最終更新日 24/07/05
国内スタートアップ

【株式会社FRDジャパン】地球に優しい陸上養殖を追求する

食品
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今回紹介するのは、株式会社FRDジャパン(以下、FRDジャパン)。同社は閉鎖循環式という手法を用いた、陸上での養殖事業を営んでいます。

FRDジャパンの最大の特徴は、バクテリアを活用した独自のろ過技術です。最低限の水や電気で養殖を実現できるため、環境への負担を抑えつつ低コストで養殖を行うことができます。

「海に依存しない陸上養殖で未来の魚食文化を創造する」というミッションのもと、新たな技術で養殖事業を拡大する同社についてご紹介します。

沿革:三井物産の子会社となり事業を拡大中

FRDジャパンは、2013年12月に辻 洋一氏によって創業されました。

当時三井物産の社員だった十河 哲朗氏が、海面養殖の問題などに取り組む中で同社に注目します。気候や地理に制限されない陸上養殖に可能性を感じた十河氏は、三井物産として買収を実現するとともに、同社に参画することを決めました。

以降、FRDジャパンは三井物産の子会社として、本格的な事業展開をスタート。2018年7月には実証実験プラントを操業し、料亭やスーパーに向けた養殖サーモンの販売を開始しました。これにより、同社が手がける養殖サーモンの高い品質や、ビジネスの将来性が認められるようになります。

2023年7月には複数社からの出資をもとに、商業プラントの建設を決定しました。2026年の操業を目標としており、今後さらに養殖サーモンの普及が見込まれます。

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事業内容:独自のろ過技術を活かしたトラウトサーモン養殖事業

FRDジャパンの主な事業は、トラウトサーモンの養殖事業です。水を循環させながら、ろ過等により清潔な水質を保つ「閉鎖循環式陸上養殖」という手法を用いています。

現在は千葉県を中心にサービスを展開しており、料亭やスーパーに向けて養殖サーモンを販売中です。生産地が消費者に近いため、新鮮で安全なサーモンを提供可能であり、高い品質を誇っています。

バクテリアを活用したろ過で管理コストを大幅に削減

(引用:事業内容|FRDジャパン

FRDジャパンが、従来の循環型陸上養殖システムと一線を画しているポイントは、「ろ過技術」にあります。具体的には、硝酸をバクテリアの力で除去する「脱窒装置」を研究・開発し、ろ過のスキームに組み込みました。

同システムであれば、従来よりも水槽内を清潔に保てるので、水替えを1日1%以下に抑えることができます。今までは最低でも1日30%の水替えが必要だったことを考慮すると、大きな進歩といえるでしょう。

また同社は水替えを抑えることで、汲んできた水の冷却コスト・環境負荷の大幅な低減にも成功します。「コストカットにより循環型陸上養殖でも高い利益率を実現できる」と、新たな可能性を見出したのです。

資金調達:商業プラント建設に向けて210億円を調達

FRDジャパンは、2017年4月に第三者割当増資により三井物産の子会社になりました。この際に得た9億円を活用して、実証実験プラントの操業を開始しています。

また最近2023年7月には、三井住友信託銀行などを引受先とした、総額210億円の第三者割当増資を実施しました。今回調達した資金は商業プラントの建設資金に加え、運転や研究開発の資金等として充当する予定です。

市場規模:2027年度の次世代型養殖技術は813億円まで成長

(引用:次世代型養殖ビジネスに関する調査を実施(2023年)|矢野経済研究所

矢野経済研究所が発表する「次世代型養殖ビジネスに関する調査」によると、次世代型養殖技術の国内市場規模は2027年度に813億5,500万円まで拡大する予測です。特に陸上養殖システムでは、大規模の陸上養殖施設の建設が相次いでいることから、市場が大きく拡大すると見込まれています。

これは国内外において、国内の養殖水産物が評価されており、安定した供給を求められている点が大きな要因です。

将来展望:世界中で閉鎖循環式陸上養殖を普及させる

(引用:ニュース|FRDジャパン

FRDジャパンは、将来展望として日本をはじめとした、世界各国への閉鎖循環式陸上養殖の普及を目指しています。今回着手する商業プラントを皮切りに、アジア圏を中心に最大1万トン規模の”サーモン類陸上養殖プラントを複数展開”していく予定です。

また現在はサーモンのみの取り扱いとなりますが、陸上養殖のさらなる活用により養殖魚の幅を広げられるとCEOの十河氏は考えています。加えて「環境保全のために活動できれば幸いだ」と述べていました。

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