最終更新日 24/11/06
国内スタートアップ

【ストックマーク】AIで社内外のテキストデータを資産に!45億円を資金調達した注目のスタートアップ

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(引用:ストックマーク公式HP)

ITの進展に伴い、企業が持つビッグデータの活用が進んでいます。その中で、社内外の情報を適切に管理し、経営判断に役立てるために、「ビジネスインテリジェンス(BI)ツール」の利用が拡大しています。しかし、BIツールは売上や財務などの数値データを扱える一方で、社内ドキュメントやビジネスニュースなどのテキストデータには対応していません。

そこで大規模言語モデル(LLM)を活用して、テキストデータも資産化しようと試みているスタートアップが、「ストックマーク株式会社」(以下、ストックマーク)です。

同社はオリックス銀行やSCSKなど、さまざまなエンタープライズ企業への導入実績を持ち、2024年10月には45億円を資金調達するなど、非常に注目を集めています。企業の迅速な意思決定を支援するストックマークについて、その事業内容や資金調達をご紹介します。

事業内容:AI技術の研究開発を軸に2つのtoBサービスを展開

ストックマークはAI技術の研究開発を軸に、toBサービス「Anews」「SAT」を展開(引用:Stockmark公式HP)

ストックマークは生成AIの研究開発を主軸にして、エンタープライズ企業向けの情報収集SaaS「Anews」や、生成AIの導入を目指す企業に対してデータの構造化支援を行う新事業「SAT」を展開しています。

同社の最大の特徴は、国内LLM開発のトップランナーとして、日本語及びビジネス領域に強い純国産LLMの開発研究を行ってきた点です。

たとえば、2023年8月には14億パラメータの日本語LLMを発表し、同年10月には130億パラメータの「Stockmark-LLM-13b」を公開しました。さらに、2024年5月には国内最大級となる1000億パラメータの「Stockmark-LLM-100b」を発表し、パナソニックHDと共同で「Panasonic-LLM-100b」も開発しています。

このように、ストックマークは生成AIの社会実装において豊富な実績があり、LLM開発における高い競争力を持っています。

ストックマークの代表製品「Anews」

ストックマークの代表製品「Anews」では社内外のテキストデータを収集・分析できる(引用:PR Times)

ストックマークの代表製品である「Anews」は、ビジネスに必要な情報を速やかに発見するための情報収集サービスです。ビジネスニュースや論文、特許、社内ドキュメントまで、あらゆるテキストデータを収集・分析することができ、AIが膨大な情報源の中から必要な情報を教えてくれます。

実際に「Anews」では、日本語・英語・中国語の国内外約35000サイトや、800以上の学術雑誌、プレプリントサーバーの論文・特許などの膨大なデータを揃えているとのこと。

また、社員の興味関心をもとに、AIがパーソナライズされたニュースを毎日自動的に配信。検索窓から調べることもできるので、情報を取捨選択しながら取り入れることが可能です。

加えて、ワンクリックでの情報共有やコメント機能も搭載されており、気になる情報を組織で共有できます。そのため、組織全体として情報を蓄積し、さらに効率的な意思決定が可能になります。

資金調達:2024年10月にシリーズDラウンドで45億円を調達

Stockmarkは2024年10月にシリーズDラウンドで45億円を調達した(引用:Stockmark公式HP)

ストックマークは2024年10月21日に、PEファンド大手のポラリスキャピタルグループ株式会社を投資家とした第三者割当増資により、シリーズDラウンドにて総額45億円を資金調達したと発表しました。

同社はこれまでシリーズA~Cラウンド及び、金融機関からの融資により約43億円を調達しており、今回の資金調達により累計調達額は88億円超となります。

ストックマークによると、今回調達した資金は、事業拡大や研究開発、人材採用、M&A、海外展開など、多岐にわたる成長戦略の実現に活用される予定です。特に、AI分野の技術者など、質の高い人材の採用を積極的に推進するとしています。また、グローバル市場でも競争力を持つ経営体制やインセンティブ設計にも注力していく方針です。

加えて、中長期的には海外市場への進出も検討しており、M&Aやアライアンスを通じて、成長が期待される技術・事業領域でのシナジーを生み出し、競争力を高めていくとしています。

AIにより社内外の情報を構造化し、資産に変えることで、企業の意思決定を支援するストックマークの活躍に今後も期待です。

ストックマークの軌跡と将来展望(引用:Stockmark公式HP)

市場規模:BIツール市場は2029年に618億6000万ドルまで成長

BIツール市場は2028年に424億9000万ドルまで成長(引用:グローバルインフォメーション)

株式会社グローバルインフォメーションによると、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの市場規模は、2024年に333億4000万ドルと推定されています。2029年には618億6000万ドルに達すると予測されており、その年平均成長率(CAGR)は13.16%です。

BIツールは、ビッグデータの増加と、迅速に重要なビジネス上の意思決定を行うという要件の高まりにより、過去10年間で市場シェアを大幅に拡大しました。今後も技術の発展と投資の増加に伴い、この傾向は継続的に高まると予想されています。

企業概要

  • 企業名:ストックマーク株式会社(Stockmark Inc.)
  • 代表者:代表取締役CEO 林 達
  • 設立:2016年11月15日
  • 所在地: 〒107-0062 東京都港区南青山 1 丁目12-3 LIFORK MINAMI AOYAMA S209
  • 公式HP:https://stockmark.co.jp/

まとめ

本記事では、大規模言語モデル(LLM)を活用して、テキストデータを資産化し、企業の効率的な意思決定を可能にするストックマーク株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

ストックマーク株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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