最終更新日 24/11/27
国内スタートアップ

【LegalOn Technologies】生成AIを法務に活用!グローバルに成長する注目のリーガルテックスタートアップ

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(引用:LegalOn Technologies公式HP)

今回紹介するスタートアップは、リーガルテック分野で注目を集める「株式会社LegalOn Technologies」(以下、LegalOn Technologies)です。

LegalOn Technologiesは、「法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会を創る。」をパーパスに掲げ、2017年に森・濱田松本法律事務所出身の弁護士2名によって創業されました。弁護士の法務知見と、自然言語処理技術や機械学習などのテクノロジーを組み合わせ、企業法務の質の向上や効率化を実現するソフトウェアを開発・提供しています。

同社のサービスは国内外に広がり、すでに6000社以上の顧客に利用されており、着実に事業を拡大しています。また、Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2025」では、その実績や将来性が高く評価され、同社のCEOである角田望氏が2位に選出されました。

このように、今後の活躍が期待されるLegalOn Technologiesについて、その事業内容や資金調達の歴史などを紹介していきます。

事業内容:「法とテクノロジー」を融合し、多彩なサービスを展開

(引用:LegalOn Technologies公式HP)

LegalOn Technologiesは、企業法務の質を向上させ、業務効率を大幅に改善することを目的に、法務の専門知識と生成AIなど最新のテクノロジーを組み合わせたソフトウェアを開発・提供しています。

<LegalOn Technologiesのサービス一覧>

  • LegalOn Cloud:企業の法務業務を幅広くサポートするAI法務プラットフォーム
  • LegalForce:日本初のAI契約書レビューサービス
  • LFチェッカー:契約書の内容をAIがチェックするツール
  • LegalForceキャビネ:契約書を効率的に管理できるAI契約書管理システム
  • LegalOn Global:海外向けのAI契約書レビュープロダクト

LegalOn Technologiesは、主力商品であるAI契約書レビューサービスLegalForceと契約書管理システムLegalForceキャビネを中心に、リーガルテック市場をけん引してきました。2024年4月には、新たにAI法務プラットフォームLegalOn Cloudをリリース。これらのサービスは、国内外の企業から好評を博し、2024年8月末時点で6000社を超えるユーザーを獲得しました。

また、LegalOn Technologiesは、国内市場だけでなく、海外市場にも積極的に進出しています。まず、2022年9月にアメリカに現地法人を設立。2023年4月には米国版LegalForceともいえる「LegalOn Global」をリリースし、急成長を遂げます。そして、2024年10月にはイギリスにも進出。「LegalOn Global」をイギリス英語に対応させ、英国法に準拠した形で提供し始めました。

このように、LegalOn Technologiesは「グローバルでナンバーワンのリーガルテックカンパニーになる」という目標に向け、国内外で着実に事業を拡大させています。

「LegalOn Cloud」業務効率化・ナレッジ管理を可能にするAI法務プラットフォーム

(引用:「LegalOn Cloud」公式HP)

LegalOn TechnologiesのCEOである角田氏が「理想のプロダクト」と称する「LegalOn Cloud」は、従来のリーガルテックを超えた革新的なAI法務プラットフォームです。このプラットフォームは、法務業務の効率化を実現するだけでなく、次世代のナレッジマネジメントを可能にする点で注目されています。

「LegalOn Cloud」の特徴の1つが、企業ごとに最適な形にカスタマイズできる柔軟性です。このプラットフォームには、「ダッシュボード」「契約書の管理」「バージョン管理」「検索」「比較」「オンラインエディター」など、法務業務の基盤となる基本機能が標準で搭載されています。さらに、この基本機能に加えて、「マターマネジメント」「レビュー」「コントラクトマネジメント」など、特定の法務業務に対応した機能モジュールを追加することが可能です。

これにより、企業は自社専用のAI法務プラットフォームとして「LegalOn Cloud」を構築できるだけでなく、複数のモジュール間でデータがシームレスに連携するため、より効率的な業務運営が可能になります。

このように高機能なプラットフォームであるため、法務案件の受付から法律相談、契約書のレビュー、保管管理といったすべての法務業務を一元的に対応することが可能です。さらに、拡張性にも優れており、リサーチ機能や電子契約機能など、今後の新機能追加にも柔軟に対応できる設計となっています。

(引用:「LegalOn Cloud」公式HP)

しかし、「LegalOn Cloud」の最大の特徴は、次世代のナレッジマネジメントを実現する点です。

このプラットフォームでは、契約書や法律相談の回答など、リーガルドキュメントを中心にあらゆる関連情報を体系的に整理したナレッジ「リーガルドキュメントグラフ」を自動生成。この機能により、単なる業務効率化を超えて、企業内での知識共有と活用を飛躍的に向上させます。

具体的には、ユーザーが作業を行うすべての場面で情報を収集し、AIがそれを整理・関連付けて「リーガルドキュメントグラフ」を形成します。このグラフはプラットフォーム内に蓄積され、必要に応じて外部ナレッジとも統合。そして、ユーザーが必要とする情報を必要なタイミングで、AIがレコメンドしてくれます。

たとえば、契約書を審査する際には、AIが過去の類似契約書や関連するドキュメント、当時のやり取り、担当者の情報などを即座に提示します。この機能により、類似案件の検索にかかる時間が大幅に削減され、法務担当者はより重要な意思決定に集中することが可能です。

このように「LegalOn Cloud」は、法務業務の効率化と知識活用を両立させるだけでなく、企業の法務運営そのものを根本から変革する次世代プラットフォームとして、大きな可能性を秘めています。

