最終更新日 24/07/05
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「株式会社フォトラクション」建設業界の未来を切り開く

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株式会社フォトラクションは、建設支援クラウドである「Photoruction(フォトラクション)」を提供している企業です。
本記事では、「建設の世界を限りなくスマートにする」というミッションを掲げる同社の、事業内容・企業沿革などについて紹介します。

事業内容:建設現場をDX化するSaaS「Photoruction」を提供

「Photoruction(フォトラクション)」とは、建設DXを実現する建設生産支援クラウドのことです。 「Photoruction」を用いることで、写真管理・図面管理・工程管理など施工管理の業務プロセスを効率化することができます。以下では、「Photoruction」の主な特徴3を紹介していきます。

  • 写真管理から*BIMまで、生産性向上が可能
  • クラウド型の建設*BPOによって業務プロセスの半自動化
  • 自社向けカスタム可能な建設生産プラットフォーム

写真管理から*BIMまで、生産性向上が可能

「Photoruction」は、建設生産に関する業務を効率化します。具体的には、写真管理や*電子小黒板の作成、BIMの閲覧が可能です。
写真管理に関しては、スマートフォンやタブレットから撮影した写真を、「Photoruction 」が写真に設定した情報に応じて自動的に整理します。
電子小黒板の作成については、建築現場で使う黒板のデジタル化が可能です。会社や現場毎にあらかじめ決められたフォーマットの黒板を作成しておける定型黒板機能など、現場での作業工程の入力業務を削減することができます。さらに電子小黒板上で、着工から竣工までを一括管理することが可能です。BIMの閲覧に関しては、ブラウザやモバイル端末上で簡単にBIMモデルを確認することができます。工事現場でBIMを閲覧する際に、全てのパソコンにBIMソフトをインストールする必要がなくなり、スマートフォン上での情報確認が可能になります。

*電子小黒板とは、従来の工事黒板をデジタル化したものです。工事黒板とは、工事写真を撮影する際に置く、工事の詳細を記した黒板のことです。工事黒板には、写真だけでは説明できない情報を補う役割があります。 電子小黒板のアプリを利用することで、従来の工事黒板よりも効率的な現場管理が可能となります。

*BIMとは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称です。BIMは建築設計に用いられるソフトウェアのことで、コンピューター上に作成した3Dモデルをベースに、建築物の設計から管理までを進めることができます。 BIMの主なメリットは、設計工程が全て3Dモデルに反映されるため、設計プロセスがスムーズになることです。

クラウド型の建設*BPOによって業務プロセスの半自動化

「Photoruction」の建設BPO機能は、建設業に関係する様々な業務を自動化できる機能です。請求書作成、工程管理、資材管理など、多くの業務を効率化することができます。事務作業の自動化により、作業時間を短縮することで、生産性の大幅な向上が見込めます。

*BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業活動における業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを一括して専門業者に外部委託することです。

会社沿革:建設業界の課題解決に挑み続ける

株式会社フォトラクション(旧CONCORE’S株式会社)は、2016年に千代田区で創業しました。 2017年に、同社は建設生産支援クラウド「Photoruction」をリリースしました。その後、建設業特化のAIエンジン 「aoz cloud(アオズクラウド)」のテストを開始し、Dropboxとの初のパートナーシップを発表しています。
2019年に、利用プロジェクト数が25,000を突破しました。また、情報セキュリティマネジメントシステムにおける国際基準であるISO 27001(ISMS)を取得しました。
2020年には、新型コロナウイルスの影響を受けた海外工事に対して、Photoructionの無償提供を発表しました。さらに、5.7億円の資金調達を実施しました。
2023年に、導入プロジェクト数が20万を突破し、国土交通省主催のインフラDX大賞においてスタートアップ奨励賞を受賞しました。 また、同年には第三者割当増資による17億円の資金調達を発表しています。 こうした実績は、建設業界に革新をもたらすテクノロジー企業として、同社が成長していることを示しています。

市場規模:2023年の国内建築市場は70兆円超

建設経済研究所の建設経済モデルによると、2023年度の建設投資については、前年度比3.9%増の71兆4,800億円となる見通しが示されています。 2024年度は民間企業の設備投資や賃上げ期待により、微増の見込みで72兆円と予測されています。
(出典:NICEビジネスレポート|ナイス株式会社

将来展望:まちづくりを支える新たなデジタル産業を拓く

フォトラクションCEOの中島 貴春氏は自身のNoteにて、同社の将来展望を述べています。
同社は他の建設テック企業・建設業とのコラボレーションを積極的に行うことで、世界最大の建設プラットフォームの形成を目指すと示唆しています。

同社は「Photoruction」によって、業務の全てがデジタル化できる土台・プロセスを標準化する手法・それらをマネジメントできる仕組み、を提供しています。つまり、「Photoruction」は生産性向上の土台となる存在といえます。

しかし、課題として、1つのプラットフォームで建設業の全てをカバーすることは難しいことが挙げられます。業界は非常に広く、それぞれの業務業態で業務内容が異なります。そのため、複数の領域違いの建設プラットフォームが協力し合うことが必要です。
また、SEOの中島氏は自身のNoteで、『既にSaaSが存在する領域への参入が多くなると、リプレイスのプレッシャーから「値下げ」と「過剰開発」が行われ、国内の建設テックサービスは共倒れで全員負けになる可能性もなくはありません。そうならないためには、建設テックだけで新しい産業が成り立つぐらいまで成長しなくてはいけません。』と述べています。

そこで、同社は、自社サービスへの投資は継続するだけなく、他の建設テック企業、そして建設業とのコラボレーションを積極的に進めていくようです。そして、世界最大の建設プラットフォームを形成することを目指しています。
新たな産業を牽引する同社に今後も目が離せません。

(出典:17億円の資金調達を実施 – 世界最大の建設プラットフォームを創出する|中島 貴春 | フォトラクションCEO

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