2014年に麻生輝明氏が設立した、株式会社ジラフを紹介します。 一橋大学在学中の起業であることや、「質問箱」を運営していたこと、シリーズDで約20億円を調達していることなど、注目の企業です。 本記事では、ジラフの企業・事業概要から、起業の経緯を含めた沿革、将来展望などについて紹介します。
ジラフとは
ジラフは「2030年のスタンダードをつくる」をミッションとした企業です。現在は、買取価格比較サイト「ヒカカク!」と、コレクター向けフリマアプリ「magi」を運営しています。
・「ヒカカク!」:https://hikakaku.com/
・「magi」:https://magi.camp/
ジラフの事業概要①「ヒカカク!」
「ヒカカク!」は買取価格比較サイトです。ユーザーは商品情報を入力し、買取相場や買取業者を調べることや、最大20社に査定を依頼することができます。買取業者は、「ヒカカク!」から条件に合った査定依頼が届き、マーケティングを省略して集客が可能です。 マネタイズは主に、買取業者から、契約時の初期費用と送客単価を徴収することで行っています。
ジラフの事業概要②「magi」
「magi」はコレクター向けフリマアプリです。特徴として以下の3つが挙げられます。
- トレカ・スニーカーに特化
特化しているので売れやすく、買いやすくなっている。 - 真贋鑑定サービスと提携
カードラッシュ、フェイクバスターズなど国内有数の提携パートナーと組むことで、高品質な鑑定サービスが利用可能。 - 委託販売magiXで売り手をサポート
委託販売サービス「magiX」で、トレカを格安の手数料で販売代行している。 「magi」はトレカやスニーカーの実店舗も構えており、店に出品したい商品を預けることで、実店舗と「magi」アプリ上の両方で販売が可能。
マネタイズは主に、購入者から、購入手数料と、真贋鑑定サービス利用料を徴収することで行っています。
ジラフの企業沿革
2014年10月、麻生氏が、一橋大学の4年生の時に合同会社ヒカカクを設立しました。2015年4月に株式会社ジラフに組織変更。「ヒカカク!」と「magi」に経営資源を集中させて事業展開を行っていくため、「最安修理ドットコム」と「Peing-質問箱-」は譲渡しました。
起業の経緯
- 背景
堀江貴文氏などの影響で、ネットでサービスを作り、会社を経営できることを知った麻生氏は、中学生の時にコミュニティサイトを運営しました。 - 契機
大学入学後も経営への興味はあったが、確信を持てるアイデアが浮かばす、就職活動をしました。VCの内定を獲得し、先輩投資家に「投資家になるためにはどうすればいいですか?」と尋ねると、「自分でサービスを作って成功させることだ」との返答。背景には、アメリカでは主に起業家が投資ファンドを作って投資することがあります。起業家としての経験が重要だと知った麻生氏は残りの大学生活10ヶ月をサービス作りに費やすと決意。そして、麻生氏がタブレットを売る時に、とりあえず近所の買取業者に売った経験から、買取価格比較サイトを起草しました。 - 決断
麻生氏は、VCの内定を辞退し、起業家としてのキャリアに腰を据えました。ネットワークの広さや信頼関係が重要視される投資家ではなく、建設的な作業が求められる起業家が向いていると感じたためです。
ジラフの資金調達・市場動向
ジラフは、2023年11月、「magi」の海外コレクターへの認知向上と売上拡大を目的に、約7億円を調達し、累計調達額が約33億円に達しました。
経済産業省が出した調査によると、リユース市場はSDGsなどを背景に拡大し、2025年の市場規模は3兆5,000億円に達すると予測されています。
参照元:https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html
ジラフの将来展望
ジラフの経営理念は「2030年のスタンダードをつくる」です。ジラフで定義されるスタンダードとは、世の中がアップデートされていくための基盤を指します。具体的には、以下のスタンダード構築を目指します。
「ヒカカク!」
- 売る時に比較することを当たり前にする
- 買取相場を可視化する
- 売って良かったと思える快適な体験ユーザーを増やす
- 売ることを前提としてリセールバリューを期待できる買い物をする
- 時計やブランドバッグ、美術品などのコレクションアイテムをできるだけきれいに次の世代へと引き継ぐ
- 店舗を持たないプロ個人が出張査定を日本全国のどこにでもサービス提供しているような時代をつくる(どこに住んでいてもすぐに出張査定サービスを受けることができる)
「magi」
- 誰でも地理的な障壁を超えて希少品にアクセスできる世界を作る
- ネットを通じて安全に取引できるサービス・アプリを作る(第三者の鑑定を挟んだ取引、企業によって信用性、魅力度を高められた実物画像の出品を閲覧できる)
- 効率性の高いエリアにおいて実現されてこなかった高いクオリティのサービスを提供する売買店舗を展開する(商品の魅力×高く売る×安く売る×接客×快適な空間)
- 物流を伴わずデジタルで現物資産を効率的に売買できる、トレーディングカードというアイテムの社会的認知を広め、自動車、時計、スニーカー、バッグなどと並ぶ市場カテゴリーに押し上げる、コレクションするという趣味をより一般的な趣味として浸透させ、ポジティブな意味で「物欲を持っていい」雰囲気の社会をつくる