今回紹介するのは、開発テストの自動化と効率化ができるツール「Autify」を提供するオーティファイ株式会社(以下、オーティファイ)です。
オーティファイは、人がしなくても良い非生産的な仕事をAIが代替し、社会全体の生産性を向上させることを目指しています。
ここでは、累計45億円を超えたオーティファイの資金調達や、事業内容、創業ストーリー、市場規模などについて紹介していきます。
事業内容:テスト自動化ツールで人為的な作業をゼロへ
オーティファイは、これまでのソフトウェアやシステムの動作検証の課題を解決するテスト自動化ツールを提供しています。
例えば、オーティファイのサービスを活用することで
- テスト実施に時間がかかり本来行うべき業務ができていないこと
- ソフトウェア開発の品質とスピードの両立が難しいこと
- 開発テストの外注費用がかかりすぎていること
などの課題を解決することができます。
ここでは、テストの計画~テスト後のレビューまでサポートしているオーティファイの3つサービスについて具体的に紹介していきます。
①【Autify NoCode】AIを用いたノーコードテスト自動化ツール
Autify NoCodeを導入することで、テストケースを作る→テストの実行→レビューのサイクルを自動化することができます。
そんなAutify NoCodeの特徴を3つ紹介します。
- ノーコードで誰でも簡単に使える仕様
直感的な操作性で誰でも簡単に自動テストを作成することができます - AIが自動でメンテナンスを実施
AIによるテストシナリオの修正パターンの提案でテストシナリオのメンテナンス負荷を軽減することができます - 会社全体での横断利用で効果を最大化できる
複数チームや全社横断でサービスを利用することができます
②【Autify Genesis 】テストケース・テストシナリオ自動生成
Autify Genesisは現在、β版で提供されています。Autify Genesisは、生成AIを活用しており、効率的にテストケースを作成することができます。Chat GPTのような会話形式の出入力方法を取っており、生成においても視覚的にわかりやすいデザインとなっています。
オーティファイ社内でAutify Genesisを活用したところ、テストケース作成・レビュー工程でこれまでかかっていた時間と比較して約55%の時間の削減に成功しました。
③【Autify Pro Service】テスト自動化導入支援・品質保証サービス
Autify Pro Serviceは、オーティファイが培ってきたナレッジを持つプロフェッショナルが、テスト戦略から品質分析、自動化戦略、自動化の実装と運用まで、お客様と伴走するサービスです。
自動化を前提とした品質保証サービスであるため、従来の人手での対応がメインのアウトソースにありがちな属人化、コスト増を解決することができます。
【導入事例】
上記はAutifyを導入している企業の一部であり、Autifyは、国内外問わずさまざまな業種・規模の企業で採用されています。
オーティファイのホームページでは、導入事例として、実際に導入した企業へのインタビューが掲載されています。 Autifyについてさらに知りたい方は、以下のリンクから導入事例をご覧ください。
沿革:国内外でAutify導入企業を増やし、事業を拡大中
Autifyは、現CEOである近澤良氏によって、2016年に米国サンフランシスコにて設立されました。
2019年にAutifyを正式にローンチし、2020年4月には累計導入組織数が100件を突破します。同年8月には、累計導入組織数が200件を突破し、急速にサービスを拡大しました。
2021年にはAutifyのモバイル版を正式ローンチし、2023年には、Autify AI Labsを始動するなど、提供サービスの幅を広げていきます。
2024年3月には、約20億円の資金調達を実施し、累計資金調達額は約45億円に到達しました。
資金調達:創業から8年で、国内外から累計45億円を調達
オーティファイは、創業から8年の2024年までに、累計約45億円の資金調達を実施しました。
ここでは、オーティファイが行ってきた、特に注目の資金調達について紹介していきます。
【2019年】
7月にシードラウンドとして、約2.6億円の資金調達を実施し、累計資金調達額が3.2億円に達します。この資金をもとに、10月からの日本だけではなく国外企業へのサービス提供がスタートしました。
シードラウンドにおける主な株主
- グローバル・ブレイン株式会社
- Salesforce Ventures(米国セールスフォース・ドットコム の投資部門)
- Archetype Ventures
【2021年】
7月に、約11億円の資金調達を実施し、累計資金調達額が13億円に到達します。 この資金調達は、Autifyのモバイルバージョンの提供や、グローバルでのマーケット拡大のために行われました。
新規投資家
- WiL
- Uncorrelated Ventures
- Jonathan Siegel
【2024年】
6月に、約20億円の資金調達を実施し、累計資金調達額約45億円に到達します。 今回の資金調達は、AIを活用したテスト設計・テストシナリオ生成、ソフトウェアテストのコンサルティングなど、より一層広範に支援する体制を整えるために行われました。
新規投資家
- グロービス・キャピタル・パートナーズ
- LG CNS
- LG Technology Ventures
創業ストーリー:企業支援経験から生まれたテスト自動化ツール
ここでは、創業手帳に掲載された現CEOかつ共同創業者である近澤良氏のインタビューから、近澤良氏の経歴とともに創業経緯を紹介していきます。
近澤良氏は、オーティファイ創業以前に、ソフトウェアエンジニアとして日本、シンガポール、サンフランシスコにて10年以上ソフトウェア開発に従事していました。
DeNAにて全米No.1となったソーシャルゲームの開発を行った後、シンガポールのVikiにてプロダクトエンジニアとして製品開発をリードします。
その後サンフランシスコへ移住し、現地スタートアップに初期メンバーとして参画し、 2016年にAutify, Incを創業しました。
立ち上げ当初の事業は、ソフトウェアテストの自動化ではなく翻訳支援ツールの提供を2年ほど行っていましたが、うまくはいかなかたそうです。
転機となったのは、USトップアクセラレーター(シード段階を過ぎたスタートアップ企業のビジネス拡大に焦点を当てたサポートを行う機関)の1つであるAlchemist Acceleratorへの参加です。
そこで、BtoBの企業支援を行ったことで「テスト自動化を行うエンジニアの人手が足りないこと」と「メンテナンスが大変」という課題に気が付つき、Autifyを開発するに至りました。
現在は、世界からテストフェーズを無くすべく、AIを活用したテスト自動化ツールAutifyの開発・提供に尽力しているところです。
(創業手帳より)
自動テストの市場規模は、2029年までに674.8億ドルへ到達予測
Mordor Intelligenceの調査によると、自動テスト市場規模は、2024年に320億8000万米ドルと推定され、2029年までに674億8000万米ドルに達すると予測されています。2024年から2029年の予測期間中に年16.03%の割合で成長していることがわかります。
自動テストの需要は、
- スムーズな顧客体験を提供するためのソリューションの導入
- ソフトウェアテスト環境でのAI技術の導入
などの面において、高まっています。
一方で、テスト方法を手動で行う手順から、自動化ツールを使って行う方法に移行するプロセスにおける複雑さによって市場の拡大が妨げられることが予想されています。
しかし、オーティファイは、自動テストのサービスだけではなく、自動テストの導入支援なども行っており、これからの自動テストの需要に応えていける環境が整っています。
今回は、オーティファイ株式会社について紹介してきました。
New Venture Voiceでは、オーティファイのような企業だけではなく、さまざまな業界のベンチャーを紹介しているので、関連記事からご覧ください。
企業情報
会社名 オーティファイ株式会社
代表者 近澤 良
本社所在地 東京都中央区東日本橋2丁目22-1 クロスシー東日本橋ビル6階
設立年月日 2016年9月
資本金 1300万円