今回は大手テレビ放送会社の、日本テレビ、スカパー、TBSテレビの新規事業に絞って紹介していきます。 以下の、社内でそれぞれ新規事業として立ち上げられたサービスをまとめました。
- 【V-Clan】日本テレビ放送網株式会社
- 【Orbital Lasers】スカパーJAST株式会社
- 【TBS GAMES】株式会社TBSテレビ
初めに、日本テレビの新規事業「V-Clan」について紹介していきます。
【V-Clan】世界最大級のVTuberネットワーク
日本テレビのVTuberネットワーク「V-Clan」は、テレビ局初のインフルエンサーネットワークとして2020年の5月27日にスタートしました。 V-Clanは、VTuberが活躍できるように、セールス・クリエイティブ・プロモーションの3つの軸でサポートを行っています。
今回は、V-Clanの事業内容や沿革、創業ストーリーなどについて紹介していきます。
次の章では、V-Clanの主力サービスである「ClaN Studio」を見ていきましょう。
【ClaN Studio】SNS時代に適合したマーケティング施策の企画立案をトータルサポート
V-Clanでは、VTuberを軸としたマーケティングを提供する「ClaN Studio」というサービスを提供しています。
ClaN Studioでは、SNS時代に適合したマーケティング施策の企画立案から実現までをトータルサポートしています。
ここでは、V-Clanのソリューションや強み、実績を紹介していきます。
ソリューション紹介
- YouTubeタイアップ
300人以上が参加する世界最大級の「V-Clan」のメンバーと、提携する大手事務所所属のインフルエンサーを起用し、メタバースとVTuberを活用したタイアップを実現することができます。
- メタバースコンテンツ制作
メタバースを活用した番組やライブを、コンセプト設計からキャスティング・コンテンツ制作・プロモーションまでワンストップで提供しています。
- VTuber企画制作
企業のブランディングや広報活動に合わせたVTuberを制作することができます。コンセプト設計からキャラクターデザインまで、これまでの知見を活かした独自の要素を入れ込みながら、企業公式キャラクターを生み出し、ファンを獲得することができます。
ClaN Studioの3つの強み
- 最適なインフルエンサーをアサイン
世界最大級のVTuberネットワークと、提供事務所から最適なインフルエンサーを提案することができます。
- 過去事例とトレンドに基づいたプランニング
豊富な実績をもとにVTuberのファンに刺さる企画をプランニング、日テレグループの企画・制作力で実現することができます。
- 多様なメディアを活用したプロモーションの実施
日本テレビグループのメディアリレーションを活かしながら、アサインするインフルエンサーの効果を最大化するプランを立案・実行します。
実績紹介
ここではV-Clanが過去に提供したサービスを紹介していきます。
実績① 株式会社ローソン YouTube企画
V-ClaNは、株式会社ローソンへ、YouTube企画を提供しています。
キッズ向けYouTube「クマーバチャンネル」の世界に、ローソンンのキャラクターが登場します。
未就学の子供にも人気がある「からあげクン」を通して、数の概念を楽しく学ぶコンテンツで認知の獲得に貢献しています。
実績② 株式会社ココナラ社 VTuber企画制作
V-Clanは、スキルのプラットフォームサービスを提供する株式会社ココナラ社とタイアップをしました。
総額250万円のココナラでしか買えない、オリジナルVTuberメニューを制作・販売し、もちひよこさん(日本のVTuber)によるPR動画も制作しています。
沿革:社内ベンチャーから世界最大級のVTuberネットワークへ
2018年に日本テレビ放送網株式会社所属の大井基行氏が、社内ベンチャーとしてVTuber事業「V-Clan」を立ち上げ、プロジェクトが開始します。
2020年にサービス提供を開始し、2022年4月に、日本テレビの新会社として「ClaN Entertainment社」を設立し、大井基行氏が代表に就任しました。設立から半年で月間売上1億円を達成します。
2024年の6月に株式会社サンリオと資金業務提携契約を結び、資金調達額が累計8.5憶に到達しました。
現在では、V-Clanには300人以上のVTuberが所属しており、世界最大級のVTuberネットワークになっています。
起業ストーリー
ここでは、代表の大井基行氏の起業経緯について紹介していきたいと思います。
大井基行氏は、慶應義塾大学卒後に2017年に日本テレビ放送網株式会社に入社しました。エンタメ業界を志望した理由は、小学生の頃からテレビや映画が好きなことからエンタメ業界に興味を持ち、自分自身もエンタメを作りたいと思ったことだそうです。