(引用:「LegalOn Cloud」公式HP)

実績:Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2025」で2位に選出

(引用:LegalOn Technologies公式HP)

このように、リーガルテック分野のパイオニアとして活躍を続けるLegalOn Technologiesは、その実績や将来性が高く評価されています。そして今回、代表取締役執行役員・CEOである角田望氏が、Forbes JAPANの「日本の起業家ランキング2025」で堂々の第2位に選出されました。

また、Forbes JAPANに掲載されたインタビュー記事では、LegalOn Technologiesがこれまでどのような歩みを進めてきたのか、そして今後どのような戦略を描いているのかが語られています。興味をお持ちの方は、ぜひ一度ご覧ください。

資金調達:シリーズDラウンドまで累計約179億円を調達

(引用:LegalOn Technologies公式HP)

LegalOn Technologiesは創業以来、順調に成長を遂げる中で、5回の資金調達ラウンドを実施し、累計で約179億円を調達しました。

2017年4月に創業され、2019年4月には契約管理プラットフォーム「LegalForce」を正式リリース。その後も2021年1月に「LegalForceキャビネ」をリリース、2022年9月にはアメリカ現地法人を設立し、2024年4月には「LegalOn Cloud」を提供開始するなど、次々と革新的な取り組みを行っています。同社のさらなる成長に今後も期待です。

<現在までの資金調達について>

  • 2022年6月:シリーズDラウンド
  • 2021年2月:シリーズCラウンド
    • 調達金額:約30億円
    • 参加者
      • 投資家:WiL、ジャフコ、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、DIMENSION
      • 銀行:日本政策金融公庫、三菱UFJ銀行
    • 目的:開発体制や営業体制、認知獲得の強化
    • 参考:https://legalontech.jp/868/
  • 2020年2月:シリーズBラウンド
    • 調達金額:10億円
    • 投資家:WiL、ジャフコ、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、ドリームインキュベータ、京都大学イノベーションキャピタル
    • 目的:「LegalForce」の開発強化、新規プロダクトラインの立ち上げ、採用育成強化
    • 参考:https://legalontech.jp/839/
  • 2018年11月:シリーズAラウンド
    • 調達金額:約5億円
    • 投資家:ジャフコ、京都大学イノベーションキャピタル、ドリームインキュベータ
    • 目的:開発体制の強化、経営基盤の拡充、人材採用の強化
    • 参考:https://legalontech.jp/770/
  • 2018年3月:シードラウンド

市場規模:リーガルテックの世界市場は2032年に約635億ドルまで成長

(引用:Fortune Business Insights)

Fortune Business Insightsによると、リーガルテクノロジー(リーガルテック)の世界市場は、2023年に約295億4000万ドルと評価されています。この市場は、2024年の約315億9000万ドルから、2032年には約635億9000万ドルに達すると予測され、年平均成長率(CAGR)は9.1%となる見込みです。

リーガルテック市場の動向

リーガルテック市場は、法務業務の効率化ニーズとテクノロジーの進化を背景に急速に成長しています。

  • 業務効率化のニーズ
    • 法律事務所や企業の法務部門では、業務効率化と生産性向上が大きな課題となっています。その解決策として、AIや自動化技術を活用したリーガルテックツールの導入が加速しています。
  • 新技術の採用
    • スマートコントラクトやブロックチェーンなどの技術革新により、法的データの安全な記録や共有が可能となり、より高度な業務運用が実現しています。
  • 電子化の加速
    • 新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機に、法務業務のデジタル化が進展しました。物理的な文書管理から電子文書管理への移行が加速し、多くの企業がデジタルツールを導入しています。

リーガルテック市場の将来展望

リーガルテック市場は、AIやブロックチェーン技術をはじめとするテクノロジーの発展を背景に、今後も持続的に成長すると期待されています。ただし、市場が拡大する中で、データ保護や導入コストといった課題を解決することが必要です。

  • 市場成長の主な要因
    • 法務プロセスの自動化
      • 文書管理や契約作成、データ分析などのタスクを効率化するツールが注目されています。これにより、法務部門がより戦略的な業務に集中する環境が整いつつあります。
    • AIとノーコード技術の普及
      • AIを活用した電子情報開示やデータ処理の効率化が進んでいます。また、ノーコードやローコード技術により、専門知識を持たないユーザーでも手軽にリーガルテックツールを利用できるようになっています。
  • 成長を抑制する要因
    • データセキュリティとプライバシーの懸念
      • リーガルテックは顧客の機密情報を扱うため、十分なデータ保護が欠かせません。不適切なセキュリティ対策は顧客の信頼を損ね、市場の成長を妨げる可能性があります。
    • 導入コストの高さ
      • 新しい技術やツールの導入には初期投資が必要です。特に中小規模の法律事務所では、このコストが技術採用の大きな障壁となる場合があります。

企業概要

  • 企業名:株式会社LegalOn Technologies
  • 代表者:代表取締役 CEO 角田 望
  • 設立: 2017年4月21日
  • 事業内容:法務に関するソフトウェアの開発・提供
  • 所在地: 〒150-6219 東京都渋谷区桜丘町1-1 渋谷サクラステージSHIBUYAタワー19F
  • 公式HP:https://legalontech.jp/
  • グループ会社:LegalOn Technologies, Inc. (米国)

まとめ

本記事では、法務の専門知識と生成AIなど最新のテクノロジーを組み合わせたソフトウェアを開発・提供する株式会社LegalOn Technologiesについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社LegalOn Technologiesのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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