株式会社LinQ(以下、LinQ)は、さまざまなアプリ開発を通じて、次世代のコミュニケーションサービスを展開するスタートアップである。
「創造性が生み出す楽しさの連鎖」をミッションに掲げ、位置情報共有アプリ「whoo」を「日本発の世界的アプリ」にすることを目指している。
会社沿革:さまざまなアプリ開発を通じて成長中
LinQは原田氏によって2019年8月に創業された。さまざまなアプリ開発を行うなか、2020年6月には匿名質問サービス「Ninjar」をリリース。さらに2022年12月には位置情報共有アプリ「whoo」をリリースし、同年4月にはリリースから3ヶ月で1000万ダウンロードを達成した。2023年4月には株式会社MIXIから最大20億円の資金調達を実施するなど、成長を遂げている。
事業内容:”次のZenly”「whoo」を中心としたアプリ開発
位置情報アプリ「whoo」
位置情報共有アプリ「whoo」は、自分の今いる場所をフォロワーと共有できるアプリ。
シンプルな機能で使いやすく、位置情報共有を通じてコミュニケーションのハードルを下げて、気軽に友達と繋がることができる。
現在whooはマネタイズしておらず、ユーザー獲得による認知拡大を目指している。
リリース3ヶ月で1000万ダウンロードを達成するまで
whooはアプリリリースから3ヶ月で1000万ダウンロードを達成し、国内では他に類を見ないスピードで成長を遂げている。
2022年9月にアメリカのSnap社がZenlyサービス終了を発表した。そのため利用者の間で「次のZenly」を探す動きが広まっていた。しかし、当初代表の原田氏は類似の位置情報共有アプリを作るつもりはなかった。その考えは、過去のアプリで獲得してきたユーザーから毎日のように寄せられた「次のZenlyを作って」という願望によって変化した。
原田氏が新たな位置情報共有アプリを作ろうと決心したのは、Zenlyがサービス終了を発表してから2ヶ月ほどが経った頃。そこからわずか1ヶ月半で完成にこぎつけた。
短い開発期間でリリースまで来れたのは、過去に制作してきたアプリユーザーの功績もある。
原田氏は、whoo開発中に彼らからアプリに欲しい機能などの要望を吸い上げていた。そのため短い期間でリリースできたのだ。
リリース時、競合アプリと比べてwhooの機能は少なかった。しかしユーザーからの声を参考に、最低限どこまでの機能があれば必要なクオリティを担保できるか理解できていたと言う。
そのため、Zenlyがサービスを終了する2ヶ月前の2022年12月にwhooをリリース。2023年2月にZenlyがサービス終了すると、whooのユーザーは急増した。そして2023年3月にはサービス開始からわずか3ヶ月で1000万ダウンロードを達成した。
「ナンバーワンを確信していた」。位置情報共有アプリ「whoo」3ヶ月で1,000万ダウンロード達成の舞台裏 LinQ・原田CEO|STARTUPS JOURNAL
匿名質問アプリ「Ninjar」
匿名質問アプリ「Ninjar」は、匿名で質問を送った答えたりできるサービスである。
InstagramやXと連携が可能。Instagram(or X)のプロフィール欄にNinjarのリンクを貼り付け、フォロワーはそのリンクから匿名で質問を入力する。回答者はストーリー(or ポスト)から回答可能である。
フィルター機能も搭載し、誹謗中傷など悪質な質問を防止。ユーザーが非表示にするワードを自由に設定可能なため、安全性も高い匿名アプリである。
資金調達:2023年4月にMIXIから最大20億円の調達
LinQは2023年4月に、株式会社MIXIから2024年3月末までに、条件付きで最大約20億円の資金調達を実施した。今回の資金調達は、リリースから3ヶ月で1000万ダウンロードを達成したwhooのサーバーコスト問題の解消に利用される。さらにwhooの機能追加や付加価値の向上、開発体制の強化などを目指す。
市場規模:位置情報サービス市場は2032年に4400億米ドルに
Precedence Researchの発表する「Location based services market size 2022-2032」によると、世界の位置情報サービス市場規模は、2022年に494億米ドルであった。2032年までに約4402億1000万米ドルに達すると予想されている。2023年から2032年の予測期間中に24.50%のCAGRで成長する見込みである。
将来展望:「1000万ダウンロードは通過点」whooを1億人が使うアプリに
LinQは現在、whooをマネタイズせずにユーザー獲得を最優先に、まずは世界中で1億人が使うアプリを目指している。
これまではZenlyの機能を踏襲してきたが、友達との関係性を可視化する新機能を開発する意向だ。
しかし、海外での浸透に課題があり、競合アプリも増えている。そのため現段階では満足せず、世界中で使われるような状態になるまで成長を続ける考えだ。1000万ダウンロードは通過点であり、目標達成まで全力を尽くす決意を示している。
「ナンバーワンを確信していた」。位置情報共有アプリ「whoo」3ヶ月で1,000万ダウンロード達成の舞台裏 LinQ・原田CEO|STARTUPS JOURNAL