2017年に入社後、最初の配属は営業でしたが、もともと新規事業の立ち上げに携わりたいと思っていたところでVTuberに出会いました。その後、すぐに会社に提案をし、社内新規事業制度を活用して、2018年に社内ベンチャーとしてVTuber事業「V-Clan」を立ち上げました。その後は、責任者として事業運営を行いながら、「プロジェクトV」など多数の番組やイベントのプロデューサーも務めています。
2022年4月に日本テレビの新会社としてClaN Entertainment社を設立し、代表取締役に就任し、ClaN Entertainment社の事業拡大を行っています。
企業情報
会社名 株式会社 ClaN Entertainment
代表者 大井 基行
本社所在地 東京都港区東新橋一丁目6-1
設立年月日 2022年4月1日
資本金 6億円(資本剰余金含む)
【Orbital Lasers】レーザーで宇宙を拓く、スカパーの社内発ベンチャー
次に紹介するのは、スカパーJSAT株式会社の社内発ベンチャー「株式会社Orbital Lasers」です。 Orbital Lasersは、レーザーを用いた宇宙事業を行っており、世界初のレーザーを用いたスペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去を実現した、今注目のベンチャーです。
今回は、そんなOrbital Lasersが提供するサービスや、沿革、創業ストーリーについても紹介していきます。
事業内容:世界初のレーザー技術で宇宙のサステナビリティに貢献
Orbital Lasersは、民間企業で世界初の商用利用をめざして、レーザーによるスペースデブリ除去事業「スペースデブリ除去事業」と、高精度な地表面情報を提供する「衛星ライダー事業」の開発を行っています。
次の章で、この2つについて詳しく紹介していきます。
①スペースデブリ除去事業
Orbital Lasersでは、宇宙環境を改善するスペースデブリ除去事業を行っています。 安全な距離を保ってレーザーを照射し、制御不能で回転しているスペースデブリの姿勢を制御し、ゆっくり動かしながら大気圏に移動させて除去する技術です。
②衛星ライダー事業
まず、衛星に搭載されたレーザーを地球の表面に照射します。次に、その反射波を測定するLiDARシステムを使うことで、高精度で地表の高さを計測することができます。
この技術を応用することで、地球のよりリアルな3Dモデルと作ることや、森林の高さを計測することで求められるカーボンクレジットの評価を得ることができます。
Orbital Lasersは、この2つの事業を柱に宇宙事業を展開しています。
「Orbital Lasers」の可能性
スペースデブリとは、軌道上でいらなくなった衛星・ロケットなどの残骸のことです。その数はなんと1億個以上を越えており、過去には、衛星とスペースデブリの衝突事故が起きています。 今やスペースデブリは、今や地球温暖化や海洋プラスチック汚染と同様に重要な環境問題の一つです。
スカパーJASTとOrbital Lasersは、この問題に向き合いながら持続可能な宇宙環境の維持改善に貢献するとともに、今後も宇宙で実業する企業として歩みを進めていくそうです。
沿革:世界初の商用利用をめざして事業拡大予定
2018 年に、Orbital Lasersはスカパーの社内ベンチャー制度によって立ち上げられました。
2024年1月に、正式に法人化され、現在は事業拡大に向けて開発を行っているところです。
2025年には、DTB(Detumbling)事業、回転しているデブリを止めるレーザーペイロイドの開発・販売を予定しています。
2029年には、ADR(Active Debris Removal)事業、デブリを除去するサービスの提供を予定しています。
衛星ライダーズ事業は、サービス提供時期は未定ですが、開発が進められています。
創業ストーリー
ここでは、Uchu Bizに掲載された記事から、Orbital Lasersの創業ストーリーについて紹介していきます。
スカパーJSATは新事業の芽を探すために2018年に社内でスタートアッププログラムを募集しました。2019年に手を挙げたのが、新会社で代表取締役社長を務めている福島忠徳氏です。
福島氏は2005年にスカパーJSAに入社して、同社が運用する静止軌道衛星の運用準備マネージャーや低軌道衛星の運用設計、衝突回避の運用設計など衛星運用を14年間経験していたそうです。 衛星運用を経験してきたことでデブリがもたらすリスクを感じていたことから、社内スタートアッププログラムで、レーザーでデブリ問題を解決するプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトリーダーになりました。
以降、学術界や企業との連携を構築しながら、技術を開発するとともに事業も開発して、事業化の道を探っていたそうです。
企業情報
会社名 株式会社Orbital Lasers
代表者 福島忠徳
本社所在地 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR
設立年月日 2024年1月30日
【TBS GAMES】人気番組を本格ゲーム化し「心揺さぶるゲーム体験」を提供
