最終更新日 25/01/09
国内スタートアップ

【リージョナルフィッシュ】ゲノム編集技術で超高速の品種改良を実現!

AI食品
Share this post
(引用:https://regional.fish/)

地球温暖化の影響により、各地で歴史的な海水温の上昇が観測されています。この結果、かつて漁獲できた魚が獲れなくなったり、従来養殖していた養殖魚が育たなくなる現象が広がっています。

こうした現状を打破するために注目されているのがリージョナルフィッシュ株式会社。(以下、リージョナルフィッシュ)

リージョナルフィッシュはゲノム編集技術やAI/IoTを活用した陸上養殖により、日本の養殖業をサステイナブルな成長産業に変えることを目指しています。

本記事では、同社の事業内容・市場規模等について詳しく説明していきます。あなたの会社にも役立つヒントが見つかるかもしれません。

タンパク質クライシス

(引用:https://newscast.jp/news/7074170)

タンパク質クライシスとは、タンパク質の需要が供給を上回る現象のことです。リージョナルフィッシュの調査によると、2030年にはタンパク質の需要が供給を上回り、2050年には現在の約2倍のタンパク質が必要とされる予想です。

そのため良質な水産物由来のタンパク質食を供給するために、より効率的な水産養殖が求められています。

衰退する日本の水産業

(引用:https://newscast.jp/news/7074170)

世界の水産生産量を見ると、養殖の割合が急激に伸びています。

一方で、日本の水産従事者人口はこの30年で約45万人→約15万人に減少し、水産生産量も約1280万トン→約440万トンまで減少しています。

そのため、現在日本の水産業の再興・漁村の地域活性に貢献できる水産業のあり方が必要になっています。

リージョナルフィッシュの技術:欠失型ゲノム編集

(引用:https://regional.fish/genome/)

DNAを狙って刺激を与え、その自然の回復力で自然な変異が起きる欠失型ゲノム編集は、これまで品種改良で長い時間をかけて行われてきたプロセスを高速で再現するための技術です。

(引用:https://regional.fish/genome/)

品種改良の歴史は農耕・畜産が1万年に対して水産はわずか50年。水産養殖の技術革新が求められています。

(引用:https://regional.fish/genome/)

欠失型ゲノム編集なら、品種改良プロセスを30年から2-3年にまで短縮することが可能に。

世界的注目を集める陸上養殖

(引用:https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/130628)

陸上養殖は生産性を上げやすく、場所を選ばずに様々な魚種の養殖が可能です。環境負荷も小さく、トレーサビリティーの確保も容易なため世界的に注目されています。

しかし、設備投資やエネルギーコストの大きさが普及に向けた課題になっています。

(引用:https://regional.fish/farming/

次世代陸上養殖の今後5年での市場成長性は、飼料関連で約4.9%/年、陸上養殖・スマート養殖等の養殖手法で約16.5%/年となっています。

陸上養殖やスマート養殖への期待値は非常に高いですが、直近での導入規模はやや低調となっています。

(引用:https://regional.fish/farming/

陸上養殖においては、設備投資やエネルギーコストといった固定費が、総コストの約7割を占めます。これが、海面養殖に比べてコスト高となり、普及に向けた障壁となっているのが現状です。

リージョナルフィッシュの技術:スマート陸上養殖

(引用:https://regional.fish/farming/)

リージョナルフィッシュはパートナー企業と連携し、AI/IoTにより魚の状態や水温・溶存酸素等の変化を読み取り、自動もしくは遠隔操作で飼育環境の最適化や給餌/清掃を行うシステムを開発しました。

さらにろ過技術や水槽設計により、飼育環境を自律的に維持して、エネルギーコストの削減を目指します。

資金調達:シリーズCで約40億円の資金調達

(引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000060432.html)

リージョナルフィッシュは、2024年12月にシリーズCラウンドとして第三者割当増資により、総額30.2億円の資金調達を実施しました。

これにより、シリーズCファイナンスにおける調達総額は40.7億円、累計資金調達額は67.1億円となりました。

今回調達した資金は、高温耐性に重点を置いた品種改良の推進、生産体制の強化、および研究開発のさらなる加速に充てる予定です。

リージョナルフィッシュ、シリーズCで約40億円の資金調達を実施

将来展望:ゲノム編集魚とスマート養殖で生産コストを1/4に

(引用:https://regional.fish/farming/

リージョナルフィッシュは養殖環境の効率化と組み合わせて高成長・可食部増量特性を持ったゲノム編集魚を導入することにより、単位面積あたりの収益性を約4倍に引き上げ養殖業を高収益事業へと進化させます。

さらに飼育環境を分析・提案することで飼育方法を更新しつづけていきます。

会社概要

会社名:リージョナルフィッシュ株式会社

所在地:〒606-8501 京都府京都市左京区吉田本町36番地1 京都大学国際科学イノベーション棟

設立:2019年4月10日

代表:梅川 忠典

HP:https://regional.fish/

まとめ

本記事では、ゲノム編集技術をはじめとした品種改良技術×スマート養殖技術を活用したスタートアップであるリージョナルフィッシュ株式会社について紹介してきました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

リージョナルフィッシュのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました