最終更新日 24/07/05
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【アソビュー株式会社】「遊び」を社会に実装する

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今回紹介する企業は、アソビュー株式会社(以下、アソビュー)です。同社はレジャー・体験予約サイト「アソビュー!」を中心に、家庭や企業、自治体に対して、幅広くサービスを展開しています。

興味深い点は、売上95%減からのV字回復を果たした点。コロナで危機的状況に陥りながらも、新たなビジネスチャンスを見出すことで、同社はわずか3ヶ月で前年比232%の成長を実現しました。

「生きるに、遊びを。」というミッションのもと、レジャー業界を発展させるアソビュー。この記事では、同社の企業沿革や事業内容、今後の展望などについてご紹介します。

沿革:レジャー業界の変革者として徐々に成長

アソビューは、元々「カタリズム株式会社」として、山野氏によって2011年3月に創業されました。2012年6月には、現在も主要事業であるレジャー予約サイト「アソビュー!」をローンチ。その後2015年3月に現在の「アソビュー株式会社」に社名を変更します。

同社は多額の資金調達を達成したり、経産省からJ-Startupに選出されたりするなど、徐々に成長を遂げました。2020年には新型コロナウイルスの影響で大きく追い込まれますが、新たなサービスが成功を収めて、さらなる売上拡大を実現します。

2023年11月には「アソビュー!」の累計会員数が1000万人を突破し、その事業規模はなおも拡大中です。

コロナ禍で売上が95%減少するも、新たなビジネスによりV字回復を実現

(引用:https://dentsu-ho.com/articles/8168)

同社は新型コロナウイルスにより大きな打撃を受け、倒産の危機に追い込まれます。

売上95%減という苦境の中、廣田氏は「レジャー施設の方々が感染拡大の防止に苦労している」ことに注目。営業再開を支援するために、「時間帯ごとに入場を管理するシステム」の開発を決意します。

緊急事態宣言が解除される6月までにシステムを完成させるため、全エンジニアを同プロジェクトに投入。営業部のヒアリングも活用するなど、全社的にシステム開発にあたることで、わずか2ヶ月でのサービスリリースを実現しました。

また同社は少しでも売上を上げたいと考えながらも、市場シェア拡大を狙って「導入費用を無料にする」という大胆な作戦を敢行。この決断が功を奏して、3カ月後アソビューは前年比成長率232%という驚異的な記録を打ち出しました。

コロナ禍で売上ゼロから、成長率323%の大逆転を遂げたアソビューの挑戦 | ウェブ電通報
本連載では、スタートアップ企業の起業家、経営者、投資家、CMOなどが、会社や事業の成長過程で直面した課題をどのように乗り越えたのか、スタートアップ支援を行なっている電通社員

事業内容:「遊び」を中心に家計・企業・政府へサービス展開

アソビューは「遊び」を軸に、4つの領域でサービスを展開しています。

  • 一般向け:遊び予約サイト「アソビュー!」
  • 体験事業者向け:業務DXソリューション「ウラカタ」
  • 一般・企業向け:遊び体験をプレゼント「アソビュー!ギフト」
  • 地方自治体向け:観光誘客を支援「地域ソリューション」

遊び予約サイト「アソビュー!」

遊び予約サイト「アソビュー!」は、全国のレジャー施設の検索・予約が行えるプラットフォームです。遊びに関する情報が欲しい生活者と、お客さんに来てほしいレジャー施設などの事業者を、オンライン上でマッチングさせます。

本サービスの収益源は、お客さんが遊びを予約・購入した際の手数料。提携している事業者は、取引成立時の10~20%を手数料としてアソビューに支払っています。

決して安くない手数料にも関わらず、多くの事業者が本サービスを活用する理由は、導入メリットが極めて大きいからです。ITに明るくない事業者でも、24時間での予約対応・口コミによる集客を実現できるので、自社で広告・宣伝をするよりも効率的にお客さんを集められます。