ここでは、TBSテレビが立ち上げた新規事業「TBS GAMES」について紹介していきます。
TBS GAMESとは、TBSテレビが2023年7月から本格的に取り組んでいるゲームブランドです。
TBSグループのコンテンツ創造の力を活かして、「アイ・アム・冒険少年」などTBSの人気番組をゲーム化し、話題になっています。
今回は、そんなTBS GAMESの事業内容や沿革、創業ストーリー、将来展望などについて紹介していきます。
次の章では、TBS GAMESが提供しているサービスについて見ていきましょう。
事業内容:コンテンツ創造の力で人気番組を本格ゲーム化へ
TBS GAMESは、「まだ見ぬ最高の”時”をゲームで」をコンセプトに、人々にとって最適な形で「心揺さぶるゲーム体験」を届けることを目標としています。
2023年9月から第一弾のゲームが発表され、最新では2024年3月に「アイ・アム・冒険少年 超・脱出島」が発売されました。
次の章では、リリースされている作品をいくつか紹介していきます
アイ・アム・冒険少年 超・脱出島
「アイ・アム・冒険少年 超・脱出島」は、Nintendo Switchのダウンロード専用ゲームとして、2024年3月に発売されました。
アイ・アム・冒険少年とは、2014年から放送を開始した、TBSが提供する人気バラエティー番組です。中でも「脱出島」という、無人島でのサバイバルでイカダを作って島を脱出する企画が定番です。
この「アイ・アム・冒険少年 超・脱出島」でも、番組の脱出島のように、無人島での探索・火おこし・モリつきなどのサバイバルアクションや、イカダでの脱出などをすることができ、脱出島の主人公としてゲームを楽しめます。
次に、このゲームの特徴を紹介していきます。
ゲームの特徴
①人気タレントがゲームに登場
過去に番組にも出演していた、お笑い芸人のあばれる君や、フワちゃんがゲームにも登場しており、二人のキャラクターを使って冒険することができます。(※フワちゃんは、2024年9月6日までに購入した方の特典のみ)
②家族や友達とマルチプレイができる
1人でも楽しめますが、2人でもプレイが可能で、ミニゲームでのバトルや、協力して島を脱出することなどもできます。
③実際に体を使ってサバイバルができる
スイッチを押すだけではなく、実際にリモコンを振って体を動かしたりするなど、体でサバイバルを体感することができます。
風雲!たけし城
「風雲!たけし城」は、さまざまなゲームをプレイできるプラットフォーム「Roblox」内で2023年9月に公開されたゲームです。
風雲!たけし城とは、ビートたけしの「たけし城」を落とすために、毎回約100人の一般応募者が、たけし軍が仕掛けたゲームを攻略していく構成の番組で、1986年~1989年の間にレギュラー番組として放送されていました。
ゲームの特徴
ゲーム内では、実際に番組内で登場した「竜神池」や「だるまさんがころんだ」などの名物アトラクションが登場しています。番組と同様に参加者同士が一緒に攻略を挑むことが可能です。
スマートフォン・タブレットやPCで、無料でプレイすることができます。
沿革:事業本格化から次々に人気番組をゲーム化へ
TBSテレビは、2023年7月に、TBS GAMESのサイトをオープンし、ゲーム事業へ本格参入することを発表しました。TBSテレビでは、2022年から新規IP開発部を設け、IPコンテンツの創出に関する検討を行っています。
その中でも、TBSがまだ取り組んでいないこととしてゲーム事業が挙げられたことがきっかけです。
2023年9月には、風雲!たけし城、2024年3月には、アイ・アム・冒険少年 超・脱出島を発売します。 今後も「心揺さぶるゲーム体験」を届けることを目標に、さまざまなゲームを発売することを計画しているそうです。
創業ストーリー
ここでは、「GAME CREATORS」に掲載された、事業責任者の蛭田健司氏のインタビューをもとに、TBS GAMESの創業ストーリーを紹介していきます。
創業のきっかけは、TBSグループの2030年に向けた計画「VISION2030」です。この計画の中でも、コンテンツの価値を無限に広げる拡張戦略「EDGE」において、デジタル分野・海外市場・エクスペリエンスの3分野に注力することが発表されています。 これらの3つの分野を満たすゲーム事業を、TBSグループとして注力しているそうです。
ゲームと番組とのシナジーをどう生むかを確立させ、2030年にはTBSの看板となるゲームが出ているように動いていきたいと語っています。 (https://game-creators.jp/media/interview/826/より)
企業情報
会社名 株式会社TBSテレビ
代表者 龍宝 正峰
本社所在地 東京都港区赤坂5丁目3番6号
設立年月日 2000年3月21日
資本金 1億円
従業員数 1,186人(2023/3現在)
まとめ
今回は、以下3つの大手テレビ放送会社発の社内ベンチャーを紹介してきました。
New Venture Voiceでは、これらの事業ごとにさらに詳しい記事を紹介しているので、上のリンクからご覧ください。