最終更新日 24/11/06
国内スタートアップ

【輝翠TECH株式会社】農業用AIロボットを開発、日本の農業問題を解決する注目スタートアップ

AIロボット農業
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輝翠TECH株式会社は一般社団法人AgVenture  Labが運営する「産地・スタートアップのつながりプロジェクト」という農林水産省補助事業に採択されました | 輝翠TECH株式会社のプレスリリース

日本の農業は、人口減少と高齢化の影響を受け、農業従事者が減少。農産物の生産量維持が困難になっています。特に家族経営の農家は、親族や地域の協力を得て作業を乗り切ってきましたが、その限界が近づき、廃業を余儀なくされるケースも増えています。

このような課題に挑むのが、輝翠(きすい)TECH株式会社です。同社は、農業用AIロボットを開発し、農業の労働負担を軽減しています。また、異色の経歴を持つ創業者も注目されています。

創業者のTamir Blum(タミル・ブルーム)氏は、宇宙ロボット技術の研究者で、SpaceXでのインターン経験や東北大学での月面探査機の研究に従事。農家との交流を通じて農業現場の厳しい状況を知り、そこで培った技術で農業を支援することを決意したといいます。

本記事では、輝翠TECH株式会社の農業用AIロボットの機能や、創業の経緯、最新の資金調達等について詳しく紹介します。

事業内容:農業用AIロボットAdam(アダム)の開発

アグリロボットスタートアップの輝翠TECH、第2回ベンチャーラウンドの資金調達を実施 | 輝翠TECH株式会社のプレスリリース
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000087448.html

輝翠TECH株式会社の事業内容は、AIを活用した農作業用ロボット、Adam(アダム)の開発です。一般的な農業用機械とAdamの違いは、多様な農作業を1台で完結できる点と、農家の助手のように活用できる点にあります。

従来、農家は運搬や草刈り、農薬・肥料散布などで複数の機械を購入しなければならず、使用頻度の低い機械でも高額なコストが発生していました。しかし、Adamは、こうした機能を1つに集約。草刈りや農薬散布といった負担の大きい作業にも対応可能で、コストの削減と農作業の効率化が期待できます。

また、Adamには、農家の助手のように利用することが可能。追従モードを使えば、Adamが農家を自動的に追跡してくれます。Adamをスマートフォンから操作することも可能で、収穫や剪定などの作業が格段に楽になるでしょう。

以下に、農業用AIロボットAdamの機能をまとめました。

  • 追従モード:農家を追跡しながら収穫や剪定などの作業を支援。
  • AtoBモード:農場内での運搬や選果場への移動がワンタッチで可能。
  • 農薬散布機能:ロボット本体の上部に取り付けて農薬散布を実行。
  • 草刈り機能:本体下部に装着し、草刈り作業に対応。

タミル氏の異色の経歴と創業の経緯

Part 1: Space Xを蹴った男 その情熱が向かう先は宇宙ではなく日本の農業に 【社員インタビュー】 CEO Tamir Blum |  輝翠TECH株式会社
(出典:https://www.wantedly.com/companies/Kisui/post_articles/867120
創業者タミル氏の異色の経歴

創業者のTamir Blum(タミル・ブルーム)氏は、イスラエル生まれ、アメリカ育ちの起業家です。大学はUCLAで航空宇宙工学を学び修士号を取得在学中にSpaceXでアソシエイトエンジニアを務め、AeroVironmentでのインターンも経験。さらに、その後、研究の場を日本に移し、東北大学で博士号を取得し、月面探査ロボットのAI活用に関する研究に従事。現在は宮城県を拠点に活動しています。

輝翠TECH創業のきっかけ

輝翠TECH誕生の背景には、タミル氏の2つの経験が深く関わっています。

1つ目は、SpaceXでの経験。SpaceXでのインターンで、スタートアップの文化とエンジニアたちの情熱に大きな刺激を受けましたそう。この経験を通じ、社会課題に向けた技術の活用が、多くの人々の生活を豊かにできるのではと考えるようになったといいます。

2つ目は、東北での経験。タミル氏は、東北各地を旅する中で農村の現実を目にしたそう。過疎化に悩む集落、厳しい労働を強いられる農家の姿に心を動かされたといいます。

そこから、日本に限らず、世界中の農村が抱える課題を再認識し、自身の宇宙ロボット関する技術とAIの知見を、農業分野の課題解決に活かすことを決意。そこから、2021年に輝翠TECHの設立に至りました。

資金調達:1.5億円のシリーズA資金調達を実施

オフロード自律走行AIロボットのスタートアップ・輝翠TECH株式会社は、Series Aとして1.5億円の資金調達を実施 | 輝翠TECH株式会社 のプレスリリース
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000087448.html

2024年5月、輝翠TECH株式会社は、株式会社環境エネルギー投資を引受先とし、1.5億円のシリーズA資金調達を実施しました。今回の調達資金は、AI自律走行ロボット「Adam」の機能拡充や量産、さらには農業以外の用途にも対応するための開発に充てられます。以下に、目的の詳細を記載しています。

資金調達の目的

  1. Adamの量産と機能拡張
    この資金でAdamの量産を進め、日本全国の農家への展開を加速予定。また、農業以外の建設現場など、非農業分野にも対応できる機能を追加予定。
  2. アタッチメント開発
    Adamの多機能化を図るため、さまざまな農作業に対応するアタッチメント(作業ユニット)の開発。
  3. チームの強化
    UI/UXデザインや事業開発、国内営業など、より多くのプロフェッショナルを募り、農業や一次産業の未来を豊かにする体制を強化。

会社概要

  • 会社名:輝翠TECH株式会社
  • 本社所在地:宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-40
  • 代表者:代表取締役 Tamir Blum (タミル ブルーム)
  • 設立:2021年9月
  • 事業内容:農業用AIロボットの開発
  • URL:https://kisuitech.com/

まとめ

本記事では、農業用AIロボットAdamを開発する輝翠TECH株式会社ついて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目の国内スタートアップを多数紹介しています。

輝翠TECH株式会社のような農業関連のスタートアップについてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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