Aereoは2013年にインド工科大学の研究室で設立されたスタートアップだ。バンガロールを拠点に、鉱業や都市・農村開発、大規模建設などの多岐にわたる分野で、ドローンによる画期的なサービスを提供している。
ドローン市場は世界的に急速な成長を続け、今や巨大市場となった。特に土木・建築、インフラといった分野における産業用ドローンの利用が進んでいる。
この記事では、産業用ドローンを活用して、インドの産業に新たな価値をもたらしているAereoについて紹介していく。
事業内容:ドローンとAIを活用したソリューションを提供
Aereoの事業内容は、ドローンとAIを活用した独自のデータ分析プラットフォームによるソリューションの提供だ。
たとえばドローンを飛ばして建設現場を測量し、AIによって正確な面積などを解析すれば、人員を最適配置したり、工事費用を算出したりすることができる。ほかにも鉱山のスキャニングや都市・農村開発など、さまざまな分野に対応しており。その活躍は多岐にわたる。
鉱業:進捗確認・安全性評価・環境への影響をモニタリング インフラ:計画設計・土地調査・進捗管理・在庫管理 都市・農村開発:土地区画マッピング・3Dモデル・洪水シミュレーション 森林保護:不正な侵入の検知・樹木の数え上げ・種の識別 |
特徴①:高精度の測量・長時間飛行が可能なドローン
Aereoは2種類のドローンを活用して、測量や撮影などを行なっている。
4軸ローターの「Aereo-INP」は最大40分間の飛行が可能で、1回で100ヘクタールの土地をマッピングすることができる。完全自立型なので人が操作する必要はなく、持ち運びも簡単という優れものだ。
またもう1つの大きな特徴が「2cm/pixel」という極めて高い解像度。一般的な衛星画像の解像度が30〜100cm/1pixelであることを考慮すると、その解像度の高さがうかがえる。空中から地上の詳細な情報を取得することができ、たとえば植物の葉の色を1枚1枚確認することも可能だ。
4軸+後部推進ローター付きの「Aereo-ZFR」はさらに高性能で、最大120分間飛べるうえ、1回で400ヘクタールの土地をマッピングすることができる。なお解像度については、「Aereo-INP」と性能が変わらない。
特徴②:AIを活用したプラットフォーム
Aereoは、ドローンによるデータ収集と処理を支援する、クラウドベースのプラットフォーム「Aereo Cloud」を提供している。
このプラットフォームでは高速かつ大容量のデータ処理が可能で、2D・3D解析や機械学習など高度な分析が行える。利用者はダッシュボードからさまざまなインサイトを確認できるので、効率的な意思決定を行うことが可能だ。
またデータの安全性を重視しており、プロジェクトやサイトごとにアクセス制御ができる。
資金調達:シリーズBラウンドで1500万ドルを獲得
Aereoはこれまでに約2,140万ドルの資金を調達しており、複数のラウンドで投資を受けている。
特に最近のシリーズBラウンドでは、360 ONE Asset主導で1,500万ドルを調達した。この資金は主に研究開発や新製品開発、インド国内でのビジネス拡大に使用されるそうだ。
ドローンの世界市場は2030年に1.9兆円まで成長
矢野経済研究所によると、ドローンの世界市場規模は約3,100億円(2024年)であり、2030年には1.4兆円まで成長するそうだ。
背景として、自動車や旅客機といった既存モビリティと同様に、ドローンも機体を扱う際の法規制や環境づくりなどが整えられてきている。今後は「安全性が高く各産業へ活用できること」が評価され、順調に市場が拡大していくと矢野経済研究所は予想している。
企業概要
会社名:Aereo (以前はAarav Unmanned Systems)
代表取締役:Vipul Singh・Suhas Banshiwala
設立:2013年
所在地:Bangalore, India
公式HP:https://aereo.io/
まとめ
本記事では、ドローンによる画期的なサービスを提供しているAereoについて紹介した。
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