最終更新日 24/09/26
国内スタートアップ

【amu株式会社】すごベン100にも選出の、廃漁具からナイロン素材を作る注目企業

サステナブル製造食品
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海洋プラスチック問題は近年ますます深刻化しています。特に太平洋に大量のゴミが集まる「太平洋ゴミベルト」では、その約46%が廃棄された漁網であると報告されており、漁網が海洋汚染に与える影響は予想以上に重大です。

この問題に取り組むスタートアップの一つがamu株式会社です。同社は、廃漁具を回収して資源として再利用することで、持続可能な海洋環境の実現を目指しています。

本記事では、amu株式会社の事業内容や提供するサービス、創業に至った背景について詳しくご紹介します。

事業内容:廃漁具のリサイクル

(出典:https://amuca.world/

amu株式会社の事業内容は、廃漁具の回収・買取、ナイロン素材の生成・販売、ナイロン製品の再回収の3つです。

廃漁具の回収・買取

amu株式会社は、海洋プラスチックごみの問題に取り組むため、全国の漁師から廃漁具を回収・買取しています。

海洋プラスチックごみの44.5%を占める廃漁具は、漁業者が高い処理費用を負担して廃棄していますが、処理後は埋め立てられるのが現状です。

そこでamuは漁港ごとに異なる漁具を調査し、年間1,000トンの廃漁具を回収し、再資源化を目指しています。

ナイロン素材の生成・販売

回収した廃漁具からナイロン6原料モノマー(カプロラクタム)を生成するため、総合化学メーカーと提携しています。

このナイロン素材は、バージン素材と同等の品質を持ち、一部はamuブランド「amuca」として販売されています。このように廃漁具の再利用を推進することで、環境負荷の低減に貢献しているのが同社の魅力です。

ナイロン製品の再回収

amuはナイロン素材の販売にとどまらず、製品化されたナイロン製品の再回収も行っています。

再回収されたナイロン製品は、再び原料として利用され、高いリサイクル率を誇るサーキュラーエコノミーの実現につなげているとのこと。再回収を希望する企業と最適なスキームを構築し、持続可能なリサイクルをサポートしています。

廃漁具から生まれたナイロン素材ブランドamuca(アムカ)

(出典:https://amuca.world/

amuca(アムカ)は、amu株式会社が提供する廃漁具を再利用したナイロン素材ブランドです。

全国の漁港から直接回収した廃漁具をもとに、ナイロン6原料モノマー(εカプロラクタム)を生成し、バージン素材と同等の品質を持つナイロン素材を提供しています。環境負荷を軽減しながら、高品質なリサイクルナイロンを実現しています。

サービスの詳細は以下の通りです。

  • amucaの販売
    廃漁具から生成したナイロン6原料モノマー(εカプロラクタム)を販売しています。高品質な素材で、幅広い用途に対応可能です。
  • amuca NYLONの販売
    amucaを配合したナイロン素材をペレット、繊維、生地などの形で提供します。配合率や素材の形状は、お客様のニーズに合わせてオーダーメイドで対応可能です。
  • ナイロン製品の企画・開発
    amucaを活用した新商品の企画や開発もサポートします。amucaを使った製品には「amucaタグ」を付けることができ、環境に配慮した取り組みをアピールすることが可能です。

創業の経緯:海の町からの挑戦

amu株式会社の創業者は、加藤広大(かとうこうだい)氏です。加藤氏は、サイバーエージェントに勤めた後、気仙沼に移住しました。それから2年半が経ち、彼は2023年に気仙沼で同社を起業しました。

加藤氏が注目したのは、廃漁網による環境問題「ゴーストネット」でした。ゴーストネットとは、海に捨てられた廃漁網に海洋生物が絡まってしまうことで、カメやクジラ、アザラシなどが身動きが取れずに命を落としてしまう現象です。 太平洋のゴミが集まる『太平洋ゴミベルト』の約46%は廃漁網であるという報告もあり、漁網が海洋汚染に与える影響は私たちが想像する以上に深刻なものとなっています。

「海と共に生きる」をスローガンに掲げる気仙沼で、加藤氏はこの問題に取り組む意義を感じました。彼は、漁具を資源として再活用する取り組みを通じて、気仙沼から世界に対して強力なメッセージを発信できると考えました。それこそが気仙沼で事業を行う意味であり、同時に世界的な海洋問題に対する解決策を提供できると信じています。

こうした背景から、amu株式会社は「世界有数の港町 気仙沼から 漁具を未来の資源に」というビジョンのもと、宮城県気仙沼市で設立されました。

漁具を単なる廃棄物としてではなく、資源として再活用するために、漁網の回収や資源化に取り組む事業を展開しています。

【廃漁網で起業する社長の日記】#1 なんで廃漁網?|加藤広大 / amu
自己紹介と始めた理由 神奈川県小田原市出身、渋谷のサイバーエージェントという会社に勤めた後気仙沼に移住してきてはや2年半。 加藤広大(かとうこうだい)といいます。 今は地域おこし協力隊として活動しながら起業準備をしています。 noteを始め...

資金調達:シードラウンドにて、7500万円の資金調達を完了

<2024年、シードラウンド>

調達額:7500万円

目的:全国の漁港からの漁具回収費用、amucaの開発・製造費用

また、環境技術やサステナビリティへの注目が高まる中、同社は「すごいベンチャー100」に選出され、投資家からの関心も集めています。

「すごいベンチャー100」2024年最新版・全リスト
政府による「スタートアップ育成5か年計画」の追い風もあり、日本のスタートアップは2023年に2万2000社に到達。2021年比で5900社増えるなど盛り上がりを見せている。東洋経済編集部は今年も、資金調達額の大きさや…

会社概要

  • 会社名:amu株式会社
  • 設立年:2023年5月
  • 創業者:加藤広大
  • 拠点:〒988-0017 宮城県気仙沼市南町2丁目2-25
  • URLhttps://www.amu.co.jp

まとめ

本記事では、廃漁具を回収・買取を通じて資源化するamu株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

amu株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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