今まで事業者の多くは、人員やIT知識の不足から、電話での予約対応も難しく、十分な集客を実現できませんでした。「アソビュー!」はそんな事業者の悩みを解決したのです。

業務DXソリューション「ウラカタ」

業務DXソリューション「ウラカタ」は、事業者の予約管理や事前決済、顧客分析を可能にするツールです。

予約管理や会計処理がシステム化されると、事務手続きにかかる手間や時間を大幅に削減できるので、事業者は本来の業務に集中することができます。余分だった人件費を抑えられるので、コストカットも実現できるでしょう。

また本ツールでは年齢や家族構成など、お客さんの属性ごとに分析を行うことも可能です。事業者は定期的にマーケティング戦略を見直すことができるので、売上の向上も実現できます。

遊び体験をプレゼント「アソビュー!ギフト」

「アソビュー!ギフト」は、個人・企業が第三者に遊び体験をプレゼントできるサービスです。

“モノ”ではなく”コト”を提供できる点が、本サービスの魅力。アウトドアが好きな人はもちろん、思い出づくりをしたい人に、最適なプレゼントを渡すことができます。

たとえば滋賀トヨタ自動車株式会社では、新車成約時の特典として本サービスを活用。従来のお肉や家電といった”モノ”ではなく、”コト”を通した思い出をプレゼントすることで、他社との差別化を実現できたと語っています。

個人同士がプレゼントを贈るのはもちろん、企業が販促として”コト”を活用できるのは、本製品の特徴といえるでしょう。

観光誘客を支援「地域ソリューション」

アソビューは「地域ソリューション」として、地方自治体に向けて、主に3つの支援を行っています。

1つ目は、体験商品の開発支援です。体験事業者を掘り起こしたり、体験商品をブラッシュアップしたりと、まずはお客さんが訪れるように地方独自の魅力を創出しています。

2つ目は、体験商品の販路整備です。体験商品を「アソビュー!」に掲載することで、自治体はオンラインでの販路を確保することができます。

3つ目は、体験商品の販売促進です。アソビューを用いてクーポンを配布したり、顧客データを収集・分析したりすることで、効果的なマーケティングを実現できます。

資金調達:着実に規模を拡大させ総額88億円の資金を獲得

アソビューは2014年3月に初めて2億円の資金を調達して以降、徐々に大きな資金調達を達成してきました。

中でも特筆すべきは、2021年12月に行ったシリーズEでの資金調達です。三井不動産らが共同運営する「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」から、30億円もの資金調達を達成しています。大企業から協業先として認められており、アソビューの事業成長が伺えます。

最近2023年7月には15億円の資金調達を達成。拡大するインバウンド需要の対応、顧客利便性の更なる向上を目的に、既存サービスの強化や新規開発に注力するそうです。

市場規模:余暇市場は2022年に約63兆円まで回復

(引用:https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/summary2023_leisure.pdf)

公益財団法人日本生産性本部が発表する「レジャー白書2023」によると、2022年の余暇市場の規模は62兆8,230億円。前年比12.7%の成長を達成しているものの、コロナ禍前の2019年の市場規模には遠く及んでいないのが実情です。

(引用:https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/summary2023_leisure.pdf)

しかし、同社が実施したアンケートによると、仕事より余暇を重視する割合は年々上昇しています。このまま堅調に余暇を重視する人が多くなると、余暇市場のさらなる拡大が見込まれるでしょう。

将来展望:レジャー・観光業界のデジタルシフトを推進

アソビューの代表取締役である山野氏は、「レジャー・観光業界のデジタルシフトを更に推進し、観光立国日本の発展に向けて、貢献してまいります」と発言。

日本の観光・レジャー産業は需要が急回復する一方、人手不足や生産性の低さが課題となっています。こうした課題解決を図るべく、訪日外国人集客・顧客管理の対応・生成AIの実装によるUXの向上を目指すそうです。

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