾンタルな市場)の中から、ユーザーが直接触れる領域を選び、それぞれの分野で深く(バーティカルに)ユーザー体験を提供する戦略を取っています。

ただし、伊藤氏は「これはマルチプロダクト戦略ではない」と強調。すべてのサービスは「エージェント」という抽象的な概念に統合されており、サービス間の垣根をなくし、シームレスな一体感のある「ひとつのインタフェース」を提供することを目指すと述べています。

今後の事業戦略や各ツールの特徴に興味がある方は、ぜひSTRACTのNoteをご覧ください。

市場規模:インターネット広告市場が2023年に3.3兆円を記録

(引用:電通公式HP)

電通によると、2023年の日本におけるインターネット広告市場は、前年比で2418億円増加し、総額3兆3330億円に達しました。この数値は過去5年間で1.89倍という著しい成長を示しており、今後も拡大が続くと予想されています。

さらに、2023年の国内BtoC EC市場規模は24.8兆円と推計されています。一方で、経済産業省の調査によると、日本のBtoC領域におけるEC化率(小売全体に占めるECの割合)は10%未満にとどまっており、これは他の先進国と比べても低い水準です。

(引用:経済産業省)

今後、日本ではECサイトの数が増加し、消費者が最適な商品や購入タイミングを選ぶことがますます難しくなると考えられます。こうした状況では、消費者の意思決定を支援するツールの需要が高まるでしょう。

STRACTが提供する「PLUG」のように、消費者の意思決定を支援するようなツールの登場に今後も期待です。

創業者プロフィール:伊藤 輝

(引用:STRACT公式HP)

伊藤 輝(いとう ひかる)氏は1995年北海道生まれ。ソフトウェアエンジニア。8歳よりプログラミングをはじめ、個人事業として開発していたAndroid音楽アプリのヒットを契機に、慶應義塾大学在学中の2017年、株式会社STRACTを法人成りにより設立。開発したモバイルアプリはシリーズ累計国内500万DLを達成。慶應義塾大学ではユーザインタフェースの研究に従事しIoTデバイス「MagicKnock」を開発。2019年にデーティングアプリ事業を株式会社パートナーエージェントへ事業譲渡後、2022年よりショッピングアシストアプリ「PLUG」を開発。

企業概要

  • 企業名:株式会社STRACT(STRACT, Inc.)
  • 代表者:代表取締役社長 伊藤 輝
  • 設立:2017年7月28日
  • 所在地: 〒113-0033 東京都文京区本郷3丁目43−16 コア本郷ビル1F
  • 公式HP:https://stract.co.jp/

まとめ

本記事では、ショッピングアシストアプリ「PLUG」を開発する株式会社STRACTについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社STRACTのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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