高齢化が加速する日本において、高齢者の低栄養問題(低栄養シニア)は見逃せない社会問題です。加齢による体力不足に伴い、食事の準備が困難になったり、食事量が減少したりなど、課題は山積みです。
その中で、株式会社LacuSは、シニア向けの完全栄養アイスクリームを提供し、高齢者の食事課題の解決に貢献しています。
本記事では、同社のアイスクリームの詳細、最新の資金調達等、説明していきます。
商品解説:シニア向けの完全栄養アイスクリーム「Me ICE」とは
株式会社LacuSは、シニア向けの完全栄養アイスクリーム「Me ICE(ミーアイス)」を提供しています。「Me ICE」は、日常の食事代替としても、健康的なデザートとしても楽しめる設計になっています。たとえば、栄養補助が必要なご家族向けの健康食品や、おやつ代わりの栄養補給品として活用が可能です。高齢者が栄養不足を改善しながら安心して食事を楽しむ製品となっています。
以下に、同社のアイスの4つの特徴、豊富な栄養素、サイズ、食感、保存の楽さをまとめました。
特徴①:33種類の豊富な栄養素
「Me ICE」には、33種類の栄養素がバランスよく配合されています。おにぎり1.3個分のエネルギーや卵1.2個分のたんぱく質、レモン1個分のビタミン、牛乳130ml分のカルシウムが1カップで摂取可能。高齢者向け完全栄養アイスは世界初の試みだそう。
特徴②:食べきりサイズ
「Me ICE」は食べきりサイズで無理なく栄養の摂取が可能です。具体的には、一般的なアイスが150~200mlであるのに対して、MeICEは100mlとやや小さめのアイスとなっています。
特徴③:とろみのある食感
「Me ICE」はとろみのあるアイスで、解けたときにとろみを持つよう設計されています。これにより嚥下(えんげ)機能が衰えてしまった方にも安心して摂取が可能です。
特徴④:在庫管理、保存が簡単
「Me ICE」は、在庫管理や保存が簡単です。アイスは-18°C以下で適切に保管することで、品質を保てるとされています。
「Me ICE」も同様に長期保存が可能で、管理コストを抑えながら取り扱えます。ただし、2年以内の消費が推奨されています。
価格と購入方法について
「Me ICE」の価格は1個あたり498円(税込)、6個セットで2988円(税込)となっています。オンラインでの購入は6個セットから可能で、介護事業所向けの価格設定も用意されています。詳細についてはAmazonサイトでご確認ください。
創業の経緯:介護施設訪問時に目にした光景が転期
古津瑛陸氏が、LacuSを立ち上げたきっかけの一つは、タイミーの創業者・小川氏への憧れがあったそう。古津氏は以前、プロ野球選手を目指していましたが、肘の手術を機に断念。ちょうどその頃、大学生の小川氏が数十億円を調達し、社会に大きなインパクトを与えたニュースを見ました。「大学生でも社会に影響を与えることができるのか」と感銘を受け、起業への意欲が湧いたといいます。
最初に手掛けたのは食品ロス削減を目指す事業。アルバイト先で大量に廃棄されるドーナツを見て、「割引販売すればロスを減らせるのでは」と考え、社会起業やインパクト投資に基づくビジネスに着手。しかし、アプリのローンチや加盟店の増加を実現するも、収益性や持続可能性に課題があり、断念。
転機は、介護施設訪問時に目にした光景でした。そこでは、固形物が食べにくい高齢者にアイスを提供したり、サプリメントを混ぜて栄養補給を試みたりしている様子が見られました。古津氏は、「アイスひとつで栄養を取れ、摂食や嚥下(えんげ)にも配慮したものがあれば」と考え、現在のLacuS事業にピボットすることを決意。こうしてLacuSの新たな事業がスタートしました。
参照:https://nagasta.jp/interview/intervew/
参照:https://kepple.co.jp/articles/9cx2apiudj01
資金調達:2024年10月に1億円超の資金調達を実施
株式会社LacuSは、2024年10月にプレシリーズAラウンドにて、1億円超の資金調達を実施しました。
以下に、その資金調達についてまとめていきます。
<出資元>
- 株式会社ケップルキャピタル
- Future Food Fund株式会社
- キヤノンマーケティングジャパン株式会社
- グローバル・ブレイン株式会社
- アスクキャピタル株式会社。
<目的>
- 「Me TIME FOODS」ブランドのSKU拡大
- 新潟市内でのハイブリッド工場の設置
- モール型ECおよび自社EC強化
- CXO候補や専門人材の採用
将来展望:超高齢社会への対応と2028年の上場を目指す
日本は超高齢社会を迎え、介護食の需要が急増しています。多くの課題が現存する中でも、株式会社LacuSは、食事が難しい高齢者や介護が必要な方が、流動食やドリンク栄養剤、経管栄養に頼らざるを得ない現状に注目。
日本の持つ高度な食品加工技術を活かし、被介護者も「美味しさ」「楽しさ」「健康」を兼ね備えた食体験を目指し、同社は今後も事業を拡大させていく予定です。
また、同社のビジョンは、「食事の選択肢を諦めることなく、最後まで自分の意思で食を楽しめる未来」を実現すること。この変革を日本から発信し、超高齢社会のリーディングカンパニーとしてグローバル展開を目指しています。
現在はBtoB市場を主軸に、インサイドセールスによる営業を展開中。今後は在宅介護や高齢者世帯を対象に、ECを活用したBtoC事業の展開も視野に入れています。さらなる商品開発と市場拡大を進め、2028年の上場を目標に事業を加速しています。
会社概要
会社名:株式会社LacuS
設立 : 2022年3月
代表者 : 代表取締役 古津 瑛陸
本社 : 新潟県新潟市中央区紫竹山6丁目3-5
事業内容 : 完全栄養食の開発と販売
企業HP : https://lacus.co.jp
まとめ
本記事では、シニア向けの完全栄養アイスクリームを販売する株式会社LacuSついて紹介しました。
New Venture Voiceでは、このような注目の国内スタートアップを多数紹介しています。
株式会社LacuSのような食品関係のスタートアップについてもまとめているため、関連記事もご覧ください。