最終更新日 24/08/05
海外スタートアップ

【Infra.Market】インド最大の建設資材プラットフォーム

Share this post

今回紹介する企業は、ムンバイに拠点を構えるInfra.Marketです。建設会社・小売店に向けて、建築資材をオンライン上で調達できるプラットフォームを提供しています。

インドが抱える、建築資材の非効率な調達に着目した同社は、設立からわずか5年でユニコーン企業まで成長しました。「イノベーションとテクノロジーで建設の未来を再構築する」というビジョンを掲げて、現在も積極的に事業を拡大しています。

上流から下流まで、ワンストップでインドの建築を支えるInfra.Marketについて紹介します。

事業内容:建設資材のワンストップ・ソリューションを提供

Infra.Marketは、建築資材の生産・調達・卸売を担っており、法人向けにワンストップ・ソリューションを提供しています。また豊富なアセットを活かして、一般顧客向けにリノベーション事業も展開中です。

建築資材プラットフォーム「Infra.Market」

「Infra.Market」は、建築資材を調達することができるECプラットフォームです。建築資材の調達が難しいインドにおいて、高品質かつ低価格な製品を提供しています。

同サービスの大きな特徴は、建設資材の調達から納品までのサプライチェーンを、ITによって可視化していることです。在庫や配送の状況について、アプリ上から一元管理することができるため、建設業者は計画的に事業を進めることができます。

建設資材を買う側の利点:調達効率UP・コストカットを実現

「Infra.Market」を利用することで、建築資材を買う側(バイヤー)は、迅速な調達・コストカットを実現することができます。

従来は複数のサプライヤーに分散注文するしかなく、建設業者は価格交渉力を高められないうえ、建築資材を効率的に集められませんでした。実際に必要量の建築資材を集められず、建設がストップするケースも少なくなかったそうです。

しかし、同サービスでは、Infra.Marketが各建設業者の依頼をまとめて、提携する複数のサプライヤーに対して、一括で建築資材を発注します。

Infra.Marketが複数のサプライヤーとつながり、安定的に建築資材を確保しているので、建設業者も必要量の建築資材を効率的に集めることが可能です。また同社は注文ロットを大きくできるので、サプライヤーへの価格交渉力が高く、結果的に建築資材の調達コストを削減することができます。

商社のようにサプライヤーとバイヤーをつなぐことで、建設業者の効率的な事業運営をサポートしている点が、「Infra.Market」の大きな特徴です。

建設資材を売る側の利点:取引機会を増やすことが可能

「Infra.Market」の利点として、建築資材を売る側(サプライヤー)は、取引機会を増やすことができます。

従来サプライヤーは得意先の建設業者から発注が来るばかりで、提携先の数に限界がありました。そのため取引量が中々増えず、売上を増やすことが難しい状況でした。

しかし、同サービスを利用すれば、サイト上に名前を連ねることができるので、新しい取引先にも建築資材を販売することができます。取引機会の増加によって売上向上が期待できると、多くのサプライヤーが利用中です。

一般顧客向けにリノベーション事業・フランチャイズ経営を展開

引用:https://inicio.homes/

Infra.Marketは、BtoBの建築資材販売だけでなく、一般顧客向けにリノベーション事業・フランチャイズ経営を展開中です。

リノベーション事業について、具体的には「INICIO」「IVAS」という2つのサービスを提供しており、それぞれインテリア販売やリフォームを手がけています。

またフランチャイズ経営については、2022年からサービスを開始しており、現在30以上の店舗を運営しています。2024年にはフランチャイズ店を100店舗に増やし、さらなる事業拡大を目指すそうです。

フランチャイズ店ではVR体験を活かした販売促進を実施

同社のフランチャイズ経営の興味深い点は、「VR体験」を提供している点です。実際にフランチャイズ店に訪れると、タッチパネルが用意されており、顧客は自宅にインテリアを置いたときのイメージを確認することができます。

サプライチェーンのDX化だけでなく、顧客への販促としてVRを用いるなど、ITを武器として有効活用している点が、Infra .Marketの特徴と言えるかもしれません。

企業沿革:創業から5年でユニコーン企業まで成長

Infra.Marketは、2016年にSharda氏・Sengupta氏の2人によって創業されました。「複雑なサプライチェーンのせいで、建設資材の調達に時間がかかる」というインドの現状を解決しようと、彼らは動き出します。

実際に、建築資材を一括注文できるB2BのECサイト「Infra.Market」の立ち上げに成功して、3年後の2019年には初めての資金調達を達成。その後わずか2年間のうちに、3度の資金調達に成功します。こうした爆発的な成長もあり、同社は1000億円の企業価値を突破。わずか5年でユニコーン企業の仲間入りを果たしました。

大きく成長を遂げたInfra.Marketは、サプライチェーンの強化に向けて、M&Aを敢行。2023年までに、Equiphuntをはじめとして、3つの建築資材製造会社を買収しました。

誕生秘話:「建設材料の85%が調達しづらい」というインドの現状を課題視

インドの建設領域における問題点として、建設資材の調達が困難であることが挙げられます。

比較的簡単に調達できる鉄鋼材料が建設資材全体に占める割合は、わずか15%。残りの85%はサプライチェーンが複雑なため、調達に時間がかかり、建設作業がストップする始末でした。特にセメント等の材料は、生産者が小規模かつ各地に分散しているため、まとまった量を調達できず、この傾向が強かったそうです。

大学でインフラ領域を専攻していたSungupta氏は、この建設業務の非効率性に気づきました。そして、建設業界にて10年以上起業家として活躍していたSharda氏に話を持ちかけたことがきっかけで、Infra.Marketは誕生します。

総額約2億ドルの資金調達・3社の買収を実行

Infra.Marketは、2016年に創業されて以降、多額の資金調達を行っています。

特筆すべきは、2021年2月に実行したシリーズCでの資金調達です。ユニコーン企業として名乗りを上げた同社は、その期待感の大きさから1億ドルもの資金調達を成功させました。

2021年以降、他社の買収も手がけており、2023年までに3社の建設資材製造会社を傘下に置いています。

今後もインドの建設インフラを支える存在として、活躍を続けるInfra.Marketに注目です。

企業概要

会社名:Infra.Market

代表取締役:Souvik Sengupta

設立:2016年

所在地:インド、マハーラーシュトラ州

公式HP:https://infra.market/

まとめ

本記事では、建築資材の生産・調達・卸売を担い、法人向けにワンストップ・ソリューションを提供しているInfra.Marketについて紹介した。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介している。

Infra.Marketのように、海外の面白い企業についてまとめているため、関連記事もご覧いただきたい。

目次に戻る

タイトルとURLをコピーしました